イク セロン パッチ。 認知症のお薬について|和歌山県立医科大学附属病院 認知症疾患医療センター

イクセロンパッチ・リバスタッチパッチは認知症症状の進行抑制に使われる貼り薬

イク セロン パッチ

1-1.日本では、同じ薬が二社から販売 日本では小野薬品工業株式会社から「リバスタッチパッチ」 、ノバルティスファーマ株式会社からは「イクセロンパッチ」の製品名で販売されています。 両者の有効成分は全く同一のものです。 海外でも処方されているイクセロンパッチ 1-2.唯一の貼り薬 リバスチグミンはアセチルコリンエステラーゼに対して阻害作用を持ちます。 アセチルコリンエステラーゼ阻害薬のなかで最も吸収が早く、排泄も早い特徴を持ちます。 低分子であることを利用して、パッチ剤が開発されました。 アルツハイマー型認知症治療薬では世界で唯一の経皮吸収型製剤となります。 経皮パッチ剤は皮膚に貼り付けて使用します。 1-3.海外では飲み薬も リバスチグミンも開発された当初は他の認知症の薬と同様に内服薬として製剤化されたのですが、吐き気などの消化器系の副作用が相当強かったため日本では導入されていません。 2-1.アクセル系の一つ アルツハイマー薬の作用は、アクセル系とブレーキ系に分けることができます。 患者さんが初診で訴えられた症状で、「やる気が出ない」、「物覚えが悪い」、「出来ていたことができなくなった」という症状の際、アクセル系の薬を最初に使います。 2-3.唯一、意欲を高める 冒頭に申し上げた「それでも最初に使う理由」は、他の抗認知症薬の中で唯一「意欲」を改善するからです。 脳内のアセチルコリンを分解する酵素には アセチルコリンエステラーゼ AchE と ブチルコリンエステラーゼ BchE の 2種類があります。 リバスチグミンはアセチルコリンエステラーゼ AchE を阻害する作用だけでなく、ブチルコリンエステラーゼ BchE も阻害するという特徴があります。 その結果、 唯一「意欲を高める」「言葉数が増える」という効果を持ちます。 3-1.意欲がない 認知症の症状のなかで、意欲の低下を訴える方は多くいらっしゃいます。 「一日中寝てばかり」「すべてにやる気がない」「今まで好きであったこともしなくなった」などです。 抗認知症薬の使用による脳血流の変化を観察すると言語野の血流を増やすことが分かっています。 3-3.嚥下障害が強い 認知症の中でも血管性認知症や、レビー小体型認知症の患者さんは、 嚥下障害が出現し薬の服薬が難しくなります。 そのため、1種類でも経口薬は減らしたいものです。 リバスタッチ/イクセロンパッチは貼付型ですから、そのような観点からも便利なお薬なのです。 嚥下障害のある方にも使いやすいのです 3-4.細かい量設定が必要なケースに対応できる レビー小体型認知症においては、抗認知症薬は 少量の使用が必要です。 少しでも量が多いと副作用が出るためです。 3-5.アリセプト・レミニールで副作用が出ているケース 貼付剤であるメリットは、 薬の成分が皮膚から持続的にゆっくり吸収されるため血液中のリバスチグミンの濃度の変動が少なくなることです。 その結果、アリセプトやレミニールに比べ消化器症状が極めて少ないのです。 3-6.服薬管理が難しいケース 認知症が進行すると服薬管理が難しくなります。 飲み薬の場合、本人に「飲んだ」と言われれば、確認するすべがありません。 4.イクセロン/リバスタッチパッチ避の使用を避けるべきケース 認知症のレベルが同じでも、 攻撃的な症状が出る患者さんがいらっしゃいます。 例えば、「イライラする」、「性格変化で穏やかだった人が怒りっぽくなった」、「性格の先鋭化で気が強かった人がより気が強くなった」などです。 その場合は、ブレーキ系のメマリーを使用します。 5.認知症専門医の処方例 1日1回4. 5mgから開始し、4週間ごとに大きいサイズに変更し、18mgで治療を継続します(パッチのサイズが変わっても1日1枚であることは変わりません)。 少量から開始し徐々に増量していくのは、パッチを使用することによって生じる神経伝達物質の変化に体を慣らし副作用を軽減するためです。 2015年8月より9mgから開始し4週間後に18mgにするという増量方法が認められました。 この増量方法でも副作用の出現率などに違いがないことが認められたためです。 ただし、 体重が40㎏以下の患者さんの場合は、まずは9㎎で維持します。 その後、MMSE等で効果判定を行い、点数が悪化した場合18㎎まで増量します。 逆に、MMSEが維持もしくは改善する場合は9㎎を維持量とします。 6.三割の方に出現する副作用とは 副作用の大部分は皮膚症状です。 貼った部分が赤くなり、掻痒感が出現します。 ひどいと腫れあがるほどです。 そのため、 約三割の方が使用を断念します。 中止するまででない程度の発赤も含めれば、半数以上に皮膚症状がみられます。 メーカーは、貼る前にステロイド系のローションを塗り、剥がした後にステロイド系の軟膏を塗ることを勧めていますが、それほどの効果はありません。 正直、副作用が三割の方に出現し使用できなくなる薬はあり得ないと言えるレベルですが、それ以上の効果があるため使用されています。 但し、 今年度中には、副作用を軽減させた製品が発売されるようですので期待をしています。 7-1.意欲が高まった 生活すべてに意欲が無くなった患者Aさん。 一日中何もしないため、徐々に日常生活動作も低下してきました。 はた目からも、顔つきが改善。 今まで好きであった家庭菜園も再開。 歩行も元に戻ってきました。 ただし、奥様からは「悪い時は、何も言わずに黙って食事をしていたのが、最近では好き嫌いを言うようになった」とのこと。 そのような文句を言いながらもどこか嬉しそうです。 意欲を刺激すれば、食欲も改善されるのです。 7-2.レビー小体型認知症で適正量が使用できた レビー小体型認知症の患者Bさん。 アリセプトの維持量5㎎を服用するとめまいや消化器症状が出現します。 そのため3㎎を使いたいのですが、保険では認められていません。 5㎎で維持して使用(アリセプトの3mgに相当)。 副作用もなく、認知機能障害も維持されています。 最近では嚥下障害も出現しているため、貼り薬であることがとても助かっています。 7-3.寝たきりでも言葉が出た 67歳のCさんは、5年前より認知機能障害が出現していたのですが、専門医を受診することもなく、治療を受けることもありませんでした。 私が、初めてCさんの自宅への訪問時した際には、呼びかけにもほとんど反応がないような状態まで進行していました。 いわゆる認知症の末期像という状態でした。 徐々に増量し、4ヶ月かけて最大量になりました。 2ヶ月後の訪問診療時に、いつものように呼びかけると、なんと返事が返ってきたのです。 その後も徐々に改善しさらに2ヵ月後には、簡単な会話までできるようになりました。 この状態は現在までも続いています。 当初、御主人は反応もない奥さんを、特別養護老人ホームに入れる手配をしていました。 せっかく介護をしても、反応もなければ介護者の苦労は報われません。 しかし最近では、食事を持って行くと、「ありがとう」と言葉を発してくれます。 ご主人は、「少しでも会話ができるようになってうれしい」と喜んでみえます。 実は最近、特別養護老人ホームから部屋が空いたという連絡をもらわれたのですが、反応の出てきた奥様をみて、しばらく自宅で介護する決断をされました。 8.まとめ• 特に、意欲を高める、言葉数を増やすという点が特筆すべきです。 ただし、3割が皮膚症状により継続使用できません。 改良薬の発売が期待されます。

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イクセロンパッチ・リバスタッチ(リバスチグミン)作用機序・特徴

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認知症の薬一覧 まず、日本で認可されている認知症の薬を確認しておきましょう。 分類 アセチルコリンエステラーゼ阻害薬 NMDA受容体拮抗薬 名称 アリセプト ドネペジル レミニール ガランタミン リバスタッチパッチ イクセロンパッチ リバスチグミン メマリー メマンチン 適用 アルツハイマー型 軽度 〇 〇 〇 中等度 〇 〇 〇 〇 重度 〇 〇 レビー小体型 〇 使用回数/日 1回 2回 1回 1回 使用方法 内服 内服 貼付 内服 アセチルコリンエステラーゼ阻害薬とは アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症では、脳内の神経伝達物質の一つ「アセチルコリン」が減少することが分かっています。 人の脳は、脳内の神経伝達物質を介して記憶や学習などを行っていますが、その中で重要な役割を果たすのが神経伝達物質の一つ「アセチルコリン」です。 アセチルコリンの働きは、以下のとおりです。 神経細胞から放出されたアセチルコリンが受容体と結合し、情報の通り道を開通させる• 情報伝達が行われる• アセチルコリンエステラーゼ(AchE)とブチルコリンエステラーゼ(BchE)という酵素がアセチルコリンを分解する 情報の通り道を開通させるという大きな役目を果たしたアセチルコリンは分解されて活性が阻害され、その結果、情報伝達機能が低下します。 アセチルコリンエステラーゼ阻害薬は、アセチルコリンエステラーゼの活性を阻害することでアセチルコリン減少を抑え、情報伝達を改善させる働きがあります。 つまり、通常は分解されるアセチルコリンを分解させないようにし、情報伝達機能の低下を防ぐのです。 イクセロンパッチ・リバスタッチパッチも、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬の1つです。 イクセロンパッチ・リバスタッチパッチ(リバスチグミン)とは イクセロンパッチ・リバスタッチパッチとは、アルツハイマー型認知症の治療(症状の進行抑制)に使用される認知症の薬です。 いずれも、ノバルティスファーマ社が創製したパッチ型のアセチルコリンエステラーゼ阻害薬「リバスチグミン(Rivastigmine)」の製品名です。 イクセロンパッチ・リバスタッチパッチの製品 日本では製薬会社2社からパッチが販売されています。 商品名 製薬会社 イクセロンパッチ ノバルティスファーマ株式会社 リバスタッチパッチ 小野薬品 製品名は異なりますが、有効成分はまったく同じです。 イクセロンパッチ・リバスタッチパッチの剤型 パッチ(経皮吸収)型です。 4.5mg、9mg、13.5mg、18mgの4種類あり、成分量が多くなるほどパッチのサイズも大きくなります。 イクセロンパッチ・リバスタッチパッチの薬価 イクセロンパッチ・リバスタッチパッチの薬価を確認しておきましょう。 イクセロンパッチ リバスタッチパッチ 4. 5mg 329. 8円 33. 0円円 327. 7円 32. 8円 9mg 371. 2円 37. 1円 368. 5円 36. 9円 13. 5mg 398. 2円 39. 8円 395. 6円 39. 6円 18mg 417. 2円 41. 7円 415. 1円 41. つまり、記憶障害、時間・場所・人などの見当識障害、判断力の低下などアルツハイマー型認知症の症状の進行を遅らせる効果があるのです。 イクセロンパッチ・リバスタッチパッチの特徴は、アセチルコリンを分解する酵素であるアセチルコリンエステラーゼとブチルコリンエステラーゼの両方を阻害できることです。 パッチが作用する流れをまとめておきます。 イクセロンパッチ・リバスタッチパッチを貼る• アセチルコリンの分解酵素(アセチルコリンエステラーゼとブチルコリンエステラーゼ)の働きが抑制される• 脳内のアセチルコリン量が増加する(減少しない)• 情報伝達機能の低下が抑制される イクセロンパッチ・リバスタッチパッチのメリット イクセロンパッチ・リバスタッチパッチのメリットを見ていきましょう。 認知症の薬で唯一の貼り薬であること イクセロンパッチ・リバスタッチパッチは、認知症の薬の中で唯一の貼り薬です。 貼り薬であることから、有効成分が皮膚から持続的に吸収され、排泄されるのが早いという特徴があります。 貼り過ぎたり副作用が出たりした場合、薬を剥がせばそれ以上成分が吸収されないこともメリットです。 患者の意欲を改善させる 日本で認可されている認知症の薬の中で唯一、患者の意欲を改善させる効果があることもメリットです。 イクセロンパッチ・リバスタッチパッチは、アセチルコリン分解酵素であるアセチルコリンエステラーゼとブチルコリンエステラーゼの両方を阻害できる薬ですが、後者が阻害されることで患者の意欲 前向きさ が改善することが分かっています。 また、意欲の改善に伴って言葉数も増える傾向があります。 イクセロンパッチ・リバスタッチパッチの用法用量 イクセロンパッチ・リバスタッチパッチは、「パッチ」タイプ、つまり「貼る」タイプの認知症の薬です。 4.5mg、9mg、13.5mg、18mgの4種類のパッチがあります。 最初から大きなサイズのパッチを使用すると、脳内の神経伝達物質の変化に身体が適応できず副作用が強く出る可能性があるため、最初は小さいサイズのパッチを貼り、徐々に大きなサイズに変えていきます。 従前は、1日に1回、4.5mgのパッチを貼り、4週間ごとに9mg、13.5mg、18mgと大きなサイズのパッチに変更していました。 しかし、有効容量に増量するまでに時間がかかることは、早期の症状進行抑制が重要なアルツハイマー型認知症の治療法として大きな課題であると指摘されていました。 その後、増量期間を短縮しても副作用の出現率などに影響がないことが明らかにされたことを受け、2015年8月以降は、患者の状態によっては、9mgのパッチを使用開始して4週間後に18mgのパッチに変更できるようになっています。 イクセロンパッチ・リバスタッチパッチの貼り方 パッチの貼り方は、以下のとおりです。 パッチを貼った部位が赤くなって痒みが生じたり、赤く腫れあがったりすることがあります。 副作用によりパッチの使用を中止する割合は約30%と高いことが課題ですが、近日中に副作用を抑えた製品が発売される予定です。 関連記事 >>>.

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アリセプト、メマリー、リバスタッチ、レミニールの効果や副作用を比較!

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中核症状と周辺症状(BPSD) 認知症の症状には 中核症状と 周辺症状の2つがあります。 周辺症状は Behavioral and Psychological Symptoms of Dementiaから BPSD(ビーピーエスディー)とも呼ばれます。 中核症状の症状 中核症状の具体的症状は下記のとおりです。 記憶障害• 見当識障害(例 時間の認識ができなくなる)• 失語(例 言葉がでてこない)• 失行(例 野菜を等間隔に切れない)• 理解・判断力の低下 周辺症状(BPSD)は行動異常と心理症状に分類 行動異常の例• 暴言・暴行(易攻撃性)• 活動障害(徘徊・無目的・無意味な行動)• 食行動の異常(過食・異食・拒食)• 睡眠覚醒障害(不眠・レム睡眠行動異常) 心理症状の例• 妄想・幻覚• 自発性・意欲の低下• 易怒性 認知症の初期症状では、時間や場所が分からなくなったり、簡単な計算ができない、言葉が出ないなどの中核症状が現れ、中核症状によって今までのような生活が送れなくなる不安や焦りから周辺症状(BPSD)が現れると考えられています。 イクセロン・リバスタッチ作用機序 イクセロンパッチ、リバスタッチパッチ(リバスチグミン)は認知症そのものを治すのではなく、認知症の進行を抑える作用があります。 アルツハイマー型認知症では、脳の中に異常なたんぱく質がたまり、シミ( 老人斑)ができたり、神経細胞の中の繊維にねじれ( 神経原線維変化)がみられます。 これらによって脳内の神経伝達物質である アセチルコリンの量が低下することが記憶障害の原因と考えられています( コリン欠乏仮説)。 アセチルコリンは アセチルコリンエステラーゼや ブチリルコリンエステラーゼいう酵素によって分解されてしまいます。 レミニール(ガランタミン)は脳内に移行し、アセチルコリンエステラーゼやブチリルコリンエステラーゼの働きを阻害することで、アセチルコリンの分解を抑え、脳内のアセチルコリンの量を増やします。 脳内のアセチルコリンを増やすことで神経伝達を促進させ認知症の進行を抑えると考えられています。 イクセロン・リバスタッチ貼る場所は? 背部、上腕部、胸部のいずれか一箇所に24時間間隔で貼ります。 貼り替える場合は、かぶれ防止のために同じ場所でなくずらして貼る必要があります。 傷や炎症がある場所への貼り付けは避けることとなっています。 イクセロン・リバスタッチは入浴やプールは可能? イクセロンパッチ、リバスタッチパッチを貼ったままお風呂やプールに入るのは問題ありません。 しかし汗をかいたり、皮膚に水分を含むことで剥がれやすくなってしまいます。 そのため貼り替えるタイミングを入浴後にするように指導されるケースが多くあります。 イクセロン・リバスタッチ剥がれた場合の対応 イクセロンパッチ、リバスタッチパッチが剥がれてしまった場合は、基本的には剥がれたものは破棄し、新しいものに貼り替えることとされています。 また次回の貼り替えは、いつも貼り替えるタイミングで行います。 主治医から特別な指示がある場合はそちらに従うようにしましょう。 イクセロン・リバスタッチ貼り忘れた場合の対応 イクセロンパッチ、リバスタッチパッチを貼り忘れた場合、基本的には「気づいた時に貼り付けること」となっており、次回から決められた時間に貼り替えていきます。 貼り忘れが4日以上となる場合は量が減る可能性がありますので、主治医に相談しなければいけません。 スポンサーリンク• カテゴリー• 4 こんにちは。 現役薬剤師Yu(ユー)です。 2006年に京都薬科大学薬学部を卒業し、薬剤師免許を取得後、調剤併設ドラッグストアと調剤薬局にて勤務する現役薬剤師です。 健康食品や市販薬、内科、整形外科、皮膚科、小児科、在宅医療まで幅広く患者さんと関わってきました。 「一人の患者さんが抱える薬の疑問は、みんなが抱える疑問かもしれない」 私が薬剤師として活動する中で、患者さんに聞かれたことや、患者さんが知っておく必要があると思った情報をまとめるためにサイトを立ち上げました。 最近は患者さんだけでなく、ヘルパーさんや看護師さんなど医療従事者の方も薬の勉強のために閲覧をいただいております。 「薬に関わる疑問を少しでも解消したい。 」 そのような思いで日々サイトを磨いてまいります。 まだまだ成長過程の薬剤師ですが、一人でも多くの方がこのサイトがあってよかったと思っていただるように自分の抱える知識を発信してまいります。 スポンサーリンク.

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