マネー ショート。 マネー・ショート 華麗なる大逆転

【マネー・ショート 華麗なる大逆転】解説/原作者マイケル・ルイスについて

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わたし: 今回、観ていただいた「マネー・ショート 華麗なる大逆転」は、個人的には、正直、専門用語がいっぱいで難しかったなぁ・・・、という感想でした。 このあたり、プロの投資家の方の目から見ると、いかがでしょうか? くぼっち: そうですね。 この映画は、簡単にいうと「リーマンショックという、世界的に大きな金融恐慌があった時に、世界が破滅する方に賭けて、億万長者になった人たちの話」なので、そのあたりの知識があるとより楽しめると思います。 たとえば、「リーマン・ショック」とはどういう事件だったのか。 「サブプライムローン」「CDS」「CDO」などの経済用語はどのような意味なのか・・・がわかっていたほうが楽しめることは間違いないでしょうね。 わたし: ほとんどの人は「リーマン・ショック」という単語は知っていても、実際に「何が理由で、経済破綻が起きたのか」については、きちんと理解できていないと思うんです。 特に、普通に暮らす人達にとっては「何か経済でとんでもないことがおきた」「不況の原因になった」という印象くらいで、起こった詳しい経緯などはあまり浸透していないイメージがあります。 これは、監督のインタビューを読んだ際にまったく同じことが書いてありました。 そういう意味では、あのとき起きたことを改めて知るのには、とても良い映画ですよね。 くぼっち: たしかに、2008年くらいの当時でも、テレビや雑誌でも、いろいろな解説はありましたよね。 たとえば、「サブプライムローンが原因だった」「低賃金の人に、住宅ローンをどんどん出していたから破綻したんだ」といったような説明です。 しかし、それらを読んでも、それがなぜ、世界的な恐慌にまで発展したか、まで理解している人は少ないかもしれません。 わたし: この映画を見る上で、これだけ知っておけばいい!というリーマン・ショックの説明をするとしたら、窪田さんはどのようにしますか? くぼっち: まずリーマン・ショックですが、狭義の意味では、アメリカの投資銀行であるリーマン・ブラザーズ社が2008年9月15日に破綻したことを指し、広義には、そこから発生した世界的な金融危機すべてを含みます。 まず、リーマン・ブラザーズとは、何をしている会社かというところから知っておいたほうがいいでしょう。 リーマン・ブラザーズは、世界的に有名な「投資銀行」でした。 わたし: 投資銀行って何ですか? くぼっち: 投資銀行とは、「証券取引免許をもつ金融機関」ですね。 投資銀行は、みなさんが日常的にお使いの銀行(「商業銀行」といいます)、預金した人のお金を元に貸し出したりをするわけではありません。 投資銀行は、投資先のファイナンスを手伝うというのが主な業務です。 たとえば、株式公開や、増資をする時、また社債を発行したりする、といった形です。 そのうちの一つが、資金を集めるために、証券化する、ということがあります。 くぼっち: ここで出てくるのがサブプライムローンです。 プライムとはいわゆる公務員や大企業に勤める人などの「優良客」のこと。 サブプライムは「サブ」ですから、フリーターや映画にも出てきたストリッパーなどを含む信用情報の低い人ということです。 一般の人がローンで買うものと言えば、住宅がメインでしょうから、サブプライムローンは信用情報の低い人向けの、住宅を担保とした住宅ローンという理解でOKです。 わたし: 理解できました。 くぼっち: 映画の中では、NINJA(ニンジャ)ローンなんて言われていましたよね。 これは、英語で「無収入・無職・無資産(No Income、No Job、No Assets) 」の頭文字を取ったものです。 わたし: ひどいですね…。 くぼっち: このサブプライムローンは証券化され、非常に信用度の高い商品として世界各国の投資家へ販売されていました。 わたし: 「証券化される」とはどういうことですか? くぼっち: 証券とは、有価証券、すなわち価値のある紙です。 お金、株券、債権などですね。 債権の「債」は借金ということ。 例えば「国債」は、国が証券という紙を発行する方式で行う借金です。 この債権は発行時に返済期限と利率が決まっていて、期限が来ると、元金が支払われ、また購入者は、利息を受け取ることができます。 国家が保証するものですから比較的安全な金融商品ではありますが、もちろん発行している国家の財政の状態などによっては、何が起こるかはわからないわけです。 よって、価格は常に変動します。 各国の国債の評価・格付けを行うのが、格付け機関です。 わたし: サブプライムローンも債権ですか? くぼっち: サブプライムローンもモーゲージ債として証券化された債権です。 モーゲージ債とは、不動産を抵当すなわち担保とした証券のことです。 わたし: こういった証券の取引を行っているのがリーマン・ブラザーズやゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレーなどの投資銀行や、ドイツ銀行やクレディスイスなどの銀行、メリルリンチなどの証券会社なんですね。 くぼっち: 先ほどサブプライムローンも証券化され、販売されたと言いました。 この証券化の際に、いくつかの信用度の高いローン(プライムローン)と、本当は信用度の低いローン(サブプライムローン)を集めて商品化したものが、CDO(債務担保証券)です。 このローンのカラクリを映画の中ではシェフがシーフードスープに例えて面白く説明していましたね。 リスクの高いものも、低いものもの中に入れてしまえば、全体としてのリスクは限りなく0に近いという理論です。 わたし: すごい理論ですよね! くぼっち: でも、そもそもサブプライムローンはアメリカでは信用度の高い証券として扱われていたんですよ。 なぜか。 それは2007年頃まではアメリカの住宅価格は高騰し続けていたからです。 要は、家は値上がりするんだから、ローンを返せなくなったら売れば良いという理論です。 つまり、サブプライムの方たちが月々のローンを返せなくなったとしても、例えば1億で買った家を2億で売ることができれば、ローンも返済できるどころか、手元にはお金が残る。 彼らはそのお金で、また新しい家を買うこともできますよ、と話されていたんです。 わたし: でも家が売れなくなった。 くぼっち: サブプライムローンの契約は、変動金利のものが多く、最初は返済額が少なく、あとから返済額が値上がりするものだったんです。 その金利の値上がりが2007年頃のものが多く、ローンが返せない人が増えた結果、サブプライムローンを含む金融商品が債務不履行に陥り、不動産が売れなくなったんです。 こうしてサブプライムローンは破綻し、サブプライムローンを含む証券を抱えていた多くの会社が窮地に立たされたわけです。 リーマン・ブラザーズはこの負債を抱えきれず、2008年9月15日に破綻しました。 わたし: なるほど…それにいち早く気づいたのが、この映画の主人公たちだったんですね。 くぼっち: そうですね。 彼らが取った方法は、リスクの低いローンも高いローンも集めて商品化したCDO(債務担保証券)の「保険」とも言える商品である、CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)を買い漁ることです。 CDSは、定期的な金額、いわゆる保険料を支払い続けることによって、債務の信用リスクが傾いた一定の自由が発生した際に、価値の下がった部分を補う金額をもらうことができる保険商品です。 誰もがサブプライムローンを含む住宅ローンは破綻しないと思い込んでいたときに、破綻する方に賭けたんです。 わたし: 毎月の保険料に苦しむ姿が描かれていましたね。 くぼっち: 住宅ローンが破綻するといっても、周りの誰も信じてくれないですしね。 わたし: この映画で一番印象に残ったシーンはどこでしたか? くぼっち: ブラッド・ピット扮する元銀行家が、CDSを買い漁り狂喜乱舞する若い投資家ふたりに物申すシーンですね。 CDSを買い漁るということは、経済が破綻することに賭けているということ。 わたし: 住宅ローンの破綻に賭けた主人公たちも、大金を手にして大喜びするのではなく、手にすることへの葛藤が描かれていました。 また、それだけでなく、骨太な社会派作品でありながら、コメディ作品を多く手がけてきた監督による遊びゴゴロのあるシーンや、音楽・演出も加わって、エンタメ作品としても多いに楽しめる作品になっていましたよね。 くぼっち: でもやっぱり少し難しいですよね。 終わったあと、「よくわからなかった」という声がチラホラ聞こえていましたよ・笑• 主演:クリスチャン・ベール「バットマン ビギンズ」「ダークナイト」スティーブ・カレル、ライアン・ゴズリング、ブラッド・ピット• 監督:アダム・マッケイ• 公開日:2016年3月4日(金)• moneyshort. c 2015 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED. Share.

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【マネー・ショート 華麗なる大逆転】解説/原作者マイケル・ルイスについて

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マネーショート華麗なる大逆転のネタバレあらすじ 【起】 - マネーショート華麗なる大逆転のあらすじ1 元神経科医という肩書きを持ちながら投資会社を経営するマイケル・バーリ。 目の前に採用試験に来ている男にほとんど何の興味も示さないまま、ハードロックと画面上の数字だけに興味を持っている様子を見ると、少し変わった性格の持ち主に見えるが、投資家たちからの信頼は抜群にあるように見えます。 ヘッジファンドを経営するマーク・バウムは、常に何かにイライラとしています。 最近自分の兄を自殺で亡くしたにもかかわらず、自分や兄の死からは目を背け、仕事に没頭しています。 そうすること許す社会に対して常に怒りながら。 若き銀行家のジャレット・ベネットは、世界金融の中心地ウォール街で活躍しています。 ただあるパーティーで彼は耳寄りな情報を耳にし、彼は銀行家として驚くべき行動に出ることになります。 そのジャレットとは対照的に元銀行家として登場するのが、ベン・リカートです。 彼はウォール街を離れ、静かに暮らしています。 自分で作った野菜を食べ、自分の時間を大切にして。 この一見何も関係のなさそうな4人ですが、ある事実に気がつくことで、それぞれが別々のルートで同じ結果を迎えることになります。 【承】 - マネーショート華麗なる大逆転のあらすじ2 ハードロックを聴きながら画面上の数字を一心不乱に見つめるマイケル。 ある日彼はあることに気がつきます。 当時バカ売れしていたCDOと呼ばれる金融商品(証券)の中に、サブプライムローンが含まれていることに。 さらにこのサブプライムローンが不良債権化すれば、これが含まれる金融商品であるCDOを持っている投資家たちにも被害が及ぶであろうことに。 そこでマイケルが取った行動は、この危ないCDOに警鐘をならし、アメリカの経済を未曾有の危機から救うことではなく、当時バカ売れしていたサブプライムローン市場が破綻した際の保険(CDS)の話を銀行に持ち込み、自分はその保険料を銀行に払うということでした。 まさかサププライムローン市場が破綻するとは思っていない銀行は、マイケルをあざ笑いながら、この保険をマイケルに売ります。 そのマイケルの動向に気がついたのが、銀行家のジャレット・ベネットでした。 彼はこのCDSの話をマーク・バウムが経営するヘッジ・ファンドに持ち込みます。 にわかには信じらない話に驚くマークですが、同僚と一緒にサブプライムローンについて調べ始めます。 時を同じくして、サブプライムローンに起因する住宅バブルの崩壊に気がついた2人の若者が、元銀行家のベン・リカートに連絡を取ります。 【転】 - マネーショート華麗なる大逆転のあらすじ3 同僚たちと一緒にサブプライムローンの調査に向かったマークは、実際の状況に愕然とします。 銀行家たちは、何の審査をすることもなく、到底返済などできないであろう低所得者層に向けてサブプライムローンを複数組ませていたのです。 初めは住宅ローンの崩壊など信じられなかったマークですが、次第にその信憑性を信じるようになり、最後にはCDSの購入に踏み切ります。 ただその時のマークの心境は、お金儲けができることを喜ぶというよりは、こんな大規模の詐欺を許している銀行・証券会社・格付け機関・政府に対して怒っているというものでした。 その頃、若い2人の投資家を手助けするべくベンは、彼らとともにラスベガスへ。 そこでCDSの購入にこぎつけた彼らは大喜び。 だがその2人を叱りつけるようにベンは言います。 「分かっているのか!お前たちが儲けるということは、住む場所やこれからの将来を無くす人が大勢出るということだ。 そのことがお前たちにはわかっているのか!」と。 ここに来て映画ではあることが明らかに観客に伝わります、マイケル、マーク、ジャレットそしてベンがそれぞれに行っていたことは、この国・アメリカの経済が破綻することに賭けることだったのです。 【結】 - マネーショート華麗なる大逆転のあらすじ4 マイケル、マーク、ジャレットそしてベンたちがそれぞれに予想した通りの結果が起こり、彼らは巨額の富を手にします。 だが彼らの表情には勝利の喜びも、大金を手にした満足感も、将来への期待感も感じられません。 彼らには分かっていたのです。 彼らはリーマンショックで損をするどころか、大金を手に入れることができました、それはすなわちこのアメリカという国の経済が破綻したことを意味します。 そしてそのツケを払わされるのは、この巨大な詐欺を企んできた銀行や証券会社、そしてそれを見過ごしてきた政府ではなく、真面目に生活し税金を納め、知識がないばかりに銀行や証券会社にまんまと騙されることになった一般の市民たちです。 爽快な後味の映画とは残念ながら言えません。 最後にこの映画は次のような言葉で締めくくられます:「リーマンショックで負債を支払いきれなくなった銀行は、税金を使って救済されました。 リーマンショックを生み出す原因となったサブプライムローンを作り、売り出した人々は誰一人として実際の罪には問われなかったのです。 そして今、銀行や証券会社たちは再び、サププライムローンに類似する商品を売り出そうとしています。

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【みんなの口コミ】『マネーショート 華麗なる大逆転』の感想評価評判

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2008年のリーマンショックの裏側で、経済破綻に喘ぐ投資家達を出し抜いて巨額の富を得た4人の男達の実話。 原作はマイケル・ルイスによるノンフィクション「世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち」だ。 パラマウント映画が製作権を獲得し、ブラッド・ピットが代表を務めるプランBエンターテインメントが製作に携わった。 監督は『』で脚本を手がけたアダム・マッケイ。 クリスチャン・ベール、スティーブ・カレル、ライアン・ゴズリング、ブラッド・ピットの4人が型破りな投資家をそれぞれ熱演。 リーマンショックとは一体なんだったのか、語られるべくして語られず、そしてこれからも語られることのないであろう真実をエンターテイメントに紡いでみせた。 あらすじ ヘヴィメタルを愛する変わり者で有名なヘッジファンド・マネージャーであるマイケル・バーリは、米国の不動産市場の動きを調べて行く中で、格付けの高いはずの商品が少しずつ利回りを下げていることに気付く。 サブプライム・ローンのおかげでバブルのように膨らんだ不動産市場は、少しずつだが確実に破綻に向けかっていると確信。 しかし、その予想は「変わり者の戯言」と投資家からもバカにされ、全く相手にされなかった。 マイケルは、2007年の前半には必ず市場崩壊が起こると信じ「CDS(クレジット・ディフォルト・スワップ、債権の保険みたいなもの)」という金融取引に目をつける。 そしてサブプライム・ローンの価値が暴落したときに巨額の保険金を手に出来るよう、市場の安定を信じて疑わない投資銀行にCDS取引を受け入れさせることに成功する。 そんなマイケルの戦略を察知したのが、ウォール街の若き銀行家ジャレッド・ベネットだった。 知り合いの銀行家からマイケルの動きを耳にした彼は、市場崩壊の予想を正しいと確信、自身もCDSに大金を投じる。 ジャレッドのそのことを知らされたマーク・バウムもまた、彼に続く。 マークは信用力の低い多くの低所得者に、頭金なしで住宅ローンを組ませている大手銀行に対して不信感を募らせていた。 また、既に引退した伝説の銀行家・ベン・リカートは、ウォール街で地位を築こうと野心に燃える若き投資家ジェイミーとチャーリーの2人のCDS市場への参戦を相談されていた。 話を聞いたベンは、彼らのウォール街への挑戦を後押しすることを決意。 そして2008年、いよいよ住宅ローンの破綻に端を発する市場崩壊の兆候が現れる。 マイケル、マーク、ジャレド、ベンの世紀の大勝負が始まろうとしていた。 Sponsored Link 映画を見る前に知っておきたいこと 専門用語を簡単に解説 色々な要素が複雑に絡み合っている為、きちんと説明をするのが難しいので、ざっくりさっぱり簡単に説明する。 まぁ大体こんな感じという輪郭さえ掴めていれば、映画を見るにあたって不自由はしないはず。 リーマンショックとは 2008年にアメリカの大手投資銀行リーマン・ブラザーズの倒産に端を発した世界規模の金融危機。 きっかけは2007年のサブプライム・ローン問題だった。 信用の少ない低所得者向けの住宅ローンをまとめてリスク分散していたため、格付けAのはずの商品が一気に値下がりを始めた。 これにより、自分達が所有している資産の、どの商品にサブプライム・ローンが混ざっているのか分からなくなった世界中の投資家達が一気に売り方向へ。 株価は世界中で急激な下落を見せる。 証券を保有していた銀行などの金融機関にもその波は押し寄せ、巨額の損失を出した。 こうして世界の全市場が大荒れ、日本経済も大きな打撃を受けた。 サブプライム・ローン 低所得者向けの住宅ローン。 米国では、信用力のある優良客を「プライム」とよび、その下層を指して「サブプライム」と呼ぶ。 なぜこれが問題になったかと言うと、リスク分散のためにあらゆる商品に組み合わされて売られたからだ。 ある商品が回収不能に陥っても、関連性の低い他の商品と一緒ならばリスクが低いと考えられた。 こうしてサブプライム・ローン時限爆弾は世界中にバラ撒かれた。 CDS(クレジット・ディフォルト・スワップ)とは ある会社の売掛債権が回収不能に陥るリスク、つまり倒産しても売掛債権を回収出来るように、銀行から購入する保険のような金融商品。 購入者は銀行へ固定金利を支払うことで、会社倒産のリスクを限りなく0に出来るというのが売りだった。 しかし、保険とは違ってCDSは飽くまで「証券」であり、会社に対する債権を持っていないくても銀行から購入できる。 そうすると会社が倒産した場合、会社にカネを貸していなくても銀行からカネがもらえる。 保障と言うと耳障りが良いが、実態は倒産するかしないかに賭けるギャンブルに近いものである。 金融界の大物を辞任に追い込んだ男、マイケル・ルイス 原作者のマイケル・ルイスという男がなかなか面白い人物である。 1985年、当時のニューヨークタイムズにウォールの帝王と言われたソロモン・ブラザーズに、それこそ尋常ではない数の就職希望者を押しのけて入社。 トレーダーの世界に足を踏み入れた。 金融界のトレーダーの実態を実名で生々しく暴き、当時のソロモン・ブラザーズ会長ジョン・グッドフレンドを辞任にまで追い込んだ。 この鮮烈な作家デビューで一躍有名人となった男だ。 金融業界には正しいかどうか、優しいかどうかと言った道徳観念はまるでない。 カネが全て、顧客のことなど知らん、人を踏みにじってもカネを手に入れる、そしてそれにまつわる名声を手に入れる。 トレーダーっていうのはそういうヤツらだっていう話がスリリングにドラマチックに展開する。 しかも凄いことに、難しい金融の話が驚くほど分かりやすく腑に落ちる。 金融業界の話と言われると、難しい専門知識がいくつも出てきてついて行けないのではないかと考えてしまうが、彼の作品はどれもストーリーに重きが置かれていて非常に読みやすく、ドラマチックで面白い。 そして本作は、2008年のリーマンショックの時に一体何が起きたのか?ということを綿密で膨大な取材をもとに面白おかしくドラマチックに描き出したマイケル・ルイスによるノンフィクション「世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち」が原作だ。 実際、リーマンショック、サブプライムローンなんて世界中の誰もが知っているけれども、何が起きたのかを深く正しく把握している人はどれだけいるだろう?把握していたとして、それを人に分かり易く説明出来る人がどれだけいるだろう? そんな一般の人には難しいリーマンショックにまつわる疑問の数々に、ポツンとひとつの波紋に繋がる答えを落としてくれるのがこの本「世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち」である。 ストーリー仕立てでリーマンショックを正しく面白く理解出来る本なんて、ある意味では閉じられている金融の世界において恐ろしく重要な価値を持つ原作本だと思う。 実際のマイケル・バーリ 先の予想があまりにも的確すぎる天才投資家。 リーマンショックの当時からその手腕は凄まじく、誰でも入手可能な財務諸表を精読するだけで、将来の動きを驚くほど正確に予測していたという。 リーマンショックの事件のことがあまりにもセンセーショナルだったので過去の人物と思われがちだが、一線でバリバリ活躍する現役だ。 彼の一挙一動を注視している会社は多い。 世界最大の投資持株会社バークシャー・ハサウェイの筆頭株主兼CEOのウォーレン・エドワード・バフェットの影響を強く受けていて、「目覚しい成功を収めたければ、目覚しい非凡さを身につけろ」という彼の言葉を地で行く一級モノの変人らしい。

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