キシロカイン。 キシロカイン(リドカイン)の作用機序:局所麻酔薬

局所麻酔用キシロカインの使い分け

キシロカイン

局所麻酔とは、意識消失を伴わずに部分的に除痛を行うために用いる麻酔のことをいいます。 広義には全身麻酔の対義語として全身麻酔以外の麻酔(脊椎麻酔、硬膜外麻酔、伝達麻酔、局所浸潤麻酔、表面麻酔)のことも意味するようですが、 実臨床においては狭義の局所浸潤麻酔のことですね。 局所浸潤麻酔は、皮内または皮下に麻酔薬を注射して、麻酔薬が浸潤する範囲の神経を遮断して、痛みを感じないようにする麻酔方法です。 主に小切開の場合に用いる麻酔であり、意識下に太めの末梢ラインや中心静脈ラインを確保するとき、硬膜外麻酔や脊椎麻酔で硬膜外針や脊椎針の刺入前に細めの注射針で痛覚を取るとき、小さな部位の切開・縫合手術などに用います。 この記事では局所麻酔=局所浸潤麻酔として記載していきます。 麻酔薬としてはリドカイン、メピバカイン、プロカインを用いますが、一般に広く使われているのは リドカイン(製品名: キシロカイン)でしょう。 医療現場では略して「 キシロ」と呼びますね。 エピネフリン入り局所麻酔薬の効果 この局所麻酔薬にはアドレナリン(エピネフリン)が配合されたエピネフリン入り局所麻酔薬とエピネフリンが配合されていないエピネフリン無し局所麻酔薬があります。 実臨床で用いている呼び方を用いると、• エピネフリン無しキシロカイン(E無しキシロ)• エピネフリン入りキシロカイン(E入りキシロ) の2種類になります。 では、このE入りキシロにはどのような効果があるのでしょうか? エピネフリン入り局所麻酔薬の効果 血管収縮作用を有することにより• 局所麻酔薬の吸収が緩徐になる そのため• 作用時間が長くなる• 局所麻酔薬中毒になりにくくなる• 出血が少なくなり手術が容易になる ということが挙げられます。 エピネフリン入り局所麻酔薬の有用性 では、エピネフリン入り局所麻酔薬の有用性について考えてみましょう。 Aysanらは、毛巣洞手術の無作為化二重盲試験で、 エピネフリン入り局所麻酔薬は 術中の出血量減少と 手術時間の短縮に極めて有効であったと報告しています。 (Aysan E, et al. J Am Podiatry Assoc. 1971) ちなみに、術後出血や血腫形成には差がなかったことも報告しています。 一方でエピネフリン入り局所麻酔薬に 否定的な意見もあります。 Jonesらは、頬部除皺術の後ろ向き試験を行ったところ、 エピネフリン入り局所麻酔薬を使ったグループで有意に 術後血腫が多かったことを報告しています。 (Jones BM, et al. Plast Reconstr Surg. 2003) これは、 エピネフリンの血管収縮作用のため術野では出血点を認識できず、それが術後に再出血をきたしたものと考えられています。 以上より、 局所麻酔下小手術に用いる麻酔薬にはエピネフリンが入っていた方が術後血腫が減少するという意見に対しては全面的に肯定することはできませんが、一方でエピネフリン入り麻酔薬による弊害は少ないと思われます。 また、局所麻酔下小手術だけでなく、全身麻酔や腰椎麻酔、伝達麻酔の手術であっても 駆血帯を用いない手術ではエピネフリン入り局所麻酔薬を用いることで格段に手術がやり易くなります。 エピネフリン入り局所麻酔薬の禁忌• アドレナリン又はアミド型局所麻酔薬に対し過敏症の既往歴のある患者• 耳・指・趾・陰茎に対する麻酔• 動脈硬化、心不全、甲状腺機能亢進、糖尿病のある患者及び血管攣縮の既往患者• 狭隅角や前房が浅いなど眼圧上昇の素因のある患者 アドレナリンやアミド型局所麻酔薬に対して過敏症の既往歴がある方は、 アナフィラキシーショックを引き起こす可能性があるため使用禁忌であるのは当然ですね。 また、耳・指・趾・陰茎に対してエピネフリン入り局所麻酔薬を用いると、これらの栄養血管は非常に細いため血管が収縮しすぎて 壊死してしまう恐れがあります。 それ以外にも、動脈硬化、心不全、甲状腺機能亢進、糖尿病のある患者及び血管攣縮の既往患者についも、血管収縮作用がこれらの 疾患の病状を悪化させる可能性があるので注意が必要です。 さらに、狭隅角や前房が浅いなど眼圧上昇の素因のある患者については、アドレナリンにより 閉塞隅角緑内障の発作を誘発することがあるため注意が必要です。

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キシロカインゼリー2%の基本情報(薬効分類・副作用・添付文書など)|日経メディカル処方薬事典

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人により副作用の発生傾向は異なります。 記載されている副作用が必ず発生するものではありません。 また、全ての副作用が明らかになっているわけではありません。 リドカイン塩酸塩として、1回200mgを基準最高用量とする• 但し、年齢、麻酔領域、部位、組織、症状、体質により適宜増減する• なお、各種麻酔方法による用量は次のとおりである• 1.硬膜外麻酔:100~200mg• 2.伝達麻酔:30~200mg、指趾神経遮断には30~100mg、肋間神経遮断には50mgまで• 3.浸潤麻酔:20~200mg• 以下の病気・症状がみられる方は、• 過敏症• ショック状態• 大量出血• 敗血症• 注射部位又はその周辺に炎症• 血液凝固障害• 重篤な肝機能障害• 重篤な高血圧症• 重篤な腎機能障害• 髄膜炎• 中枢神経系疾患• 灰白脊髄炎• 脊柱に著明な変形• 抗凝血薬投与中• 心血管系に著しい障害• 腹部腫瘤• 心刺激伝導障害• 心弁膜症• 脊髄に結核• 脊髄に腫瘍• 脊椎に結核• 脊椎に腫瘍• 全身状態不良• 脊髄ろう• 呼吸器疾患• ポルフィリン症 患者の属性に応じた注意喚起• 以下にあてはまる方は、• 妊婦・産婦• 高齢者• 幼児・小児 年齢や性別に応じた注意喚起• 以下にあてはまる方は、服用・利用の際に慎重な判断が必要です。 高齢者 65歳〜• 以下にあてはまる方は、服用・利用の際、十分に注意して下さい。 高齢者 65歳〜• 小児 0歳〜14歳• 以下にあてはまる方は、服用・利用に際する指示があります。 高齢者 65歳〜•

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キシロカイン(リドカイン)の作用機序:局所麻酔薬

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こんにちは。 手術室の看護師をしています。 質問内容に回答出来ると考え投稿させていただく事となりました。 手術室では様々な局所麻酔薬を使用します。 ご質問のキシロカイン(キシロカインにエピネフィリンを添加したキシロカインEも含む)やリドカインは、使用頻度が高い薬剤として一番ベーシックに使用する局所麻酔です。 また、キシロカインショックは、しばしば遭遇するショックですので、手術室では知っておくべき事柄と言えます。 しかし、局所麻酔薬の場合は、注射薬と違いバイアルから使用する事が多く、バイアルに入っている添加物や防腐剤(現在は、防腐剤が入っていない製品が流通しています。 )、またはゴム栓の断片といった薬剤(キシロカイン等)以外への反応でアナフィラキシー様ショックがでることもあります。 それらへのショックも含めてキシロカインを使用しているため、「キシロカインショック」と呼ばれていることもあります。 厳密に薬剤で起こるショックと違うことがあることも覚えておいてください。 キシロカインショックには3通りある キシロカインショックの中で代表的なものは、薬剤や上記のような添加物による反応としてアナフィラキシー様ショックです。 反応としては非常に早く、注射後2. 5分程度から皮膚の症状が出現し15分以内には症状が出現。 注射した場所より全身性に移行する発赤、発疹や痒みの出現があります。 重症化すると、意識レベルの低下や不穏、または咽頭浮腫による気道閉塞のリスク、また循環器系にも異常が見られ、頻脈や血圧低下、また心停止することがあります。 その場合は、すぐに、気管挿管を実施し、呼吸を維持しながら、点滴負荷によるウォッシュアウトやステロイド等を投薬することで炎症の症状を緩和します。 必要時には、救命処置(心停止時の胸骨圧迫等)や昇圧剤等を使用し血圧維持を実施する必要があります。 2通り目は迷走神経反射で、しばしば、アナフィラキシーショックに間違われます。 手術室ではあまり起きませんが、意識がある状態で傷を縫ったり、抜歯をするときに時々起きます。 これは「今から痛いことをする」と思ったり「思った以上に痛い」といった精神的なストレス負荷がかかることで、迷走神経反射が起こるのです。 迷走神経反射とは、末梢血管抵抗が低下することで、低血圧や気分不良、動悸、意識消失発作(数秒〜数分程度)、四肢脱力等が出現することです。 ストレス等への反射なので、大半は時間経過とともに改善します。 しかし、中には心停止する可能性や意識状態が悪化する場合もあるので、その場で判断することが困難な時は、点滴負荷やモニタリングを実施しましょう。 次に、キシロカインショックとなる3通り目「中毒症状」について説明します。 血管内にキシロカインが流入した結果で出現するショックとは? キシロカインは安全性が高い薬剤ですが、中毒症状を招かないために限度量を設けてあります。 しかし、麻酔をするときに針先が血管内に入り、その状態で麻酔を継続した場合、麻酔薬による中毒を起こすことがあります。 多弁、興奮、血圧上昇、頻呼吸や頻脈といった症状が出現しますが、一時的な中毒であれば徐々に状態は落ち着きます。 まれに状態によっては、不穏状態に移行したり、痙攣が出現する事があります。 精神状態が安定しない場合は、早期に点滴によるウォッシュアウトを実施するとともに、痙攣出現に備えてモニタリングを実施。 すぐに、セルシン等の鎮静・鎮痙攣薬を使用出来るように準備するか場所がわかっておくようにしましょう。 キシロカインショックをできるだけ予防するために何をすればいいか? キシロカインの使用前に行う、患者さんへの問診が重要です。 過去にキシロカインを使用し異常があった場合(軽度の発赤等でも)やアレルギー体質、精神的な疾患がある場合は、医師への報告をすることで使用薬剤の変更や皮内テスト等といった予防措置が可能になると考えます。 そのため、手術室では術前訪問時に、再度患者さんへの問診を実施したり、カルテ上からアレルギーがないか確認します。 病棟や外来であっても同様だと考えます。 またショック等の急変時に迅速な対応を取れる体制を整えるのも看護師の仕事と言えます。 おわりに.

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