タガタメ 瞬き の ごとき 夢。 光属性特効スキル

【主人公強化】『リズベット』の第3ジョブを開放!固有装備品が獲得できるクエストも登場!

タガタメ 瞬き の ごとき 夢

さらに時が流れ、国同士の戦も落ち着き人々が平和を手に入れた・・・かと思われた。 が、ユーレリア大陸の北東に位置するディパン帝国が周辺の国々へと突如進行を始めたのだ、油断していた周囲の小国達は次々と帝国へと吸収されていった。 しかし、このような勝利は長くつずかなかった。 大陸の西側に位置する大国、フケガ王国が中心となりそのほかの国が連合を組み、立ち向かうが、ディパンの軍事力はすさまじく、戦線は膠着状態となり始めていた・・・ そんな頃・・・ 人知れぬ場所で邪悪な意思が目覚めようとしていた。 ゴゴゴゴゴゴゴゴ… ここはマリアナ海溝の奥深く・・・そこに、一本の毛が漂っていた。 朝日出「皇帝陛下、ご報告申し上げます。 この度、起こりましたヴィルノア地方での反乱、我等が第08騎士団が完全に鎮圧いたしました。 」 皇帝(???)「おお、朝日出よくやった。 ほめてつかわそう。 」 朝日出「・・・ありがたき幸せ。 (・・・最近皇帝陛下の顔色が悪くないか?それに、今度の反乱、あそこヴィルノアは今回の戦争で手に入れた土地というわけではない、明らかに民の不満が募っている証拠。 だいたい、先の戦争、大義はこちらにはない・・・)」 皇帝(???)「どうした?朝日出よ、まだ何かあるのか?」 報告が終わっても部屋から引かない朝日出に疑問を抱いたのか、皇帝は、怪訝な顔つきで問いかける。 朝日出「いえ・・・最近、陛下の顔色が優れないもので・・・病でもお召しになられましたか?」 正直、今回の戦争に疑問を抱いていた朝日出は、考えを反戦思想の考えを悟られまいと、ごまかした。 いいや、正確にはごまかしたつもりだった。 しかし、そのごまかしが、まさか事態の核心を突いていようとは・・ 皇帝(???)「・・・気付かれたか・・・くっくっく。 」 朝日出「はい?」 いつもとは様子の違う皇帝に、どう返事をすればよいか、言葉が浮かばない朝日出。 しかし、それは考えるだけ無駄だった。 なぜなら次の瞬間、 ウイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン!!! 朝日出の体にまとわりつく黒い何か。 それは、皇帝よりはなたれし闇。 朝日出「ぐっつ・・・がっ・・・体が・・何かに引きよせ・・ぐっ・・」 朝日出の思考は、パニックにより全く働いていなかったがこれまでの若くして得た数々の戦闘経験により体が先に動いていた。 腰のホルダーに手を伸ばし、素早く銃を手に取ると、闇の発生元と思われる場所へと銃口を向け引き金を引いた。 ガゥン!! 乾いた銃声が鳴り響く。 銃弾が闇の発生源と思われる場所を貫いた。 闇は消えた。 朝日出はあわてて正面を確認する。 そこにいたのは、肩を押さえてうずくまる皇帝だった。 朝日出「陛下!?」 朝日出が叫ぶ。 全く状況が理解できていない。 その時、背後のドアが開きある人物が入ってきた。 ???「陛下!今の銃声、それに謎の気いったいどうしたのです!?」 朝日出「・・・」 朝日出は目を丸くする。 ドアのところにいたのは・・・ 第01騎士団団長小川、ディパン最強の男。 今一番見たくない顔だった、仮にも朝日出はそのつもりがなかったとはいえ、皇帝を撃ったのだ。 反逆者に変わりはない。 皇帝「謀反だ・・・朝日出が裏切った・・・」 小川「何!?朝日出・・・貴様ぁ!!!」 次の瞬間、小川は跳躍すると朝日出の頭上を飛び越し、朝日出と皇帝の中間地点に立った。 その時皇帝は自分の肩に手を当てた。 その手を外すと、傷が完全に癒えていた。 小川「貴様!ディパンに背いたこと覚悟するがいい!!」 朝日出「ちっ!」 朝日出は銃を構え、引き金を絞る。 ガゥン カラン しかし、飛び出した銃弾は小川に到達する前に地に落ちていった。 朝日出「なんだと!?」 小川「国王陛下、伏せていてください。 」 朝日出「くそ!!」 ガゥン!ガガゥン!! カランカランカラン! 手ごたえはある、しかし壁のようなものに遮られているようだ。 小川「裏切り者には死を・・・邪眼を開放する。 」 シュゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオウ! 朝日出「ぐわああああああああああああああ!!!」 重い衝撃波が、朝日出を襲う。 朝日出は吹き飛ばされ、城壁を突き破る。 朝日出は見ていた。 皇帝が肩に手を当て、傷をいやしたとき、そこに自分を襲った闇があったことを・・・ この時すでに朝日出は確信していた。 皇帝が何者かに操られていると。 と同時に、朝日出は自分の意識が遠のくのを感じていた。 なぜ消えたか、皇帝の側近である者ならば誰もが知っている。 これが小川の力であると。 皇帝「小川・・・反逆者の始末、済ましたようだな。 」 小川「はい、・・・陛下、それよりお怪我は?」 皇帝「朝日出は私に向かって発砲したが、焦っていたようだ。 弾丸は外れた。 」 小川「そうでございますか、お怪我がなくて何よりです。 」 この時、小川は僅かに疑惑を感じた。 朝日出がいかなる状況におかれていようと弾丸を外す事はないと知っていたからだ。 しかし、皇帝に忠誠なる騎士である小川は、皇帝に疑問を感じたことを自負し、次の瞬間には疑惑は消えていた。 皇帝「それで・・・奴をどこへ飛ばしたのだ?」 小川「異空間の彼方へ・・・」 皇帝「そうか・・・未来永劫出てくることは叶わない空間・・・さすがだ。 」 小川「お褒めに頂くほどのことではございませぬ・・・。 」 これが小川の力、騎士団最強の男である訳だ。 皇帝「フケガオ王国との戦争も近い・・・お主の力は我も存分に期待しておる。 」 小川「ハッ・・・仰せのままに・・・」 皇帝「では小川よ、そろそろ下がってよいぞ。 」 小川「ハハッー・・・」 そして小川は謁見の間を後にした。 しかし、小川は皇帝に一つ嘘を付いていた。 だが、この事については、自負心はなかった。 いくらなんでも小川には戦友である朝日出は殺せなかったのだ。 小川「 朝日出よ・・・許せ。 お前の反逆の理由は知らずともこうするしかなかった。 いや、仮にお前が反逆をしていなかったとしても、皇帝を敵に回した時点で、帝国騎士団としてのお前は死んでいたのだ。 ・・・お前の記憶は消した。 新たな人生を歩んでくれ・・・。 その名は吉田・・・。 全ての物語がここから始まる・・・。 いや、すでに始まっていたのかもしれない。 吉田「父さん!今日も手合わせしようぜ!」 父「そんなせかすな。 毎日やっているだろうが。 」 吉田「いいから、はやく!今日も俺、強くなったんだぜ?今日こそ勝てるかもしれないじゃん!」 ユーグリフ村の道場で、親子が話している。 吉田の父は村の子供と吉田を弟子に、剣道場を開いているのだ。 道場とっても、門下生は吉田を含めて6人ほどだ。 なんたってユーグリフ村は小さな村、村人はあわせて40人ほどだからだ。 父「門下生は皆帰ったな・・・。 さて吉田・・・」 吉田「お願いします! 先生!」 サッ・・・ 二人は真刀を抜いた。 野生動物を狩って生計たてている村ゆえに、実戦向けの剣技を鍛錬している。 父「行くぞ・・・」 吉田「うりゃあっーーー!!」 吉田は瞬雷の如く駆けた。 とても常人が見切れる速度ではなかった。 サッ・・・ しかし吉田父は難なく避け、反撃を加える。 ザスッ・・・バシン! 吉田「ぐっ・・・!」 父「勝負あったな・・・。 」 もちろん、峰打ちであるが、吉田は暫く立てないでいた。 吉田「へっ・・・やっぱりまだまだ鍛錬が足りねぇか・・・。 」 父「その通りだ。 精進しろよ!・・・ こいつ・・・日に日に強くなっている・・・。 いずれは俺を抜くな・・・。 」 父「さぁ、そろそろ今日の晩飯を狩って来い!」 吉田「おう、今日は猪鍋だったっけ。 猪は中々みつからないんだよなぁ。 」 父「まぁがんばって見つけて来いよ。 」 吉田「はいはい、じゃあいってきますよ。 」 吉田は道場を出て裏山に駆け出そうとした。 」 吉田「あ、母さん!なんだい?」 母「気をつけてらっしゃいね。 」 吉田「なんだよ。 狩りなんて毎日のことじゃないか!」 母「なんか、今日は嫌な予感がするの・・・。 」 吉田「ふーん、心配いらねぇって、じゃあ行ってくるぜ!」 この吉田母の心配は的中していた。 しかし、そんなことは村の誰一人思っていなかった。 そして吉田は裏山に駆け込んだ。 ユーグリフ村に事は起こった。 ザッザッ・・・ いくつもの勲章や金色の装飾品が着いた黒い軍衣を見につけた男が数十人の兵隊らしき男を引きつれて、ユーグリフ村の門をくぐった。 小さな村ゆえに、門守はただ一人。 門守は軍服を着た男に問いかける。 門守「おやおや、団体さんで・・・こんな辺境の村に何か御用ですかな?」 ???「ディパン帝国、皇帝の命によりこの村及び周りの山林はディパンの領土とする。 」 門守「なっ・・・あなたは一体・・・。 」 ???「ディパン帝国、十二騎士団04騎士隊長、萩野谷。 」 門守「て、・・・帝国・・・。 まさか、噂には聞いていたがこんな辺境の地にまで・・・ 」 萩野谷「・・・できれば争いはしたくない。 村長はどこだ。 話をつけてやる。 」 門守「・・・致し方ない・・・あちらです・・・。 」 門守は争いは避けようと、安全なほうへと持っていった。 しかしそれは少しの時間稼ぎにしかならないと知る事になる・・・。 萩野谷「お前達はここで待っていろ・・・。 」 リーダー萩野谷は兵隊達に声をかける。 そして男は村長の家へと入って行った。 高級食材である猪を見つけることは容易ではなく、吉田は山の深くまできていた。 吉田「はぁー、このままじゃただの野菜鍋になっちまうぜ・・・。 まぁ、なんであろうが、スパイスがあればいいんだけどなぁ。 」 吉田はさらに足をすすめる。 様々な野生動物はいるが、肝心の猪がいない。 その先も暫く、猪を探すと・・・ 見つけた。 吉田「あ!見つけたぜ!しかも珍しい種!」 吉田は猪のほかにもう一つ目に入るものがあった。 それは人間・・・ 人が猪のそばで倒れていたのだ。 吉田はあながち猪にやられたのだろうと思った。 猪を追うか、人間を助けるか。 吉田はそこまで薄情な男ではなかった。 吉田「おい、大丈夫か!?猪にやれたのか?」 吉田は猪を剣で追い払ったのちに倒れている人に声をかけた。 しかし返事はない。 吉田「お〜い・・・。 それにしてもなんだ?この服・・・金ぴかのあくせさりーがいっぱいついてるぞ・・・?」 倒れている男の服装には吉田には異様に目についたようだ。 それに、腰のホルダーには見たことがない武器が入っている。 吉田「ここらへんの人じゃないな・・・。 外国の人かな?」 ???「うっ・・・う・・・」 吉田「あっ!生きてる!?おーい!おーい!」 ???「うああぁ・・・顔が暗い・・・ううう!!」 吉田「何を言っているんだ?夢でもみてるのかな?」 ???「ハッ・・・ここは・・・?」 男は夢にうなされたのち、目を覚ました。 しかし男の様子はおかしかった。 挙動不審・・・というべきか。 吉田「ここは・・・って、好き好まないでこんなとこ行くやついないだろ。 あんた誰?」 ???「・・・?俺は・・・あれ・・・」 吉田「どうしたんだ?」 ???「俺は・・・誰だ・・・?」 吉田「え・・・?」 男は記憶を失っていた。 なぜ自分がここにいるのか・・・ 自分は一体誰なのか、それすらもわすれていた。 吉田「だからあんた誰だよ。 」 ???「・・・。 わからない。 」 吉田「ハァ・・・?」 ???「どうやら記憶を・・・失ったようだ。 」 男はある種、冷静でいた。 しかし何かにおびえたような表情をしていた。 しばらく二人は話し合い、事を決めた。 吉田「よし、じゃあ俺の村で泊めてやるからついてこいよ。 」 ???「ああ、助かるよ。 それにこの服装・・・自分でも何だがわからない・・・。 」 吉田「それになんだが傷ついているね。 イノシシにやられて記憶を失うって間抜けだなぁ。 」 ???「・・・イノシシ・・・そんなものではない・・・俺は何か・・・何かを見た・・・。 うっ・・・」 吉田「・・・???さっきもうなされていたようだけど、何があったの?」 ???「わからない・・・。 俺は・・・何か重要な何かを知っていた気がする・・・。 」 彼の瞳には何が写っていたのか・・・? 今となってはわからないことだった。 吉田「まぁ、あまりかっこつけるなよ。 どうしてたいしたことないだろ。 」 ???「・・・。 」 吉田「あ、そうだ。 俺の父さんが記憶を失ったら、自分の身分を証明するものをもっているか探せって前いってたよ。 」 ???「・・・!そうか。 」 まず男は自分の腰のホルダーに目がいった。 これもまた自分も知らない武器が下がっていた。 次に胸のポケットを見てみた。 ???「これは・・・。 」 そこには何かの破壊力によって破損しているカードのような物が入っていた。 そこに記されているもので読み取れる文字は 『帝 08 団 朝日出』だけだ。 吉田「何何・・・これがお前の名前か?」 ???「・・・そうかもしれないな。 」 吉田「ふーん・・・じゃあお前の名前は朝日出な!」 ???「・・・!変な名前だな・・・まぁいいか。 」 朝日出「じゃあ、俺は朝日出で・・・そういえばお前の名前をまだ聞いてなかったな。 」 吉田「ああ。 俺は吉田。 父さんから剣を習ってるんだぜ。 お前も変な武器じゃなくて剣を使えよ。 」 朝日出「・・・。 」 朝日出「とりあえず、吉田の村に連れて行ってくれ。 吉田「ああ。 こっちだ!」 二人はユーグリフ村へ向かう。 その時吉田は今日の晩御飯はどうしようかと考えていた・・・。 ユーグリフ村では・・・ 萩野谷が村長の家から出てきた。 萩野谷「村人、全員を集めろ。 」 その一言で、兵隊たちが全ての家々をまわり、村人全員を広場に集めた。 村人1「おいおい、一体なんの騒ぎだ?」 村人2「祭りやるなら昼間にしようぜ。 」 門守「で・・・話はついたのか・・・?」 吉田父「・・・ 奴らは一体・・・? 」 40人近くの村人は騒いでいた。 しかしもうすぐ黙ることになる・・・。 萩野谷「交渉は決裂した。 ・・・村長はな。 」 村人「どういうことだ?」 萩野谷「村長と私は、この村の所有権に関する話をした。 私は村長に、ここら一体を私たちの領土にするかわりに、あなた方には私たちが作り上げた町に移住してもらう、と。 」 門守「その交渉は受け入れられなかったようだな・・・。 」 萩野谷「・・・。 ここに村人を集めたのは何のためだと思う?」 萩野谷は村人全員に問いかけた。 萩野谷「・・・もう一度・・・君達と交渉をしたい。 条件はさきほどいったものと同じだ。 」 村人「な・・・、村長がダメだといっただろ!ここでは村長の意見が絶対だ!」 萩野谷は村長の家に目を向けて言った。 萩野谷「何を言っている・・・?死んだ者の意見など聞く意味がないだろ・・・?」 村人「な・・・!」 村人全員が村長の家の窓から中をのぞく。 そこには喉を切り裂かれて倒れている村長の姿があった。 一面は血の海で誰が見ても生きているはずがなかった。 萩野谷「彼は私の提案に反対した。 ここらあたりの山林を開拓するといったとたんにね・・・。 君達はあの老人のような自然崇高者じゃないだろう?さぁ、交渉を受け入れてくれるな?」 村人「クソヤロォオオオオオオオ!!」 その瞬間、村人十人ほどが、萩野谷に向かって突進した。 カッ・・・ズシャアアアアアアアン 萩野谷の姿が一瞬消えたかと思うと、村人達は切り刻まれていた。 その光景を見て、逃げ出そうとした村人は外にいた兵士に捕らえられ、その場で切り捨てられた。 ある者は助けを呼ぶまいと鐘を鳴らす。 カラーンカラーン カラーンカラーン 村中に警鐘が鳴り響く。 しかし兵士たちは構わず村人を切り捨てて行った。 そして残ったのは二人・・・ 帝国兵士「ば・・・馬鹿な・・・グハッ・・・」 吉田父「その程度か・・・。 」 吉田の父は襲い来る兵士を軽くなぎ倒していった。 吉田父「おい、今のうちに逃げるぞ!ここはもうだめだ!」 吉田母「でも・・・直紀が!」 吉田父「クッ・・・」 その二人の姿に、萩野谷が気づいた。 そして吉田父と萩野谷の目が合う。 吉田父「お前は下がっていろ・・・。 」 吉田母「ええ・・・。 」 萩野谷「命乞いをしてわびれば命だけは・・・と言いたいところだが、お前達には死んでもらう。 マトモな闘いがしたくてウズウズしているのでね・・・。 」 闘争本能に燃えた萩野谷に、吉田父は冷静に対処する。 吉田父「貴様・・・目的は何だ?」 萩野谷「・・・。 先ほど言っただろう?耄碌したか。 」 吉田父「嘘をつくな。 ここら一帯の領土に何の価値がある・・・?」 萩野谷「鋭いな・・・。 冥土の土産に教えてやる。 確かに理由は違う。 いや・・・知らない。 」 萩野谷はほくそえみながら言った。 萩野谷「俺は主の命により行動を起こしているのみ。 この村の人間を抹殺しろという命令にな・・・。 」 吉田父「クッ・・・わかった。 俺の命をやろう・・・。 だが、俺の妻の命は助けてやってくれ・・・。 」 萩野谷「論外だ。 命令は遂行するのみ。 」 サッ・・・ザシュッ とっさのことで吉田父は対応できなかった。 神速で萩野谷が吉田母に斬りつけたのだ。 吉田父「きっ・・・貴様ぁああああーーっ!! 吉田父は怒りに任せて萩野谷に猛虎のごとく攻め入った! 萩野谷「やっと戦える・・・来るがいい!」 ビシャアアアアアアアアアアアン その時、雷鳴が響き渡り、決着がついた。 吉田「村から警鐘!?一体何が?」 朝日出「珍しいことなのか・・・?急いだほうがいいらしいな。 」 吉田「ああ!」 そして二人が村に着いた頃・・・ 全ては終わっていた。 吉田「な・・・なにがあったんだ・・・。 」 朝日出「酷い有様だ・・・。 誰がこんなことを・・・!!」 その時、吉田は村の逆の出口に黒い服を着た男が去っていく後ろ姿がかすかに見えた。 しかし吉田はあまりの光景で動くことができなかった。 朝日出「誰も・・・生きていないのか!?」 吉田「ハッ・・・父さんと母さんは!?」 吉田は少し探すと、母の亡骸を見つけた。 吉田「・・・!!」 吉田は泣くのをおさえ、父を探した。 朝日出「・・・!あの人まだ息がある!」 ???「う・・・うう・・・」 そこに倒れているのは吉田の父だった。 体は剣で1斬りされていた。 吉田「と、父さん!一体何が!」 父「うう・・・直紀・・・間に合ったか・・・。 」 吉田「誰がこんなことを・・・。 」 父「わ、わからない・・・だが・・・奴らの狙いは恐らくお前だ・・・。 」 吉田「!?」 吉田はとっさの父の言葉に困惑した。 自分が村を崩壊させた者の狙いだなんて聞かされたら当たり前である。 父「もし・・・奴にあったら注意しろ・・・。 」 吉田「奴って・・・どんな!?」 父「黒い軍服を着て・・・片目が潰れている男だ・・・。 ・・・俺は最後にあいつの片目と刺し違えた・・・。 」 吉田「馬鹿な・・・父さんを剣で倒すなんて・・・」 吉田は父を超える者はいないと信じていた。 それを崩された時が今であった。 朝日出「お、おじさん!大丈夫ですか!?」 父「!!・・・直紀・・・そいつは・・・?」 吉田「森で会った人・・・記憶喪失だって・・・」 父「そ、そうか・・・お前はそいつと・・・一緒にいれば・・・何かわかるかもしれないぜ・・・。 」 吉田「わかった・・・。 今、傷の手当てをするから待っていて!父さん!」 朝日出「いや・・・。 」 父「・・・傷は浅いが・・・血が止まらない・・・俺はもうだめだ・・・。 」 朝日出は吉田の父がもう助からないと判断していた。 なぜだろうか、自分でもわからない。 記憶を失う前の経験が生きたのかもしれない。 吉田「そんな・・・父さん!」 父「最期になるが・・・お前に伝えないといけないことがある・・・。 」 父はそして重大な事実を言った。 父「俺はお前の本当の父さんじゃない・・・。 」 吉田「え・・・!?」 父「俺とお前の今の母さんは、南の森で赤ん坊だったお前を拾ってこの村で育てたんだ・・・。 」 吉田「そんな・・・」 吉田は次々と言われる事実に呆然としていた。 おそらく吉田の精神状態を言い表すとすればコーヒーカップである。 父「グフッ・・・グフッ・・・ハァハァ・・そろそろ・・・終わりがきたようだな・・・。 」 吉田「逝かないで父さん!」 父「お前を・・・拾った時・・・身に着けていた物が・・・俺の尻ポケットに入っている・・・・・・・・・・・・・・・」 父「・・・・・・・」 父は絶命した。 しかし吉田は特別に泣いたりしなかった。 そして父の尻ポケットに入っている物を取り出した。 吉田「こ・・・これはサンバイザー・・・!!」 サイズはピッタリ今の吉田に合う。 そのサイズのサンバイザーが赤ん坊のときに何故つけていたのだろうか。 そして吉田はサンバイザーを身につけ、立ち上がった。 復讐・・・真実・・・この二つを目的に彼は旅立とうとしていた。 吉田「朝日出・・・一緒に墓を作ってくれないか。 」 朝日出「ああ。 いいだろう。 」 吉田「その後・・・俺と一緒に旅にでないか。 」 朝日出「わかった。 旅に出るべく、村の門・・・いや、門だったところに立っていた。 その門はすでに破壊され、原形をとどめていない。 吉田「くそっ!!何なんだこいつら!!」 ガスッ 吉田は、転がっている兵士の死体・・・おそらく彼の父が倒したものだろう・・・それに、怒りをぶつけるように蹴りを加える。 朝日出「(ぐっ・・こいつらを見た瞬間・・・頭が・・・何なんだ、こいつら・・・見覚えが・・・ある?・・・のか?いや・・・もしかすると、おれはこいつらに係わりがあったということか?)」 朝日出は何を思ったのか、近くに転がっている。 兵士の死体を探り始めた。 吉田「おい!何やってるんだ?」 朝日出「いやちょっとな・・・(こ・・・これは!?)」 朝日出は兵士の鎧に刻まれた刻印を見つけた。 その刻印には、 ディパン帝国 第04師団 と刻まれていた。 朝日出「おい!吉田!こいつの鎧、ここを見てみろ!」 吉田「ん?・・・これは・・・」 朝日出「どうやらこいつの出身地らしいな・・・」 朝日出はこの時気付いていた、この鎧に刻まれたシンボルマークが、自分が持っていたあのカードに刻まれていたマークと酷似しているということを。 カードは破壊されていたのだが、おそらく間違いないだろう。 さらに、『帝』の文字と『04』『08』といった文字による共通点もある、おそらく、数字は部隊番号だろう。 そう考えると、自分の服装などから自分が幹部だったということが推測できる。 しかし、それが事実だとすると、一つ納得ができない事態に陥る。 なぜ、自分がなんなところにいたのか? というところだ、それは自分が見たような気がする重要な『何か』に関係しているのか? 吉田「どうしたんだ?考え事か?」 下を向いたままの朝日出に吉田が問いかける。 吉田は、まだ朝日出が持っていたカードと、この兵士の共通点に気付いてはいないようだ。 朝日出「いや・・・何でもない。 それよりここに刻まれているディパン帝国って知ってるか?」 吉田「ディパン・・・ディパン・・・そういえば、隣のおじさんと村長が話してるのを聞いた覚えがあるな・・・確かこの村から、北東の方向にある国だったかな?」 朝日出「・・・大雑把過ぎてわからないな・・・」 この大陸、ユーレリアには、17もの国と自治権をもった村がある。 その中では北東の方角と言うだけの情報は全く役に立たないものでしかなかった。 吉田「なら、ともかくこの近くの村で情報を集めようぜ!RPGの基本だろ!!」 朝日出「ったく・・・ゲーム気分かよ。 」 吉田「問題ないって!!」 朝日出「・・・じゃ、それはいいとしてどこえ向かうんだ?」 朝日出は仕方ないといった表情で尋ねる。 吉田「うーん・・・この村の近くの精霊の森を超えたところに、ここより大きい学術都市があるんだ。 たしか、フレンスブルグって名前だったかな?前に父さんの食料の買い出しに行ったことがあるんだ。 」 朝日出「じゃあとりあえず精霊の森だな・・・案内してくれ。 」 吉田「わかった。 こっちだ!」 こうして2人は旅立つことになったしかし、二人はこの時知る由もなかった。 歩きながら話す二人・・・ 吉田「父さんがよるこの森をうろつくのは危ないって言ってたからな・・・今日は、ここ、森の入口で野宿だな・・・」 朝日出「・・・甘かったな?」 吉田「何が?」 吉田は何を言われたか理解できていないようだった。 しかし朝日出は敏感に感じ取っていた。 聴覚や視覚、嗅覚などではないいわゆる第6感で。 そう、殺気の様なものを・・・ 朝日出「吉田・・・止まれ・・・」 吉田「・・・」 このとき吉田も理解した。 最もこちらは、朝日出の様な研ぎ澄まされた戦闘感覚からではなく、野生の感のようなものだったが・・・ しかし、このとき2人は知らなかったのだ。 ここ、精霊の森の別称、凶渦の森そしてその謂れを・・・ ガサッ!! 次の瞬間、茂みの奥から狼が飛び出してきた。 もしこれが2人が気を感じていたところから飛び出してきていたのなら、対応できただろうしかしそれが飛び出してきた位置は、二人の考えていた位置とは反対方向だったのだ。 位置は朝日出の背後。 朝日出「なっ!?」 とっさのことに対応が遅れる・・・が、朝日出はすでに振り向き銃を抜いていた。 記憶を忘れる前、彼が切り抜けてきた戦闘の数々、それが彼の体を動かした。 この指令は脳から出たものではない、反射運動だ。 人が脳を通して状況を判断し、行動へ移すためにはどんなに早くても約1秒はかかる。 しかし、大脳を通さないその指令は百分の一秒という驚きのスピードで命令を筋肉へとつたえる。 ガゥン!! ズバシャン!! 乾いた銃声とともに聞こえた斬撃音、そう、吉田も朝日出と同時に動いていたのだ。 すでに吉田のスピードは一般人の大人では太刀打ちできないほどになっていた。 吉田「ふう・・・おかしいな・・・俺の後ろから来ると思ったんだが・・・」 朝日出「ああ・・・それにしてもお前・・・なかなかやるな・・・」 吉田「ああ、俺は強いぜ?なんたってあの村最強の俺の父さんに、毎日しごかれたんだからな!!」 正確には彼の父ではない、しかし、血のつながりなど彼にとっては些細なものでしかなかった。 朝日出「しかしどうする?この森・・・何かが変だ・・・」 吉田「ああ・・・早く抜けたほうがいいかもな・・・」 吉田と朝日出は歩き始めた。 その頃・・・ 学術都市フレンスブルグ郊外 多くの黒い甲冑に身を包んだ兵士たちが、草原を歩いている。 少し先には、大きな街の光が瞬いている。 ???「・・・よし、止まれ。 とりあえず今日はここで野営だ。 」 その部隊の先頭に立っている男が言い放つ。 男の服装は赤っぽいマントを羽織っていて、右腕は肩の部分からて日本の鉄製の義手のようなものが付いており、指先の部分には鋭くとがった鉄爪が付いている。 参謀「は?団長、失礼ですが、このまま夜討をかけたほうがよいのでは?」 部隊の二番手を行く男が団長と見られる男に声をかける。 実に不機嫌そうな顔だ。 ???「いや・・・夜は敵も警戒している。 ここフレンスブルグの長は、自警団を雇っているとも聞く、どうせなら朝方のほうがよいだろう。 」 参謀「・・・わかりました。 朝日出「くっつ!まったく気配を感じなかったぞ?!」 あわてて振り返るが予想以上のそのスピードにはついいていけなかった・・・オオカミの口が朝日出がとっさに出した左腕にかみつく。 朝日出「ぐっ!!」 吉田「朝日出!!」 シュッ! 吉田が足のばねを使い、一気に狼との距離を縮める。 次の瞬間、鞘走りでスピードを高めた剣が走る。 スザァン!! どさっつ・・・ 首を切りおとされた狼男の体が地へと崩れ落ちる。 朝日出「ぐっ・・・・」 うめき声をあげる朝日出に駆け寄る吉田。 朝日出の腕からは、おびだだしい量の血が流れ落ちている。 吉田「大丈夫か?」 朝日出「ああ、ありがとな・・・・・・今のではっきりわかった。 この森・・・第6感が全く働かない。 」 吉田「そうか・・・さっきから感じていた変な感じはそれか・・・」 ふと朝日出が倒れている狼男へ眼を落す。 朝日出「それにしても何なんだ?こいつは・・・」 吉田「人間と狼のあいのこか?」 顔は狼、体は人間・・・にしてはやけに毛深いが・・・ 吉田「あ、でも確かそろそろ出口のはずだし・・・変種の魔物とでも思えば気にすることなくない?」 朝日出「それもそ」 ???「チャチャチャチャチャ」 朝日出が言葉を終える前に頭上から声が響いてきた。 ・・・笑声・・・なのだろうか? 吉田と朝日出が頭上を見上げると、鬱蒼と茂った木の枝の合間に一匹のサルがいた。 吉田「なんなんだあいつは!??」 朝日出「さあな・・・だが・・・目がやばい」 ???「チャチャチャ・・・」 シュッシュ!! その生物・・・猿は木から木へと飛び移りながら吉田と朝日出へと向かってきた。 ガゥン!ガゥン!ガゥンッガゥン!! 朝日出の銃が火を噴くが、その銃弾はことごとく外れてしまう。 猿のスピードは目で追うのが精一杯なほどの早さだった。 朝日出「くっそう!!早すぎる!!とらえきれねえ!!!」 吉田「俺が動きを止める!そのすきに!!」 朝日出「わかった!」 シュッシュッ!! 吉田も猿に負けじと木の間を縫って猿に迫ってゆく。 猿「チャーー」 ボボボボボボボボボボボボ!! 吉田が、猿を射程距離に収めたその瞬間猿のスネ毛うちの数十本が信じられないほどの速度で伸び、吉田を襲う。 吉田「くっそ!!空波斬!!」 シュゴオオオオオ!! 吉田が振った剣の先から発せられた衝撃波がスネ毛のうちの何本かと衝突し、相殺する。 しかし、何本かのスネ毛は、依然として吉田のほうへ迫ってくる。 吉田「しまった!!打ち漏らしたか!!くっ・・・」 吉田が死を覚悟した次の瞬間。 ガゥン!ガゥン!ガガゥゥン!! 朝日出が放った銃弾がスネ毛の先端を正確に撃ち落とす。 朝日出「吉田!油断大敵だぞ!!」 吉田「!!ああ!!すまねえ!恩にきる!」 シュタッツ! 勢いが落ちていったん地面まで降りてきた吉田だったが、地面に足がついた瞬間、人間とは思えない脚力で飛びあがった。 猿「チャーーーー!!」 猿は再びスネ毛を使おうとする、が、猿が狙いを定めようとした次の瞬間には吉田はもうそこにはいなかった。 飛び上がった先にあった木の枝蹴り、その反動をを利用して、猿の背後に回り込んでいたのだ。 吉田「余裕!!空波斬!!!」 シュゴオオオオオオオオオ!! 衝撃波が猿を襲う。 猿「チャ、チャーーーー!!」 次の一瞬猿はその変則的な動きができなくなっていた。 吹き飛ばされるような単純な動きならば、朝日出にとってそれを打ち抜くなどという芸当は目をつぶってでもできるレベルのものだった。 ガゥン!! 猿「チャーーー!!!!!!!!!!!」 朝日出の放った銃弾は猿の脇腹を貫いた。 ドゴオオオオオオオオオン!! 先の衝撃波の勢いが全くおとえず、地面に激突する猿。 さらにその上から吉田が次の攻撃を放とうとしていた! 吉田「とどめだ!!エリアル・レイド!」 背後の気を利用して、速度を上げた吉田の蹴りがうつぶせに地面にめり込んでいる猿の背中に直撃する。 猿はもう既に動かなくなっていた。 吉田「・・・三割さ・・・」 朝日出「・・・三割ってお前・・・馬鹿か?」 うつむき加減になりながら三割とつぶやいた吉田に朝日出が突っ込みを入れる。 吉田「まあ、いいだろう?もう出口はすぐそこだ。 参謀「団長!さあ、出撃の準備を。 」 ???「出撃?俺はそんな手荒なまねはしたくないんだよね・・・」 男は嘲笑気味に答える。 参謀「何を言っていらしゃるのだ?皇帝陛下からのご命令を忘れたのですか?」 ???「ああ・・・あれ、確か『フレンスブルグ』を帝国の圏内に取り入れよだったかな?」 参謀「なら!!」 参謀は顔を赤くしながら講義する。 ???「皇帝陛下も力ずくでなんて言ってないだろう?」 参謀「・・・いいでしょう。 対話したいと 申されるのですね?」 ???「そうだ。 」 参謀「ええい!!団長だからと言って我慢していたが!!貴様!とんだ腑抜け野郎だ!!これ以上貴様にはついて行けん!!こんな時に臆病風に吹かれおって!!」 参謀は剣を抜き、男へと近ずく。 ???「・・・なにもせずに武力で打って出ようとするのと、話し合いと歩み寄りの道を求めようとするのはどっちが臆病かな?」 参謀「詭弁を!!!!」 参謀は剣を振りかぶる。 しかし、その腕が振り下ろされることはなかった。 男が発した一言で参謀は動きを止めた。 ???「そういえば、そろそろ本国から監察が来る予定だけど・・・君、反逆罪で打ち首になりたい?」 参謀の顔からみるみる血の気が引いてゆく。 そして剣を鞘におさめた。 ???「そうそう、しばらくここで待っててくれよ?」 男はそういうと、隊員の中から数名を選びフレンスブルグの門へと向かった。 門番「誰だ貴様!!こんな時間に何の用・・・」 門番はマントを着た男の後ろにいる黒い甲冑を身につけた兵士を見て言葉を止める。 ???「あぁ・・・誤解しないで、ここを攻め滅ぼそうってわけじゃないから。 」 男は固まっている門番に笑顔で話しかける。 ???「交渉がしたいんだ。 ここの長を呼んでくれるかな?」 門番「あくまで使者というわけですか・・・仕方がありませんね・・・」 戦時中の最低限のルールとして使者は受け入れると同時にその安全は保障するというものがある。 それの後ろ盾に守られ、男は学術都市フレンスブルグの中央にあるフレンスブルグ学院へと向かう。 この街は特殊な構造をしていて、ここの長はフレンスブルグ学院の学園長である。 男は学院の各院長室へ招かれた。 ???「新蔵学院長、お目にかかれ、光栄です。 私はディパン帝国、十二騎士団第12師団団長の堀越と申します。 」 新蔵「形式的なあいさつは抜きにしてもらおうか?本題は何だ?ここの支配か?まあとにかくディパン帝国の今までのやり方とは少し手がうようだな・・・」 堀越「はい、こちらの意見を率直に申し上げます。 ここを我々の支配下に置きたい。 ここは海に面しており、海上の防衛の拠点に適していると、我等が皇帝皇帝陛下は、お考えです。 その代償・・・と言ってはなんですが、こちらを明け渡していただけた場合は研究費用として8000万Gほどを・・・」 新蔵「拒否いたします。 」 堀越が最後まで言い終わらないうちに新蔵は話を切った。 堀越「では、交渉は決裂・・・ですね?」 新蔵「ああ・・・」 堀越「あくまでディパンの命に背く・・・か・・・いいだろう、ここの安全は保証しいな・・・」 堀越は窓に歩み寄ると手榴弾のようなものを外にほおり投げる。 ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!! 新蔵「貴様!今のはまさか!?」 堀越「ああ・・・開戦の合図だ。 」 フレンスブルグ郊外 参謀「開戦の合図だ!!」 兵士「おおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」 数時間後・・・ 新蔵は堀越により捕えられたフレンスブルグの士気は低く、ほどなく勝敗は決まり、市民は広場へと集められた。 ディパン監察官「堀越よ、ディパン帝国に逆らった民たちだ・・・女子供かかわらず処刑せよ。 ほかの村、町に対する見せしめだ。 」 堀越「・・・はっ。 」 ディパン監察官「では、私はここのほかも回らねばならぬので失礼。 」 監察官はそういうと、馬に乗り東の方角へと消えていった。 それを確認した堀越は、 堀越「・・・市民を全員避難させろ・・・」 参謀「!?貴様やはり・・・皆の者!このような奴の言うことを聞くことはないぞ!!!」 参謀が食って掛かるが、兵士たちは参謀を無視し、市民たちの縄をほどき始めた。 どうやら、誰も無抵抗の市民を望んで殺したい者はいないようだ。 堀越の意外な行動に驚いた村人は呆然としていた。 堀越「・・・皆の者。 フレンスブルグは、皇帝陛下の命によってディパン帝国の領地になる・・・。 もし逆らえば私も今度は本当に処刑するだろう。 」 堀越は演説をするかのように市民に呼びかけた。 堀越「安息の地は用意してある・・・。 帝国が作り上げた移民土地ライゼンバッハに皆の者には移り住んでもらう。 決しって悪い待遇ではないはずだ。 」 先ほどの堀越の行動を加えて堀越の提案には賛同するものもいた。 新蔵「・・・ここ以上の生活を与えてくれるのなら私も山道しよう。 」 新蔵はの質問に堀越は答える。 堀越「・・・約束しよう。 」 兵士「さぁ、団長様からの直々の誘いだ!ライゼンバッハに住みたい奴はついてこい!」 そして少しの時間がたてば市民たちは兵士たちの前に並んでいた。 堀越の策略どおり、移住を望むすべての市民たちが移住を望んだ。 いや、ここで逆らえば処刑される。 しかも待遇は良い。 言うがままにするのが誰にとっても良いと判断したのだろう。 堀越「ではお前達はライゼンバッハまで案内をしてやってくれ。 帝国までは長い。 道中はくれぐれも安全に。 」 兵士「ハッ。 」 兵士たちはは何百人もの市民を導き、帝国への道を歩んで言った。 まさにこの様は大名行列のようであった。 そしてフレンスブルグがもぬけの殻になり、残ったのは2、3人の兵士と参謀と堀越だけだった。 参謀「くっ・・・うまくいったからいいものを・・・。 」 堀越「確かに全面戦争を仕掛けたほうがてっとりばやかった。 」 堀越「それに最近の皇帝陛下はなぜか皆殺しより、ライゼンバッハへの移住を望んでいるようだ。 何故だと思う?」 参謀「さぁ・・・。 私たちは皇帝陛下に命じられたとおり行動していればそれでよいのでは・・・。 」 堀越「それもそうだな・・・。 」 話し合っている二人に黒い服を着た男が近寄っていることに堀越は気づいた。 堀越「あなたは・・・十二騎士団04騎士隊長、萩野谷」 萩野谷「新人の十二騎士団12師団団長さんか・・・。 」 堀越「ここで会うとは奇遇ですね。 」 十二騎士団の隊長同士が作戦意外で帝国の外で会うということはまずないことであった。 それもこれも萩野谷にはすでに部下の兵士は一人も着いていなかったからである。 堀越「やられた・・・ようですね。 部下も全滅ですか。 」 萩野谷「勘違いするな・・・。 任務完全に遂行した。 ただ単に私の左目と部下十数人が犠牲になっただけだ。 」 萩野谷の左目は応急処置をした程度で傷跡はむき出しであった。 堀越「もう目はだめですね・・・。 」 萩野谷「ああ。 止血はしたが、もう見えていない。 眼帯がほしいところだ。 」 堀越「あなたの任務はたしか・・・」 萩野谷「辺境の村の村人の殲滅だ。 お前も似たような任務だろう?」 堀越「私の任務は領地の獲得です・・・。 人殺しとは訳が違いますよ・・・。 それにしても・・・一体誰があなたと兵士を?」 萩野谷「知らないな・・・。 相手はただの剣士だった。 」 堀越「それにしても・・・さすがですね。 その目の傷跡を見る限り、相手の刃は音速を超えています・・・。 そんな相手を倒すなんて・・・。 」 医学の心得がある堀越は傷跡をみるだけで、敵の実力を知る事ができた。 萩野谷「いや・・・。 この鎧を着ていなかったらやられていたのは私だったかもしれない。 」 萩野谷の軍服は鋼鉄の鎧になっていた。 しかし、その傷跡はそれをも砕いていた。 そしてその跡に気づいた堀越は目を丸くしているだけであった。 堀越「・・・。 その村は一体・・・不思議ですね。 なぜ皇帝陛下はそんな村の殲滅など・・・。 」 萩野谷「さぁな。 それにしてもお前・・・ここの市民はどうした?」 堀越「ああ。 例の移民都市に兵士に連れて行かせました。 」 萩野谷「移民都市・・・十二騎士02魔団団長佐藤と02魔団の兵士、皇帝陛下、そして移民してきた人々しか入ることが許されない例の都市か・・・。 」 堀越「ええ。 なぜ佐藤さんの部隊だけ許可されるのでしょうかね?」 萩野谷「わからんな・・・。 それよりも逆に一般の移民が入れて我々が入れないことのほうがおかしいが・・・。 」 移民都市・・・それは帝国でもなぞめいている地域である。 十二騎士団佐藤の部隊と皇帝陛下、そしてそこに来た移民・・・彼らのみしか移民都市ライゼンバッハの真実は知らない・・・。 果たしてそこは噂に聞く天国のような都市なのか・・・? 萩野谷「さて・・・私は皇帝から受けた任務は全て完了した。 」 堀越「私もですね。 」 参謀と数人の兵士は十二騎士の二人の会話に割り込めなかったが、いるので忘れないで欲しい。 参謀「団長、次の任務はすでに皇帝から受けております。 これは十二騎士団の皆さんに宛てた者ですから、萩野谷様、あなたも当てはまりますね。 」 萩野谷「・・・久しぶりの十二騎士の全員集合か・・・。 おそらく次の戦争にかかわることだろう。 」 堀越「フケガオ王国・・・ですか。 」 萩野谷「ああ。 フケガオ王国を倒せば、この世界全域は帝国 の支配下となる。 」 堀越「では・・・さっそく帝国まで急ぎましょう。 」 ピッー 堀越は午笛を鳴らす。 そして町の外にいた人数分の馬がやってくる。 萩野谷「助かる。 では行くぞ!」 馬に乗った彼らは帝国へと進んで行った。 そしてそこに移民をつれた馬車がやってきた。 02魔団兵士「止まれ・・・。 どの部隊の者だ?」 11騎士団兵士「11騎士団だ。 」 ???「団長はどこだ・・・?」 02魔団兵士「・・・11騎士団隊長様でございますか・・・団長はあちらでございます。 」 違う部隊同士がここで交錯しあう。 今、移民の受け渡しが行われようとしていた。 佐藤「あら、ご苦労様ジェラくん。 ここからはユイがやるわ。 」 ジェラ「ローリンソン、セラウェイ、スマタウン、この3つの村からの移民約、1200名だ。 」 佐藤「大量大量。 じゃあこの先はあなたたちは通行禁止だからじゃあね。 」 ジェラ「ああ。 」 その時、佐藤は何かに気づいたように振り返った。 佐藤「あ、そういえば十二騎士団全員に召集がかかったそうよ。 謁見の間に行ったほうがよろしいんじゃない?」 ジェラ「・・・そうか。 お前も急がなければな・・・。 」 佐藤「ええ。 この移民をライゼンバッハに入れたら私も向かうわ。 」 ジェラは振り返り、兵士達に声をかける。 ジェラ「皆の者、任務は完了した!それぞれは兵舎に戻れ!」 その一声で兵士達はここから近くにある11騎士団の兵舎へ向かっていく。 ジェラは西の方角にある城に馬を走らせる。 佐藤「さて・・・さぁあなたたち、この門をくぐりなさい。 」 ウイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン 奇妙な音とともに、横縦10mほどの大門が開く。 その先には何も見えない。 移民1「な、・・・なぜ先が見えないんですか?」 佐藤「これはね・・・外部からは見えないように私の力が働いているのよ・・・。 さぁ入りなさい・・・。 」 言われるがままに数百人もの人々は門をくぐっていく。 中には暗闇に見える門ゆえか入るのをためらうものもいた。 移民2「あのぉ・・・本当にいいところなんですかね・・・。 移民都市って・・・。 」 佐藤「ええ。 もちろんよ・・・。 この先は差別もなにもない世界・・・。 理想郷よ・・・。 」 そして促された残りの移民たちはついに足を踏み入れた。 ウイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン 門が閉まる。 佐藤「あはははは・・・・。 これで皇帝陛下様もお喜びになる・・・。 闇人形もこれで6万匹を越したわね・・・。 」 佐藤「さぁて・・・私も少し狩ろうかしら・・・?」 ウイイイイイイイイイイイイイイイイイイン 佐藤の姿は少しの闇につつまれ消えた。 これは明らかに小川の空間移動とは別質であった。 そして・・・門の中では・・・ 何かが起こっていた。 しかしそのころ、この先に何が待ち構えているのかも知らず、フレイスブルグの移民たちも帝国への道・・・いや、闇への道を進んでいた・・・。 まるで死んでいるかのように静まり返った町・・・そこには、吉田が父とともに来た頃の活気あふれた街の面影は残っていなかった。 吉田「おかしいな?こないだ父さんと来たときは、もっとにぎやかだと思ったのに・・・」 朝日出「・・・おい、門から出てくるあれは・・・」 吉田「え?」 吉田が門から出ると、そこから三騎の馬が走り去っていった。 吉田の驚異的な視力は、その馬にまたがっている男の姿を完全にとらえていた。 黒い軍服を着た、隻眼の男 あいつだ、吉田の両親を討ったあの男。 こんなところで早くも会えるとは・・・ 吉田の心は喜びと純粋な殺意に支配されていた。 吉田「あのヤロッ!!」 飛び出そうとする吉田、しかし、朝日出がこれを止めに入る。 朝日出「待てっ!!あの男の強さは計り知れない・・・今でてっても返り討ちに合うだけだぞ?」 吉田「だけどっ!!!」 二人の感情は大局的だった。 あくまで冷静に対処する朝日出。 怒りに身を任せ、両親の敵を取ろうとする吉田。 どちらの意見が正しいかは、言うまでもなかった。 朝日出「落ち着くんだ!もし今出て行って、お前が殺されたら、誰がお前の父親と母親の敵を取るっていうんだ!!」 吉田「・・・」 朝日出の説得により、吉田は平常心を取り戻していった。 吉田「・・・わかった・・・犬死にはごめんだ・・・」 朝日出「しかし・・・どうやらあの街も帝国の支配下に置かれたようだな・・・」 そのことを推理する材料は十分すぎるほどあった。 吉田「とりあえずいってみようぜ?幹部みたいな三人はあっちのほうに行っちまったんだ。 そこまで危険っていうわけじゃないだろう・・・」 朝日出「・・・まぁ、情報を手に入れないことには始まらないからな・・・」 数分後・・・ 2人はフレンスブルグの門の位置まで来ていた。 兵士「!!」 一人の兵士が吉田たちの方角を向き、驚いたような表情で見つめる。 兵士「朝日出様!?なぜこのような土地に?」 吉田「朝日出様っておま・・・むぐっつ!!」 このときとっさに吉田の口を押さえた朝日出の判断は正しかった。 もっとも、それは町を出る時に自分が帝国騎士団の幹部だったのではないか?という疑問をかすかながらに抱いていたおかげだったのだが・・・ 兵士「・・・?どうかなさったのですか?」 朝日出「いや・・・何でもない・・・少し特命を受けて、任務の遂行中だっただけだ・・・ああっと・・・あれだ、その特命にこのガキが関与しているんだが・・・詳しいことはな・・・」 朝日出の行動がよくわからないといった表情で、質問してきた兵士を丸めこむ。 一種の賭けだった、何も分からない朝日出にとっては、いつ自分の記憶喪失がばれないことを願った。 もし、自分の応対におかしなところがあれば、一大事になりかねない。 兵士「そうでしたか・・・それより、上より達せられた命令はご存知ですか?」 朝日出「いや・・・特に新しい指令はないが。 上から何か聞いているか?」 兵士「そうですか・・・どうやら十二騎士団の全隊長に集合の命が下ったそうですが・・・」 心の中で朝日出は勝ち誇っていた。 どうやら賭けはおれの勝ちらしいと・・・ 朝日出「ああ・・・わかったすぐに帝国へ向かう。 ずいぶんと遅れてしまっているようだ。 このあたりの地図をくれないか?近道でもわかるとありがたいのだが・・・」 兵士「あっ・・・はい私が持っているものでよければ・・・」 兵士はそういうと、自分の荷物をあさり始めた。 吉田の口は相変わらずふさがれたままだ。 兵士「あっありました。 これをどうぞ。 」 兵士はそういうと、朝日出に地図を手渡した。 朝日出「ああ、ありがとう。 早速出発することにしよう。 」 兵士「あっ、待ってください!!」 振り返り出発しようとする朝日出を呼び止める兵士、朝日出は不自然に思われたのかもしれないと、冷や汗をかいていた。 しかし、兵士がそのあとに続けた言葉は、その心配が取り越し苦労であったことの証明ともなった。 兵士「馬をお貸ししましょう。 なにしろディパンまではかなり今日があるますから・・・」 朝日出「ああ、すまないな。 」 朝日出は安心しながら礼を言い、馬を受け取ると馬を走らせた。 フレンスブルグから数時間まえに出発した、十二騎士団団長2人と、その参謀がひとりである。 ちなみに、フレンスブルグよりほぼ同時期に出発した、移民たちは、行程の半分ほど馬を走らせた段階で、すでに追い越してきていた。 萩野谷「・・・予定よりも早く着いたな。 」 堀越「ええ・・・門番!!十二騎士団第12師団団長堀越だ!到着した!門を開けてくれ!!萩野谷さんも一緒だ!」 堀越が、城壁に向かって叫ぶ。 この門は、内側からでないと開けられない仕組みになっており、誰が入る時もこのように内側にいる門番に開けてもらわなければならない。 ギギギギギギギギギギギギギギ・・・・ 鈍い音を立てながら門が開く。 萩野谷「よし、宮殿へ向かうぞ!!」 堀越「あ、ちょっと待ってください。 」 萩野谷「なんだ!?」 堀越「ちょっと野暮用がありますんで、先行っててもらってもいいですかね?」 おどけた表情で言う堀越、萩野谷は仕方ないといった表情で返す。 萩野谷「何んだ?仕方ないな・・・まあもう全員そろっているというわけじゃないし、いいだろう。 早めに済ませてこいよ?」 堀越「わかってますよ。 じゃあちょっと行ってきます。 」 堀越はそう言うと帝国の東側へと馬を走らせた。 萩野谷は12師団の参謀を連れて、宮殿へと向かう。 萩野谷が宮殿に到着するころ、十二師団が集結しつつあった。 現在、宮殿十二師団控え室には、萩野谷を含めて五人の団長が集まっていた。 第01騎士団団長、小川。 第03歩兵師団団長、中郷 第04師団団長、萩野谷 第06師団団長、シゲタ 第11師団団長、ジェラ これに加え、現在ライゼンバッハより、佐藤が向かっている。 帝国兵士「もうすぐディパンにつくぞ!」 新蔵「・・・もうすぐディパンか・・・(話がうますぎる気がするのは俺だけか?・・・いやな予感がする・・・)」 期待は裏切られるためにあり、嫌な予感は当たるためにある・・・こんなことを言ったのは誰だったか。 まさに、このときの新蔵の嫌な予感は見事的中することになる。 このとき、誰にも気づかれていなかったが、近くの草むらに二人の影があった。 吉田と目立つ黒い服を着替えた朝日出・・・ どこに着替をもっていたのかという、突っ込みはやめていただきたい。 ・・・おねがいだから。 朝日出「・・・この行列・・・ディパンの捕虜、と考えるのがベストだな。 となると、あの中に混ざれば、うまくディパンに潜り込めるかもな・・・」 吉田「ああ、しかしディパンに乗り込めるのはいいが、これからどうするつもりだ?」 朝日出「何が?」 吉田「だって、お前、あいつらの仲間だったんだろう?」 怪訝な顔つきで質問する吉田、最悪のケース・・・朝日出の記憶喪失が演技の可能性まで吉田は考えていた。 しかし、朝日出は 朝日出「ふっ・・・ああ、そうらしいな、だが・・・今じゃそんなことはどうでもいい。 お前についていくだけだ。 」 この時の朝日出の言葉は半分が嘘だ。 この時の朝日出にとって重要だったのは吉田についてゆく、というよりは、真実を知ることだった。 だがしかし、真実を知るという意味では吉田も同じ目的を持っている。 つまり、吉田についてゆきたい、というのも完全な嘘ではなかった。 吉田「・・・そうか・・・」 朝日出「ああ・・・ちょうどこの横を通り抜けるタイミングで列の中に入るぞ・・・」 吉田「・・・わかった。 」 朝日出「一・・・二の・・・三!今だ!!」 移民団の一団が横を通り過ぎる次の瞬間・・・ 移民団のメンバーが2人増えたことに気づくものはいなかった。 一方、ライゼンバッハ正門前・・・ 堀越は、ここの手前で馬を下り、建物の陰に身を潜めていた。 堀越「(さあて・・・ここまでは、ばれないで接近できた・・・どうやら俺が感じた謎の波動の発信源はここか・・・いや・・・ここのほかにも・・・しかし、どうやってこのなかを探る?)」 ???「何をしているのですか?」 堀越「!!!」 堀越の背後から突然声が掛けられる。 堀越「誰だ!?」 ???「私ですよ・・・」 堀越「お前は02魔団の参謀か・・・脅かすなよ・・・」 その男は佐藤率いる第02魔団参謀だった。 しかし、なぜいきなり暗闇の中から現れたのか・・・ 参謀「・・・第12師団の団長であるあなた様が、なぜこのようなところへ?」 堀越「いやぁ・・・この中に何がどうなっているのか気になってね・・・」 堀越はライゼンバッハの城壁を指さしながら言う。 このとき堀越は、参謀の後ろに回された手が、何かをつかんだということを見逃さなかった。 参謀「・・・そうですか。 この中は差別や上下関係のない、争いも起きない、そんな、理想郷になっております。 」 堀越「じゃあ、何で俺達が入れないんだ?」 この質問に参謀は少し考えるためか、間をおいて答えた。 参謀「それは・・・」 堀越「それは?」 参謀「この街の住民の中には、あなた方を快く思っていない輩がいるからです。 襲われたら、シャレになりませんからね・・・」 堀越「そうか・・・じゃあ陛下に呼ばれてるんでな・・・」 争いのない、そう言った言葉に矛盾していたのだが、堀越はこの時、あえてそのことを見逃した、それはこの後に参謀がとるであろう行動が予測できたからだ。 堀越が振り向いたのを見はからうと、参謀は後ろ手に握りしめていたナイフを、堀越目がけて投げつける。 参謀「ここに疑問を持った時点で、いかに十二師団団長だろうが、消される以外に道はない!!」 ヒュン!! ナイフが風を切り、一直線に堀越に向かって飛ぶ。 しかし、そのナイフが目標を捕らえることはなかった。 堀越は宙を舞い常人には見えないほどの速度で参謀の後ろに回ると、その鋭い鉄爪を参謀ののど元に押し付ける。 切れた皮膚から血が滴っていく・・・ 堀越「さあて・・・教えてもらおうか?あの中が一体どうなっているのかを・・・なにがアルカディア、理想郷だ・・・中から感じる波動が普通じゃないことに気づかれなとでも思ったか?」 参謀は震えながらも体を闇に包もうとする・・・が 次の瞬間、闇が発生しないということに気づく。 参謀「なっ!?バカな・・・」 堀越「無駄だ、貴様のそのおかしな術は封じさせてもらった。 」 参謀「な、なぜ貴様のような者が・・・12師団と言えば強さは最下位のはず・・・なのに・・・」 参謀は目を白黒させる、かなり驚いているようだ。 堀越「そんなことはどうでもいい。 おれの質問に答える気があるのかないのか?」 鉄爪がさらに強く押し付けられる。 参謀「まままま・・・待ってくれ!!答える!答えるから!!」 堀越「くくく・・・よし。 で?あの中はどうなっているんだ?」 参謀「あの中に入ったものは闇にのまれる。 」 堀越「闇?」 驚いたような表情で切り返す堀越、その表情や、口調から察するに、闇という言葉に心当たりがあるようだ。 参謀「ああ、闇だ。 そして、闇使いによって、完全に作り上げられた、優秀な兵士・・・闇人形になる。 」 堀越「闇人形だと?」 参謀「ああ、闇を使え、闇使いの命令には絶対服従の優秀な兵士だ!!もういいだろう!?はなしてくれ!!」 震えながら答える参謀には最初に会った時の、冷静さはみじんも残っていなかった。 もはや、必死の形相に、吹き出る冷や汗、別人のようだ。 堀越「ああ、答えてくれてありがとう・・・じゃあな!!」 ズブシャアン!! 堀越の鉄爪が参謀ののど仏を切り裂いた。 吹き出る鮮血・・・ 参謀「がっ・・・」 どさっつ・・・ 参謀は糸の切れた操り人形のようにその場に倒れこんだ。 堀越「な・・・。 こいつは人間じゃないのか!?こいつすら、やつが言っていた闇人形だというのか!?」 堀越は驚いた。 しかしすぐに冷静さを取り戻して考えた。 堀越「移民は皇帝陛下が推奨していたこと・・・まさか皇帝が闇の根源・・・!?」 堀越「チッ、どうすれば・・・俺一人の力ではどうにもできん・・・。 」 ウイイイイイイイイイイイイイイイン 堀越の後ろに闇に包まれた女性が現れる。 佐藤「あら、ずいぶん困った顔をしてるじゃない?どうしたのかしら?」 堀越にとってこのタイミングで佐藤に会うことは何よりもまずいということがわかっていた。 なぜなら彼女は移民都市を管理している02魔団の団長だからである。 堀越「・・・っ!」 堀越は踵を返し、佐藤のいない方角へ駆ける! しかし佐藤がそれを見逃すはずがなかった。 ウイイイイイイイイイイイイイイン 堀越「グアアアアアアアアアアアアァ!!」 闇。 堀越の右腕が闇に包まれる。 次の瞬間、その右腕は消えていた。 堀越「ハァハァ・・・ぐっ」 佐藤「あら・・・本物の腕を失ったらその程度の反応じゃ済まないはず・・・。 その右腕、義手のようね。 」 堀越は一瞬にして自分の右腕を消した術に驚くこともなく、冷静に言葉を返す。 堀越「ああ・・・。 しかしその義手は高くつくぜ・・・?」 バッ! 堀越は左手で短剣を構えて宙を舞う。 堀越「!?」 堀越は確かに佐藤の後ろを捉えたと思っていたが、そこに彼女の姿はなかった。 ウイイイイイイイイイイイイイイン 堀越の足元、いや、堀越の足元から半径5mほどか、闇の円が出来た。 ウイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッイイイン!!! 堀越はふんばるが、足元からじょじょに闇に飲まれていく。 そして目の前に佐藤が現れる。 佐藤「アハハハハ!哀れね。 もうすぐあなたの体全体は闇に犯される・・・。 一瞬で消してやってもいいけど、消える恐怖を味あわせてあげてるのよ・・・。 堀越「チッ・・・致し方ない・・・。 あれを使うしかないな。 」 堀越の思わせぶりなセリフに佐藤は反応をしめす。 佐藤「何を言ってるの?もう貴方の体の半分は闇の中・・・何もできはしないわ。 」 佐藤の言うとおりで、堀越の胸から下は闇の沼にはまっている。 堀越「・・・これを使うのは何千年ぶりかな・・・。 契約者の名に置いて命ず・・・出でよ。 」 堀越「光の悪魔、セイレーン!!」 その瞬間、堀越の周りに浄化の光が満ちる。 闇の沼は一瞬にして消された。 佐藤「な、何だって言うの!?それは悪魔の力・・・あなたはまさか!」 堀越「ああ。 そのまさかだよ・・・。 力はお互い様のようだな。 」 佐藤は一瞬驚いたが、すぐに微笑んで言い返す。 佐藤「確かに驚いたけど・・・悪魔なんて私の前では無力に等しいわね。 」 堀越「馬鹿な・・・。 ゆけ、セイレーン、浄化の光を!!」 ウイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン 佐藤は強大な闇を放った。 その闇に光の悪魔であるセイレーンですら飲み込まれる。 堀越「ば、馬鹿な!?闇とは一体・・・!?」 佐藤「アハハハハ・・・そんな悪魔なんて時空ごと飲み込む闇の前では無力・・・ほら上を見なさい。 」 ウイィィィィイイイィィィイイイィィィイイイン 奇妙な音とともに、堀越の頭上にはブラックホールのようなものが現れた。 直径は20m以上ある。 堀越「い・・・いつの間に・・・!?瞬時にこのようなものを作り出すとは!!」 佐藤「あなたも・・・闇人形の仲間入りね。 さよなら・・・」 堀越「・・・ここは退くしかないようだな・・・。 フンッ!」 シュゥン!! その瞬間、堀越の体は消えた。 佐藤「・・・テレポーテーション・・・にげられたわ・・・。 まぁ、悪魔の力を使えし者がテレポーテーションを使えないわけがないか・・・。 」 佐藤「まぁ・・・いいわ・・・あいつには闇の粒子を埋め込んだ・・・。 一度でも闇に触れた者は闇に支配されるという運命から逃れられない。 そのときからどうあがこうが・・・直に闇人形となる・・・アハハハハハ」 そう。 堀越の体にはすでに闇がうごめいていた。 闇とは何か・・・強力なウイルスのようなものか・・・? いや、違う。 その謎を知っている者は誰もいない・・・。 佐藤「さぁて、そろそろ十二騎士団の皆さんも集まっているころね・・・。 」 ウイイイイイイイイイイイイイン 佐藤は堀越と同じようにテレポーテーションをした。 言うまでもなく、それは闇の力によるものだった。 その頃・・・帝国の郊外・・・ 堀越「悪魔の力でここに逃げ込めたが・・・チッ、俺ももう帝国では生きていけんな・・・。 おそらく佐藤はこのことをすぐに皇帝に伝えるだろう。 そして皇帝が十二騎士団に俺の抹殺を命令する・・・。 (どうする?闇について少し調べてみるか・・・)」 シュウゥゥゥ・・・ 堀越の足元に魔方陣のようなものが描かれてゆく。 シュバァァァン! あたりが眩い光に包まれた次の瞬間、すでにそこに堀越の姿はなかった。 場所が変わり、帝国謁見の間。 ここに十二騎士団が集まっていた。 第01騎士団団長、小川。 第02魔団団長、佐藤 第03歩兵師団団長、中郷 第04師団団長、萩野谷 第05師団団長、嶋田 第06師団団長、シゲタ 第07剣客団団長、ミスター 第09師団団長、福田 第10師団団長平河 第11師団団長、ジェラ 本当は朝日出と堀越もいるはずだったのだが、どちらも闇・・・それにかかわり、帝国にはいられなくなったのだ。 帝国・・・闇・・・ ここにいる十二騎士団の中でも、帝国の陰謀を知っているのはわずかである。 皇帝「皆の者、よく集まってくれた。 」 皇帝がおもむろに口を開く。 しかし、朝日出と堀越の裏切り行為を知らされていない佐藤を除く各団長たちは、不思議な顔をする。 萩野谷「皇帝陛下、失礼ですがまだ、堀越と朝日出が到着していないようですが・・・」 その疑問を一番はじめに口に出したのは、萩野谷だった。 皇帝「そのことについてだが、皆に残念なことを知らせをしなければならない・・・朝日出と堀越は、我を・・・ディパン帝国を裏切ったのだ。 」 萩野谷「!?」 佐藤を除く皆が、一同に驚いたような顔をする。 萩野谷に至っては信じられないといった表情で、口があっぱなしだ・・・あいた口がふさがらない、本当にそんな感じであった。 それもそのはず、萩野谷はこの国の城門まで堀越とともに来たのだから。 皇帝「・・・信じられない気持はわかる・・・しかし、これは事実なのだ。 」 皇帝はそう言うと、話を本題に進める。 皇帝「本日、皆にここへと集まってもらったのは、ほかでもないとうとう、我がディパン帝国はフケガオ王国率いるFU諸国との本格的な戦争を開始する!!」 皇帝は、おもむろに立ち上がると、そう言い放った。 数分後・・・ 王の執務室。 そこに、二人の姿があった。 第02魔団団長佐藤と皇帝だ。 皇帝「しかし、先に合あった報告・・・大丈夫なのか?」 佐藤「ええ・・・彼には闇の粒子を埋め込んでおいたわ。 」 皇帝の問いに対し、佐藤は微笑しながら返す。 佐藤「今は、体力が少し落ちる程度だけど・・・そのうちいいやみ人形になるわ・・・」 皇帝「ああ・・・」 一方、ここは異世界・・・ と言っても、同じ時空線上をたどる世界だが・・・ そこの、スペルネンテス遺跡 そこにいるのは先ほどディパン帝国郊外から消失した、赤いマントを羽織った男・・・ 堀越「えっと・・・ああ、この一文か・・・あったぞ・・・・・・・えーっと・・・この文章は・・・・ああっ・・・・くそっ!!なんたってこんなに解読が難しいかな!?わざわざ暗号化することないだろう?」 堀越は、壁面に描かれた碑文を指でなぞりながら読んでいく。 書かれている文字は、コモンと呼ばれるもので、この異世界の共通語なのだが、高度な暗号化が施されており、読むのに手間取っているようだ。 数時間後・・・ 堀越「とりあえずはこんなもんか・・・」 壁に描かれていたのは、この世界の創造神話だった。 堀越が羊皮紙に解読した文章には、その創造神話に関する闇の記述が抜粋されていた。 下に書いてあるものがそれだ。 闇使いは人の心の闇に り込み、その闇 操る とさえ ると れる。 また、体 闇を植え付けられ ものは、その体を 取 られ ネルギー化さ のちに、従順なや 闇に 対処法は、老 や 術 どがある。 また、闇を消失 せ は、 の秘宝である。 を いて 所々かけているのは、碑文が記されたのがかなり昔であり、石板の風化が進んでいたために読めなくなっているためだ。 後ろになるほど風化は進み肝心なところは見えていない。 堀越「・・・老・・・・やはりこれは老術のことか?しかし・・・現代までその使い手が残っているのか?うっ・・・そういえば、俺は・・・ん?くっ・・・佐藤と対峙した時の記憶が不鮮明になってきている?いったい・・・」 頭を抱える堀越、この時佐藤が埋め込んだ闇の粒子が、佐藤と対峙した時の記憶を脳内から消し去っていたのだ。 しかし、吉田は朝日出に一蹴されることになる。 朝日出「いや・・・俺は山の中で記憶を失い、ボロボロになっていた・・・そこから察すると、俺はおそらく、作戦に失敗したのだろう。 そうだとすると、俺はどういう扱いを受けるかわからない・・・なら見つからないほうがいいだろう?」 吉田「あ・・・ああ、それもそうか・・・」 妙に納得する吉田。 朝日出「それよりもタイミングを見計らって、この列から脱出しないとな・・・」 吉田「ああ・・・」 移民団は、門のところに差し掛る。 門守が何人かいたが、どうやら誰も朝日出に気づく様子はないようだ。 朝日出「目の前に見えるあれが城か・・・(さて・・・これからどうするか・・・ここまで来たはいいが・・・ちっ・・・ここまで来れば俺の記憶を取り戻す何かがあると思ったが・・・)」 吉田「・・・(黒服のあいつ・・・待ってろよ・・・必ず敵を打ってやる!)」 2人は門をくぐったところから見える、巨大な城を見上げていた。 その胸の内にここの思いを浮かべて・・・ 移民団は王国の内部に作られた巨大都市、ライゼンバッハへとついた。 ここまでは順調だったが、ここでトラブルが発生する。 移民団が一列に並ばされたのだ。 当然、ライゼンバッハに入るためなのだが、このせいで、移民団の管理をしている、第02魔団の兵士に発見されてしまう。 兵士「あれは・・・裏切り者の朝日出だ!!」 朝日出「しまった!見つかった!!吉田!」 吉田「ああ・・・」 この時、状況は完全に朝日出たちに有利だった。 一列になり始めたとはいえ、足での周囲には、まだフレンスブルグの住民が残っている。 兵士隊は朝日出に迂闊に手が出せない状況だったのだ。 このことを利用して、朝日出たちはタイミングを合わせると、一気に行動に出た。 シュッ! 朝日出「はっ!!」 ガゥンガゥンガゥン!!! 朝日出は空中に飛び上がると銃を抜き、空中から地上の兵士たちを狙い撃ちする。 シュッシュッシュッシュッ!! 吉田「奥義!ラウンドリックセイバー!!」 ズバシャァァァン!! 吉田は、人ごみの間を木の間を縫うごとく、駆け抜け、朝日出が狙い打ったのと反対側の兵士の間を脱兎のごとく走り抜ける。 もはや、この戦いは、常人のレベルを超えていた。 おそらく、普通の人が見ても、閃光が走ったようにしか見えなかっただろう。 朝日出「ふう・・・あらかたかたずいたな・・・」 朝日出は吉田を振り向きながら言った。 吉田「ああ、思ったより楽生だったぜ・・・まあ三割ってところかな・・・」 朝日出「またそれか?」 吉田「まあな・・・」 朝日出はやはりややあきれ顔だった。 その時、背後から声が聞こえた。 ???「ふふふ・・・これはおかしな客ね・・・あなたは小川くんによって、消されちゃったはずなのに・・・」 二人が振り返るとそこには第02魔団団長、佐藤がいた。 佐藤は自分の部下が殺されたというのに、相変わらず笑みを浮かべている。 朝日出「貴様は?」 佐藤「ふうん・・・・見たところ演技じゃあなさそうね。 記憶喪失ってわけ・・・」 吉田「こっちの質問に答えろよ!!!」 うすら笑いを浮かべたままの佐藤に対し、吉田が怒鳴る。 佐藤「・・・いいわ、私は帝国十二騎士団第02魔団団長、佐藤よ。 まあ今から消える人に自己紹介しても無駄なんだけどね・・・」 佐藤は嘲笑しながら答える。 吉田「なんだと?貴様!こいつらみたいになりてえか!?」 吉田があたりを顎で指しながら言う。 佐藤「ああ・・・その子達ね・・・この子達みたいって?」 次の瞬間ウイイイイイイイイイイインという音と共に、倒れていた兵士たちが、闇と化し始めた。 朝日出「うぐ・・・うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」 それを見ると同時に、頭を押さえてうずくまる朝日出。 どうやら、闇を見て、記憶を取り戻しかけているようだ。 それを見た吉田が吠える。 吉田「貴様!!いったい何をした!!?」 佐藤「・・・別に何もしてないのだけれど・・・まあいいわ、消えてもらおうかしら。 」 フッ。 佐藤が腕を前に突き出す。 すると、 ウイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン! 佐藤の腕よりはなたれた闇が、朝日出と吉田を襲う。 朝日出は頭を抱えたままだ。 闇が目前へと迫る。 吉田「(だめだっ!飲み込まれる!!)」 ???「セレナーデもう一度だ・・・力を貸してくれ。 」 謎の声に、吉田が前を見るとそこには赤いマントの男と、小さな精霊のようなものが浮かんでいた。 カッ!! あたりに城下の光が満ちる。 佐藤「なっ!?貴様は!?」 佐藤は驚きの表情を浮かべる。 堀越「・・・ふっ・・・」 吉田「お前は・・・誰だ?」 堀越「さあな・・・失業したから、盗賊稼業に逆戻り・・・かな?」 ウイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン 佐藤は上空に再び巨大なブラックホールを造ると、言い放った。 佐藤「さっきのがした獲物が・・・ちょうどいいわ・・・まとめて消し去ってあげる!!」 堀越「あの程度だと思うなよ!」 佐藤「ふふふ・・・あなたに何ができるっていうの?」 張ったりだと思い、佐藤はブラックホールのような攻撃を一瞬止めてしまう。 これが大きなミスだった。 堀越『汝、その諷意なる封印の中で安息を得るだろう、永遠に儚く・・・セレスティアルスター!!!!』 堀越は驚くべきほどの速度で呪文の詠唱を終える。 老術のような魔法というよりは、使い魔の・・・すなわち、召喚した悪魔の力を上昇させているようだ。 カッ!!! あたりを聖なる光が満たし、光のつぶてが佐藤に向かい、降り注ぐ。 佐藤「くっ・・・なんてこと!?」 ウイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン!!! 佐藤は闇の防壁で、自分の周囲を包む。 シュバァァァァァァァァァン! シュバァァァァァァァァァン! シュバァァァァァァァァァン! シュバァァァァァァァァァン! シュバァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!! その攻撃がやみ、佐藤が、防壁を解いたとき、すでに三人の姿はなかった。 どうやら、テレポーテーションで脱出したようだ。 」 ウイイイイイイイイイイン 佐藤は闇の空間を作り出す。 そしてそこに向かって話し出した。 佐藤「皇帝様・・・朝日出が生きていた模様です・・・。 」 その闇の空間は皇帝の耳元につながっているようだ。 皇帝「・・・小川の失態か・・・それについてはのちに小川と話をつける・・・。 それより貴様・・・」 皇帝「二度も新人の第12師団団長の堀越を殺り逃したようだな・・・。 」 佐藤「し、しかしあいつには闇の粒子を埋め込んでいます。 闇に関する記憶はすでに失われているはず!」 皇帝「・・・そのことを言っているんじゃない・・・。 お前の力量にがっかりしたと言っているんだ。 」 佐藤「ぐっ・・・。 」 皇帝「お前の闇の質は凄まじい・・・。 しかしお前の闇絶対的な質量数に欠けている・・・。 」 佐藤「ど、どうすれば・・・?」 佐藤は自分の力量に自信があったが、皇帝に指摘されとまどっている様子であった。 そして皇帝は答えを示した。 皇帝「私の闇の粒子をくれてやる・・・。 欲しくば謁見の間まで来い・・・。 」 佐藤「本当ですか!?いますぐに・・・。 」 ウイイイイイイイイイイイイン 佐藤は自分をやみにつつみ、謁見の間へと移動した。 皇帝「ククク・・・そんなに私の粒子が欲しいか・・・?」 佐藤「ええ・・・しかし皇帝様の力はまだ再生が不十分だと・・・。 」 皇帝「問題は無い・・・もう再生は最終段階にきている・・・。 」 佐藤「そ、そうですか!では私に力を・・・」 ウイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン!! その瞬間、皇帝の手から発せられた闇が佐藤の脳内へと入っていく。 佐藤「ぐ・・・これが・・・本当の闇の力・・・!!」 ウイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン!! ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン 皇帝「クククク・・・これで今の貴様の力はディパンでも1、2を争うだろう・・・。 」 佐藤「あり難き幸せ・・・。 では・・・次の任務を!」 皇帝「フケガオ王国との戦争までお前の力は借りん。 ・・・そうだな外で扉を警護している小川を呼んできてくれ。 」 佐藤「ハッ、かしこまりました。 」 バタン、 帝国「ククク・・・佐藤よ・・・他人の闇の粒子を埋め込まれるということがどういうことか・・・お前も理解しているな・・・?ククク・・・」 佐藤は謁見の間から出て、外で警備にあたっている小川に話しかける。 佐藤「小川くん、皇帝が呼んでいたわよ。 すぐに行ったほうがよろしいんじゃなくて?」 小川「・・・!佐藤か・・・。 わかった。 佐藤の力・・・今までと違う!!何があったんだ・・・?それにさっき謁見の間から感じた奇妙な気・・・朝日出のときと同じ・・・。 」 小川「・・・では行って来る。 それまで変わりに警備についてくれないか?」 佐藤「わかったわ。 」 バタン そして小川は謁見の間へと入る。 皇帝「・・・待っていたぞ。 」 小川「ハッ、どのようなご用件で・・・?」 皇帝「・・・朝日出をしとめ損ねたようだな・・・。 」 小川「!?」 皇帝「朝日出の目撃情報が、各地の兵士、佐藤から来ている・・・。 そしてその朝日出により、帝国の第2魔団の兵士が犠牲になった。 これはお前の責任ではないのか?」 小川「・・・ まさか・・・記憶を失ってまで帝国に関わり続けるのか・・・朝日出よ・・・。 」 皇帝「そこで・・・十二騎士団・・・いや、帝国全体に反逆者、朝日出と堀越の抹殺命令をかける!」 小川「!!」 皇帝「私としてはお前の手で朝日出の首を持ってくるのが一番うれしいがな・・・。 」 そして小川の伝達により、帝国全域に、朝日出と堀越の抹殺命令が下った。 二人には大量の賞金がかけられ、首を手に入れた者には、フケガオ王国との戦争で重要な役割に抜擢してくれると約束された。 この報酬により、二人は十二騎士団、帝国兵士だけではなく、一般市民の敵になってしまった。 十二騎士団がここで次の作戦について話し合っているところであった。 ジェラ「まさか・・・朝日出がな・・・。 」 平河「ああ。 堀越は新人という点もあって、まだわからなかったが・・・」 中郷「彼は十二騎士団でも皇帝に忠実な騎士として名が高かったわ。 」 萩野谷「・・・ 俺にとってはどちらも不自然だ。 俺は堀越と少し前まで行動していたからな・・・。 しかしそれをここで言い出しても不審な目で見られるだけ、か・・・。 」 十二騎士団の核と思われるグループが話している。 そして他の団長も話に参加する。 ミスター「ぼくはそんなことどうでもいいけどさ・・・問題は、誰がどいつの首をとるかってことだよね。 萩野谷さんも僕と話が合いそうじゃない?一緒に狩らない?」 萩野谷「残念ながら私は以前の仲間を好き好んで殺すほど鬼畜でもないのでな。 しかし理由あらばいかなる者も切り捨てるが・・・・。 」 ミスター「そうですかぁ。 」 萩野谷以上に好戦的であるミスターはちゃちを入れる。 福田「しかし、小川、シゲタ、佐藤、島田はどうしたんだ?」 中郷「小川は皇帝と次の戦争について話し合っているらしいわね。 シゲタと佐藤の二人は話し合いに来ることのほうが珍しいわ。 」 島田「・・・ちなみに俺はずっとここにいるぞ・・・。 」 島田は会議室の物陰に潜んでいた。 彼は忍術の達人でいかなる時にも隙を見せないことがモットーである。 ジェラ「・・・さすが忍者だな。 」 福田「うわ・・・気づいていなかったよ・・・。 」 比較的新人である福田は気配を感じ取れなかったようだが、ベテランはもちろん気づいていたようだ。 ミスター「んで・・・早く話しを決めたいんだけど、誰が誰を狩る?僕は一応、少なくとも一人は狩りたいけど。 」 中郷「あなた意外の人はあまり乗り気じゃないみたいよ。 あなたが誰かもう一人選べば?」 ミスター「ああ、そうするよ。 じゃあ福田。 お前が俺と一緒に来いよ。 」 福田「え、俺かよ・・・。 」 福田はいかにもひ弱な感じでやる気はまったくない。 ・・・十二騎士団に選ばれたからには何か力があるのは確かだが・・・。 福田「ま、いいか・・・しかし敵は朝日出だぞ?二人で大丈夫なのか?」 ミスター「僕がいるからね・・・。 堀越のほうはよくしらないけど、たいした実力はないでしょ。 」 平河「では決定だな。 皇帝には俺たちが伝えてくる。 ・・・健等を祈る。 」 そして十二騎士団で朝日出と堀越の討伐をする者が決定した。 この者たちにとって、幸運だったのは、まだ指名手配の件がこの街まで達していなかったことである。 堀越「はあ・・・はあ・・・・」 吉田「おい、大丈夫か?力を使いすぎじゃないか?」 堀越「ああ・・・しかし、いつもはこのくらいじゃ、息は切れないんだが・・・」 吉田「そうむりすんなよ・・・」 朝日出「・・・」 ちなみに朝日出は、ディパンから脱出してから、一言もしゃべらない。 吉田も何度か話しかけたが、すべてスルーされてしまう。 吉田「で?これからどうするんだ?」 堀越「・・・俺は、テレーポートをもうできない、少なくとも、体力が回復するまでは・・・な、だから、地上をつたっていくしかないんだが・・・恐らく、帝国の網に引っ掛かるだろう・・・」 吉田「じゃあどうするんだよ?」 堀越「まあそうあわてるな・・・そのためにここに来た。 モンスターが出現するようになったと、廃坑にされた坑道だったのだが、それらしい影は見当たらない。 吉田「そういえば、堀越お前なんで王国を裏切ったんだ?」 当然の疑問だった。 吉田が目の当たりにした力があれば、王国での地位もそれなりに固かったはず。 本当に裏切ったのか?という疑問が少なからず残っても全く不思議な状況ではなかった。 その疑問に対し、堀越が答える。 堀越「まぁ、帝国が裏でこそこそとなんかやってるから、何やってんのか調べようと、十二騎士団の・・・」 ここまで話したとき吉田が突っ込んできた。 吉田「ちょっと待て・・・十二騎士団って何だ?」 堀越「ああ・・・簡単言うと、皇帝直属の部隊のことだな、エリートさ・・・こいつも、」 と堀越は朝日出を指さしながら言う。 堀越「十二騎士団の一人で、第08部隊の部隊長だ。 」 軽く答えた堀越に対し朝日出は詰め寄る。 朝日出「どういうことだ?俺は、やはりあいつらの仲間だったってことだよな?」 堀越「ああ・・・」 詰め寄る朝日出に動揺もせずに答える。 朝日出は、帝国を脱出する際、闇の発現を目の当たりにし、記憶を取り戻しかけたのだが、結局はその記憶は、戻らなかった。 朝日出「じゃあ、一つ聞かせてくれ・・・」 少し間が入り、落ち着きを取り戻した朝日出は、おもむろに言葉を続ける。 朝日出「・・・俺が、なぜ帝国を裏切ったのか知っているか?」 堀越「いや・・・全く聞いていない」 堀越の言葉にがっくりと肩を落とす朝日出。 朝日出は、記憶をなくす前の自分がいったいどのような人物だったのかが、気にかかるらしい。 その朝日出の様子を見て、言葉を続ける堀越。 堀越「・・・あえて推測するなら・・・俺と似たような理由かもな。 俺は、さっきも言った通り、王国の裏に何かを感じ、それを探るため、第02魔団・・・要するに裏とつながりがありそうな部隊の、参謀に接触した。 」 これまでの経緯を語り始める堀越。 朝日出「それで?その裏っていうのは、わかったのか?」 堀越「いや・・・どうもその参謀に遭遇する前後の記憶がはっきりしないんだが・・・その参謀を脅してる最中に02魔団の団長に邪魔されて失敗した・・・」 それは真実とは違うのだが、朝日出と違い一部の記憶だけを抜かれた堀越は、記憶がない前後の事象とを無意識のうちにつなぎ合わせているらしい。 吉田「・・・帝国・・・か。 」 吉田のこの一言には、わずかにある疑問が込められていた。 その疑問は、初めのうちは全く感じなかったが、堀越のいう帝国の裏・・・そうれを聞くと浮かび上がってくるものだった。 『なぜユーグリフ村を帝国がおそったか?』それに、どんな意味があるのか・・・残念ながら、その答えは吉田の足りない脳で考えてわかるものではなかった。 吉田「堀越・・・あとどのくらいなんだ?」 堀越「このまま行けば30分ほどだが・・・。 」 その時、朝日出が指を指して言った。 朝日出「・・・!落石で先がふさがれているぞ・・・!!」 朝日出の言った通り、3人が向かおうとしていた道は通れなくなっていた。 堀越「厄介なことになったな・・・。 」 吉田「おい。 この坑道の出口は一つだけなのか?」 堀越「いや、そんなことはない。 この先が1番な近道なだけだ。 」 この坑道はフケガオ王国に3つの出口で繋がっている。 落石で通れない道以外、いずれもフケガオ王国の中心部から外れ、かなりの郊外の地へと繋がっていた。 堀越「この先に行けば・・・出られなくは無いな。 」 堀越は左の方角を指した。 そこに道は続いているが、きわめて細く、暗闇に満ちていた。 朝日出「この道がこおれない以上・・・そこへ行くしかないようだな。 」 吉田「まぁ、俺は全然疲れてないからどこへ行ってもいいぜ。 」 そして一同は賛成し、その先へ進むことになった。 彼らは数十分歩いた後、奇妙なものを見ることになる。 朝日出「な・・・何だこれは・・・?」 朝日出の目の先には冒険者のような身なりの人間の変死体がある。 堀越「内臓を食い破られているな・・・。 注意したほうがいい。 この辺りに肉食のモンスターがいるはずだ。 」 吉田「マジかよ。 まぁ、俺はなまっているし、出てきてもいいけど。 」 しばらく進むと、大広間に出た。 朝日出「ここだけやけに広い・・・。 」 堀越「・・・しまった・・・。 」 堀越の目の前には巨大な異形がいた。 周りには首から上がない、数多くの冒険者の死体。 堀越「ここが奴の巣のようだ・・・。 」 吉田「こ・・・こいつは・・・猿!?」 実際、その異形のみなりは吉田とたいして変わっていなかった。 違うのは絶対的な毛の量。 手の人間離れしている太い筋肉。 そして手の血が滲んだ長い爪と体長。 体長は5メートルを超えていた。 それがその異形の猿にはあった。 猿「チャアアアアアアアアアアアア!!」 朝日出「・・・!よく見ろ!こいつ、足はヘビのようになっているぞ!」 堀越「ヘビ!?・・・サンドワームの変種か!?」 その猿は元々はでかいヘビのようなものが、上半身だけ、猿化しているように見えた。 猿「チャアアアアアアア!!」 ザシュッツ!! 猿の爪が朝日出の胴体すれすれをかすった。 朝日出が後ろに飛ばずに、まともに受けていたら、真っ二つになっていたところである。 しかし朝日出は自分の意思より前に、体が動いていた。 バギュゥッン!! 朝日出の弾丸が猿の頭部に貫通する。 猿「チャアアアア!!」 効いている。 効いているが、致命傷にはならない。 堀越「こいつ・・・!脳をぶち抜かれても平然にしている!?」 ザシュゥンザシュウン!! 猿は爪を振り回すが、手だれている3人には全く当たらない。 そして猿は思いついたように行動に出た。 シュルルルルルルル 猿の腕の毛が伸び、吉田に巻きつく。 吉田「うわ・・・!なんだ!とれねぇ!」 堀越「まずい!このままでは吉田が切り裂かれる!」 そして堀越は術の様な物を唱え始める。 堀越「サンダーボルト!!」 ダンッ!ダンッ!ダンッ! その攻撃が吉田を突き刺そうとしていた爪を弾いた! 吉田「おおおおい!!!・・・朝日出!あの毛を切る方法はないか!?堀越の短剣だと、奴に近づきすぎて、堀越まで切られる!」 朝日出「俺の銃じゃ毛は切れないだろ!」 堀越「・・・いや、俺はお前の銃はそんなもんじゃないということを知っている。 」 朝日出「!?」 堀越「弾は他にもあるだろ?」 猿「チャアアアアアアアアアアアアアア!!」 吉田「うああああああああ!!」 まさに猿の爪が吉田を貫こうとしたその時! ボオオオオオオオオオオオ 吉田を巻いていた毛は燃え落ち、吉田も地面へ落ちる。 堀越「ほう・・・。 数ある弾丸から火炎弾を選ぶとはな。 昔の記憶が少しあるんじゃないか? 朝日出「・・・たまたまだ。 」 そして標的をはずした爪は、岩にささった。 猿「チャ・・チャ!!」 堀越「よし・・・奴は爪が岩にささったままだ。 」 吉田「俺がとどめをさすぜ!」 シュシュシュ! 吉田はジャンプし、岩にささった爪の上から腕をつたってゆき、猿の肩に登った。 そこから吉田は猿の顔に目掛けて剣を突き刺す! グサッ・・・!! 猿「チャアアア!!」 朝日出「ダメだ!たいして効いていない!」 堀越「・・・チッ、猿相手にあの力を使うか・・・?」 吉田「いや、手助けはいらないぜ!!」 吉田は突き刺さった剣を抜かずに、そのまま体重を加えて剣におろした! グジャアアアアアアアアアアアアアア!! 朝日出「おお!猿の体が真っ二つ!!」 堀越「・・・! 馬鹿な・・・人間の力であそこまで出来るか・・・? 」 猿の体は顔からへそのあたりまで、真っ二つに切られていた。 吉田「ふっ、余裕。 」 猿「チャ・・・チャ・・・チャアアアアアアア!!」 猿はまだ生きていた。 岩から抜けた爪を吉田に目掛けて突き刺す! 朝日出「マズい!剣は猿に刺さったままだ!今の吉田には手をだせない!」 シュ 吉田は飛び上がった。 堀越「嘘だろ!?」 吉田は5メートルほど飛び上がっていた。 そして吉田は猿の顔面の目の前まで飛び、そこで蹴りを食らわす。 吉田「オラアアアアアアッ!!」 ヅグァン!! ゴギッ!! 猿は首の骨が折れたようだ。 猿「チャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」 さすがの猿も首が折れてダメージを受け、その場で倒れた。 吉田「ふ、あわれだな。 」 堀越「 あの蹴り・・・普通の人間に食らわしたら首から上が吹っ飛ぶぞ・・・ 」 朝日出「おい!まだ生きているぞ!」 猿は倒れたままもがき苦しんでいた。 堀越「朝日出、とどめだ。 」 朝日出「・・・これでいいかな。 」 朝日出は1つの弾を取り出し、銃に装填した。 そして猿の頭上にある天井に目掛けて打つ。 バシュッ ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアン 彼が放ったのはグレネード弾だった。 ドンガラガッシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン 爆発で落石が起こり、猿が岩に押しつぶされていく。 吉田「おいおい・・・危ないだろ。 下手したら洞窟全体が崩れるぞ。 」 堀越「まぁ、出口がふさがれなかっただけ良しとしよう。 」 朝日出「・・・。 一件落着だな。 先を急ぐか。 」 堀越「ああ。 あちらに出口が見える。 」 吉田「おい、待て俺が先に行く。 」 シュシュシュ 吉田は物凄いスピードで出口に向かって駆けて行く。 3人はこの後、無事に坑道を抜け出すことができた。 そして3人が表へ出たとき、はじめに見たのはただ真っ白な銀世界だった。 堀越「・・・雪国か・・・。 随分はずれだな・・・。 」 朝日出「しかし、郊外のほうが、敵の目から逃れやすいんじゃ?」 堀越「・・・ああ。 とにかく村を見つけて一先ずそこの宿でこの先のことを話そう。 」 3人は少し先に見える、村のようなところへ向かいだした。 堀越と朝日出は寒そうにしてるが、なぜか1番軽装な吉田は寒さを感じていないようであった。 それを見て不審に思った朝日出が問いかける。 朝日出「どうしたんだ?」 堀越「・・・この村アリアスはこの前、帝国に吸収された村だ・・・」 吉田「なんだと!?」 確かによく見てみると、破壊された民家などが目につく。 さらに、吉田達は知らなかった事実がある。 すでにこの村には、朝日出、堀越の指名手配所が届いていたのだ。 堀越「まあ仕方がない・・・もう日も暮れる。 この雪国で今から行動するのは危険だ、適当な宿に一泊して、明日朝一で出発することにしよう・・・」 堀越のその提案に朝日出も賛同する。 朝日出「ああ・・・それがいいだろう。 このままじゃ凍死しちまうし・・・な。 」 この二人の意見に従いながらも首をかしげる吉田。 どうやら、彼は全く寒くないようだ。 吉田達はこのあと、近くにあった・・・というよりはこの村で一軒の民宿に泊まることになった。 ???「お客さん!大変だ!!起きてくだせえ!!」 明け方・・・まだ日も昇っていないころ。 吉田達は突如、部屋に入ってきたその男の声で目覚める。 吉田「どうしたんだ・・・こんな朝早く・・・」 朝日出「・・・ん?」 堀越「・・・」 その声の主は、この民宿の親父のようだ。 顔から汗を流し、息を弾ませている。 民宿のオヤジ(以下オヤジ)「ハア・・・ハア・・・お客さん、堀越さんと、朝日出さんだよな?」 突如振られた質問、三人が全員、なぜ2人の名前を知っているのか?という疑問を抱いたが、次の瞬間、堀越だけはその意味を理解したようで、常に身につけている小刀を左手で握りしめ、足に力をいれ、跳躍するじゅうんびを整える。 ちなみに、堀越は、眠る際、義手は外している・・・まあ、指先に鋭利な爪がついた義手をはめているわけにはいかないのだろう・・・ しかし、この堀越の予想は微妙にずれていた。 オヤジ「早く逃げてくだせえ!!おめえさんらは、帝国に指名手配されているんだ!!」 朝日出「なに!??」 吉田「!!」 驚く二人を尻目に、オヤジは説明を続ける。 吉田も驚いたかをしているが、朝日出はわりと冷静なようだ。 堀越「ああ・・・十二騎士団の内、第07剣客団団長、ミスター。 第01騎士団団長、小川。 第02魔団団長、佐藤。 この三人の強さは半端じゃない・・・残りのメンバーも朝日出クラスの実力者だ・・・」 朝日出の疑問に淡々と答える堀越、しかしその声とは逆に相当追い詰められた表情を浮かべている。 どうやら相当やばい状況らしい。 この状況にまず動いたのは吉田だった。 吉田「くっそ!!ぶっ殺す!!!!」 吉田は怒りをあらわにすると、民宿の一階へと走って行った。 その目的はそこに残された三人にはわかりきっていた。 あまりに突然の行動に動けなかった三人・・・ 朝日出「・・・はっ!まずい!!オヤジさんの、娘が・・・」 堀越「・・・ああっ、ああ・・・吉田を止めるんだ!」 吉田からおくれること二十秒・・・朝日出と堀越は、走り始めた。 2人が階段に差し掛かると、一階からどなり声が聞こえてきた。 ???「んなこと言ったて仕方がないでしょうが!!」 吉田「んだとォ!?」 ???「だいたい、何したか知らないけどねえ!お尋ね者になるほうが悪いのよ!このキモジャ!!!」 吉田「キモジャってなんだよ!キモジャって!!!」 ???「キモくてモジャモジャだからキモジャよ!!猿!!射殺すわよ?」 吉田「俺は猿じゃねえ猿じゃ!!!」 ???「似たようなもんでしょうが!!!」 下から聞こえてくるどなり声に唖然とする2人・・・ 堀越「・・・」 朝日出「・・・なあ」 ふと朝日出が口を開く。 堀越「・・・何だ?」 唖然としながらも答える堀越 朝日出「吉田のやつ、ぶっ殺すとか言ってたよな?」 堀越「ああ・・・」 なおも下からどなり声が響いてくる。 ???「だいたいねえ!あんたらなんかやったからお尋ね者なんでしょ?」 吉田「あぁ!?なんもしてねえよ!!」 ???「猿だから忘れっちゃったんじゃないの?」 吉田「誰が猿だ!!!」 ???「あんた以外にだれいるっていうのよ!!このキモジャァ!!!!!!」 吉田「んだと!?てめえぶっ殺すぞ?」 ???「なによ!?それが猿が人間に向かっていう言葉?本当に射殺すわよ?」 吉田「やれるもんならやってみろっていうんだ!!」 堀越&朝日出「(・・・なんかもう一生やってなさいって感じか・・・?)」 まるで夫婦喧嘩・・・などと2人が思っていると、三人がとまっていた部屋から、宿のオヤジが現れ、どなり飛ばす。 オヤジ「コラァ!瑶紀!!!何をやっておるかぁ!!」 途端に下から返事が返ってくる。

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【タガタメ】ディオス第3ジョブマスターへの道!【最終試練】

タガタメ 瞬き の ごとき 夢

さらに時が流れ、国同士の戦も落ち着き人々が平和を手に入れた・・・かと思われた。 が、ユーレリア大陸の北東に位置するディパン帝国が周辺の国々へと突如進行を始めたのだ、油断していた周囲の小国達は次々と帝国へと吸収されていった。 しかし、このような勝利は長くつずかなかった。 大陸の西側に位置する大国、フケガ王国が中心となりそのほかの国が連合を組み、立ち向かうが、ディパンの軍事力はすさまじく、戦線は膠着状態となり始めていた・・・ そんな頃・・・ 人知れぬ場所で邪悪な意思が目覚めようとしていた。 ゴゴゴゴゴゴゴゴ… ここはマリアナ海溝の奥深く・・・そこに、一本の毛が漂っていた。 朝日出「皇帝陛下、ご報告申し上げます。 この度、起こりましたヴィルノア地方での反乱、我等が第08騎士団が完全に鎮圧いたしました。 」 皇帝(???)「おお、朝日出よくやった。 ほめてつかわそう。 」 朝日出「・・・ありがたき幸せ。 (・・・最近皇帝陛下の顔色が悪くないか?それに、今度の反乱、あそこヴィルノアは今回の戦争で手に入れた土地というわけではない、明らかに民の不満が募っている証拠。 だいたい、先の戦争、大義はこちらにはない・・・)」 皇帝(???)「どうした?朝日出よ、まだ何かあるのか?」 報告が終わっても部屋から引かない朝日出に疑問を抱いたのか、皇帝は、怪訝な顔つきで問いかける。 朝日出「いえ・・・最近、陛下の顔色が優れないもので・・・病でもお召しになられましたか?」 正直、今回の戦争に疑問を抱いていた朝日出は、考えを反戦思想の考えを悟られまいと、ごまかした。 いいや、正確にはごまかしたつもりだった。 しかし、そのごまかしが、まさか事態の核心を突いていようとは・・ 皇帝(???)「・・・気付かれたか・・・くっくっく。 」 朝日出「はい?」 いつもとは様子の違う皇帝に、どう返事をすればよいか、言葉が浮かばない朝日出。 しかし、それは考えるだけ無駄だった。 なぜなら次の瞬間、 ウイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン!!! 朝日出の体にまとわりつく黒い何か。 それは、皇帝よりはなたれし闇。 朝日出「ぐっつ・・・がっ・・・体が・・何かに引きよせ・・ぐっ・・」 朝日出の思考は、パニックにより全く働いていなかったがこれまでの若くして得た数々の戦闘経験により体が先に動いていた。 腰のホルダーに手を伸ばし、素早く銃を手に取ると、闇の発生元と思われる場所へと銃口を向け引き金を引いた。 ガゥン!! 乾いた銃声が鳴り響く。 銃弾が闇の発生源と思われる場所を貫いた。 闇は消えた。 朝日出はあわてて正面を確認する。 そこにいたのは、肩を押さえてうずくまる皇帝だった。 朝日出「陛下!?」 朝日出が叫ぶ。 全く状況が理解できていない。 その時、背後のドアが開きある人物が入ってきた。 ???「陛下!今の銃声、それに謎の気いったいどうしたのです!?」 朝日出「・・・」 朝日出は目を丸くする。 ドアのところにいたのは・・・ 第01騎士団団長小川、ディパン最強の男。 今一番見たくない顔だった、仮にも朝日出はそのつもりがなかったとはいえ、皇帝を撃ったのだ。 反逆者に変わりはない。 皇帝「謀反だ・・・朝日出が裏切った・・・」 小川「何!?朝日出・・・貴様ぁ!!!」 次の瞬間、小川は跳躍すると朝日出の頭上を飛び越し、朝日出と皇帝の中間地点に立った。 その時皇帝は自分の肩に手を当てた。 その手を外すと、傷が完全に癒えていた。 小川「貴様!ディパンに背いたこと覚悟するがいい!!」 朝日出「ちっ!」 朝日出は銃を構え、引き金を絞る。 ガゥン カラン しかし、飛び出した銃弾は小川に到達する前に地に落ちていった。 朝日出「なんだと!?」 小川「国王陛下、伏せていてください。 」 朝日出「くそ!!」 ガゥン!ガガゥン!! カランカランカラン! 手ごたえはある、しかし壁のようなものに遮られているようだ。 小川「裏切り者には死を・・・邪眼を開放する。 」 シュゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオウ! 朝日出「ぐわああああああああああああああ!!!」 重い衝撃波が、朝日出を襲う。 朝日出は吹き飛ばされ、城壁を突き破る。 朝日出は見ていた。 皇帝が肩に手を当て、傷をいやしたとき、そこに自分を襲った闇があったことを・・・ この時すでに朝日出は確信していた。 皇帝が何者かに操られていると。 と同時に、朝日出は自分の意識が遠のくのを感じていた。 なぜ消えたか、皇帝の側近である者ならば誰もが知っている。 これが小川の力であると。 皇帝「小川・・・反逆者の始末、済ましたようだな。 」 小川「はい、・・・陛下、それよりお怪我は?」 皇帝「朝日出は私に向かって発砲したが、焦っていたようだ。 弾丸は外れた。 」 小川「そうでございますか、お怪我がなくて何よりです。 」 この時、小川は僅かに疑惑を感じた。 朝日出がいかなる状況におかれていようと弾丸を外す事はないと知っていたからだ。 しかし、皇帝に忠誠なる騎士である小川は、皇帝に疑問を感じたことを自負し、次の瞬間には疑惑は消えていた。 皇帝「それで・・・奴をどこへ飛ばしたのだ?」 小川「異空間の彼方へ・・・」 皇帝「そうか・・・未来永劫出てくることは叶わない空間・・・さすがだ。 」 小川「お褒めに頂くほどのことではございませぬ・・・。 」 これが小川の力、騎士団最強の男である訳だ。 皇帝「フケガオ王国との戦争も近い・・・お主の力は我も存分に期待しておる。 」 小川「ハッ・・・仰せのままに・・・」 皇帝「では小川よ、そろそろ下がってよいぞ。 」 小川「ハハッー・・・」 そして小川は謁見の間を後にした。 しかし、小川は皇帝に一つ嘘を付いていた。 だが、この事については、自負心はなかった。 いくらなんでも小川には戦友である朝日出は殺せなかったのだ。 小川「 朝日出よ・・・許せ。 お前の反逆の理由は知らずともこうするしかなかった。 いや、仮にお前が反逆をしていなかったとしても、皇帝を敵に回した時点で、帝国騎士団としてのお前は死んでいたのだ。 ・・・お前の記憶は消した。 新たな人生を歩んでくれ・・・。 その名は吉田・・・。 全ての物語がここから始まる・・・。 いや、すでに始まっていたのかもしれない。 吉田「父さん!今日も手合わせしようぜ!」 父「そんなせかすな。 毎日やっているだろうが。 」 吉田「いいから、はやく!今日も俺、強くなったんだぜ?今日こそ勝てるかもしれないじゃん!」 ユーグリフ村の道場で、親子が話している。 吉田の父は村の子供と吉田を弟子に、剣道場を開いているのだ。 道場とっても、門下生は吉田を含めて6人ほどだ。 なんたってユーグリフ村は小さな村、村人はあわせて40人ほどだからだ。 父「門下生は皆帰ったな・・・。 さて吉田・・・」 吉田「お願いします! 先生!」 サッ・・・ 二人は真刀を抜いた。 野生動物を狩って生計たてている村ゆえに、実戦向けの剣技を鍛錬している。 父「行くぞ・・・」 吉田「うりゃあっーーー!!」 吉田は瞬雷の如く駆けた。 とても常人が見切れる速度ではなかった。 サッ・・・ しかし吉田父は難なく避け、反撃を加える。 ザスッ・・・バシン! 吉田「ぐっ・・・!」 父「勝負あったな・・・。 」 もちろん、峰打ちであるが、吉田は暫く立てないでいた。 吉田「へっ・・・やっぱりまだまだ鍛錬が足りねぇか・・・。 」 父「その通りだ。 精進しろよ!・・・ こいつ・・・日に日に強くなっている・・・。 いずれは俺を抜くな・・・。 」 父「さぁ、そろそろ今日の晩飯を狩って来い!」 吉田「おう、今日は猪鍋だったっけ。 猪は中々みつからないんだよなぁ。 」 父「まぁがんばって見つけて来いよ。 」 吉田「はいはい、じゃあいってきますよ。 」 吉田は道場を出て裏山に駆け出そうとした。 」 吉田「あ、母さん!なんだい?」 母「気をつけてらっしゃいね。 」 吉田「なんだよ。 狩りなんて毎日のことじゃないか!」 母「なんか、今日は嫌な予感がするの・・・。 」 吉田「ふーん、心配いらねぇって、じゃあ行ってくるぜ!」 この吉田母の心配は的中していた。 しかし、そんなことは村の誰一人思っていなかった。 そして吉田は裏山に駆け込んだ。 ユーグリフ村に事は起こった。 ザッザッ・・・ いくつもの勲章や金色の装飾品が着いた黒い軍衣を見につけた男が数十人の兵隊らしき男を引きつれて、ユーグリフ村の門をくぐった。 小さな村ゆえに、門守はただ一人。 門守は軍服を着た男に問いかける。 門守「おやおや、団体さんで・・・こんな辺境の村に何か御用ですかな?」 ???「ディパン帝国、皇帝の命によりこの村及び周りの山林はディパンの領土とする。 」 門守「なっ・・・あなたは一体・・・。 」 ???「ディパン帝国、十二騎士団04騎士隊長、萩野谷。 」 門守「て、・・・帝国・・・。 まさか、噂には聞いていたがこんな辺境の地にまで・・・ 」 萩野谷「・・・できれば争いはしたくない。 村長はどこだ。 話をつけてやる。 」 門守「・・・致し方ない・・・あちらです・・・。 」 門守は争いは避けようと、安全なほうへと持っていった。 しかしそれは少しの時間稼ぎにしかならないと知る事になる・・・。 萩野谷「お前達はここで待っていろ・・・。 」 リーダー萩野谷は兵隊達に声をかける。 そして男は村長の家へと入って行った。 高級食材である猪を見つけることは容易ではなく、吉田は山の深くまできていた。 吉田「はぁー、このままじゃただの野菜鍋になっちまうぜ・・・。 まぁ、なんであろうが、スパイスがあればいいんだけどなぁ。 」 吉田はさらに足をすすめる。 様々な野生動物はいるが、肝心の猪がいない。 その先も暫く、猪を探すと・・・ 見つけた。 吉田「あ!見つけたぜ!しかも珍しい種!」 吉田は猪のほかにもう一つ目に入るものがあった。 それは人間・・・ 人が猪のそばで倒れていたのだ。 吉田はあながち猪にやられたのだろうと思った。 猪を追うか、人間を助けるか。 吉田はそこまで薄情な男ではなかった。 吉田「おい、大丈夫か!?猪にやれたのか?」 吉田は猪を剣で追い払ったのちに倒れている人に声をかけた。 しかし返事はない。 吉田「お〜い・・・。 それにしてもなんだ?この服・・・金ぴかのあくせさりーがいっぱいついてるぞ・・・?」 倒れている男の服装には吉田には異様に目についたようだ。 それに、腰のホルダーには見たことがない武器が入っている。 吉田「ここらへんの人じゃないな・・・。 外国の人かな?」 ???「うっ・・・う・・・」 吉田「あっ!生きてる!?おーい!おーい!」 ???「うああぁ・・・顔が暗い・・・ううう!!」 吉田「何を言っているんだ?夢でもみてるのかな?」 ???「ハッ・・・ここは・・・?」 男は夢にうなされたのち、目を覚ました。 しかし男の様子はおかしかった。 挙動不審・・・というべきか。 吉田「ここは・・・って、好き好まないでこんなとこ行くやついないだろ。 あんた誰?」 ???「・・・?俺は・・・あれ・・・」 吉田「どうしたんだ?」 ???「俺は・・・誰だ・・・?」 吉田「え・・・?」 男は記憶を失っていた。 なぜ自分がここにいるのか・・・ 自分は一体誰なのか、それすらもわすれていた。 吉田「だからあんた誰だよ。 」 ???「・・・。 わからない。 」 吉田「ハァ・・・?」 ???「どうやら記憶を・・・失ったようだ。 」 男はある種、冷静でいた。 しかし何かにおびえたような表情をしていた。 しばらく二人は話し合い、事を決めた。 吉田「よし、じゃあ俺の村で泊めてやるからついてこいよ。 」 ???「ああ、助かるよ。 それにこの服装・・・自分でも何だがわからない・・・。 」 吉田「それになんだが傷ついているね。 イノシシにやられて記憶を失うって間抜けだなぁ。 」 ???「・・・イノシシ・・・そんなものではない・・・俺は何か・・・何かを見た・・・。 うっ・・・」 吉田「・・・???さっきもうなされていたようだけど、何があったの?」 ???「わからない・・・。 俺は・・・何か重要な何かを知っていた気がする・・・。 」 彼の瞳には何が写っていたのか・・・? 今となってはわからないことだった。 吉田「まぁ、あまりかっこつけるなよ。 どうしてたいしたことないだろ。 」 ???「・・・。 」 吉田「あ、そうだ。 俺の父さんが記憶を失ったら、自分の身分を証明するものをもっているか探せって前いってたよ。 」 ???「・・・!そうか。 」 まず男は自分の腰のホルダーに目がいった。 これもまた自分も知らない武器が下がっていた。 次に胸のポケットを見てみた。 ???「これは・・・。 」 そこには何かの破壊力によって破損しているカードのような物が入っていた。 そこに記されているもので読み取れる文字は 『帝 08 団 朝日出』だけだ。 吉田「何何・・・これがお前の名前か?」 ???「・・・そうかもしれないな。 」 吉田「ふーん・・・じゃあお前の名前は朝日出な!」 ???「・・・!変な名前だな・・・まぁいいか。 」 朝日出「じゃあ、俺は朝日出で・・・そういえばお前の名前をまだ聞いてなかったな。 」 吉田「ああ。 俺は吉田。 父さんから剣を習ってるんだぜ。 お前も変な武器じゃなくて剣を使えよ。 」 朝日出「・・・。 」 朝日出「とりあえず、吉田の村に連れて行ってくれ。 吉田「ああ。 こっちだ!」 二人はユーグリフ村へ向かう。 その時吉田は今日の晩御飯はどうしようかと考えていた・・・。 ユーグリフ村では・・・ 萩野谷が村長の家から出てきた。 萩野谷「村人、全員を集めろ。 」 その一言で、兵隊たちが全ての家々をまわり、村人全員を広場に集めた。 村人1「おいおい、一体なんの騒ぎだ?」 村人2「祭りやるなら昼間にしようぜ。 」 門守「で・・・話はついたのか・・・?」 吉田父「・・・ 奴らは一体・・・? 」 40人近くの村人は騒いでいた。 しかしもうすぐ黙ることになる・・・。 萩野谷「交渉は決裂した。 ・・・村長はな。 」 村人「どういうことだ?」 萩野谷「村長と私は、この村の所有権に関する話をした。 私は村長に、ここら一体を私たちの領土にするかわりに、あなた方には私たちが作り上げた町に移住してもらう、と。 」 門守「その交渉は受け入れられなかったようだな・・・。 」 萩野谷「・・・。 ここに村人を集めたのは何のためだと思う?」 萩野谷は村人全員に問いかけた。 萩野谷「・・・もう一度・・・君達と交渉をしたい。 条件はさきほどいったものと同じだ。 」 村人「な・・・、村長がダメだといっただろ!ここでは村長の意見が絶対だ!」 萩野谷は村長の家に目を向けて言った。 萩野谷「何を言っている・・・?死んだ者の意見など聞く意味がないだろ・・・?」 村人「な・・・!」 村人全員が村長の家の窓から中をのぞく。 そこには喉を切り裂かれて倒れている村長の姿があった。 一面は血の海で誰が見ても生きているはずがなかった。 萩野谷「彼は私の提案に反対した。 ここらあたりの山林を開拓するといったとたんにね・・・。 君達はあの老人のような自然崇高者じゃないだろう?さぁ、交渉を受け入れてくれるな?」 村人「クソヤロォオオオオオオオ!!」 その瞬間、村人十人ほどが、萩野谷に向かって突進した。 カッ・・・ズシャアアアアアアアン 萩野谷の姿が一瞬消えたかと思うと、村人達は切り刻まれていた。 その光景を見て、逃げ出そうとした村人は外にいた兵士に捕らえられ、その場で切り捨てられた。 ある者は助けを呼ぶまいと鐘を鳴らす。 カラーンカラーン カラーンカラーン 村中に警鐘が鳴り響く。 しかし兵士たちは構わず村人を切り捨てて行った。 そして残ったのは二人・・・ 帝国兵士「ば・・・馬鹿な・・・グハッ・・・」 吉田父「その程度か・・・。 」 吉田の父は襲い来る兵士を軽くなぎ倒していった。 吉田父「おい、今のうちに逃げるぞ!ここはもうだめだ!」 吉田母「でも・・・直紀が!」 吉田父「クッ・・・」 その二人の姿に、萩野谷が気づいた。 そして吉田父と萩野谷の目が合う。 吉田父「お前は下がっていろ・・・。 」 吉田母「ええ・・・。 」 萩野谷「命乞いをしてわびれば命だけは・・・と言いたいところだが、お前達には死んでもらう。 マトモな闘いがしたくてウズウズしているのでね・・・。 」 闘争本能に燃えた萩野谷に、吉田父は冷静に対処する。 吉田父「貴様・・・目的は何だ?」 萩野谷「・・・。 先ほど言っただろう?耄碌したか。 」 吉田父「嘘をつくな。 ここら一帯の領土に何の価値がある・・・?」 萩野谷「鋭いな・・・。 冥土の土産に教えてやる。 確かに理由は違う。 いや・・・知らない。 」 萩野谷はほくそえみながら言った。 萩野谷「俺は主の命により行動を起こしているのみ。 この村の人間を抹殺しろという命令にな・・・。 」 吉田父「クッ・・・わかった。 俺の命をやろう・・・。 だが、俺の妻の命は助けてやってくれ・・・。 」 萩野谷「論外だ。 命令は遂行するのみ。 」 サッ・・・ザシュッ とっさのことで吉田父は対応できなかった。 神速で萩野谷が吉田母に斬りつけたのだ。 吉田父「きっ・・・貴様ぁああああーーっ!! 吉田父は怒りに任せて萩野谷に猛虎のごとく攻め入った! 萩野谷「やっと戦える・・・来るがいい!」 ビシャアアアアアアアアアアアン その時、雷鳴が響き渡り、決着がついた。 吉田「村から警鐘!?一体何が?」 朝日出「珍しいことなのか・・・?急いだほうがいいらしいな。 」 吉田「ああ!」 そして二人が村に着いた頃・・・ 全ては終わっていた。 吉田「な・・・なにがあったんだ・・・。 」 朝日出「酷い有様だ・・・。 誰がこんなことを・・・!!」 その時、吉田は村の逆の出口に黒い服を着た男が去っていく後ろ姿がかすかに見えた。 しかし吉田はあまりの光景で動くことができなかった。 朝日出「誰も・・・生きていないのか!?」 吉田「ハッ・・・父さんと母さんは!?」 吉田は少し探すと、母の亡骸を見つけた。 吉田「・・・!!」 吉田は泣くのをおさえ、父を探した。 朝日出「・・・!あの人まだ息がある!」 ???「う・・・うう・・・」 そこに倒れているのは吉田の父だった。 体は剣で1斬りされていた。 吉田「と、父さん!一体何が!」 父「うう・・・直紀・・・間に合ったか・・・。 」 吉田「誰がこんなことを・・・。 」 父「わ、わからない・・・だが・・・奴らの狙いは恐らくお前だ・・・。 」 吉田「!?」 吉田はとっさの父の言葉に困惑した。 自分が村を崩壊させた者の狙いだなんて聞かされたら当たり前である。 父「もし・・・奴にあったら注意しろ・・・。 」 吉田「奴って・・・どんな!?」 父「黒い軍服を着て・・・片目が潰れている男だ・・・。 ・・・俺は最後にあいつの片目と刺し違えた・・・。 」 吉田「馬鹿な・・・父さんを剣で倒すなんて・・・」 吉田は父を超える者はいないと信じていた。 それを崩された時が今であった。 朝日出「お、おじさん!大丈夫ですか!?」 父「!!・・・直紀・・・そいつは・・・?」 吉田「森で会った人・・・記憶喪失だって・・・」 父「そ、そうか・・・お前はそいつと・・・一緒にいれば・・・何かわかるかもしれないぜ・・・。 」 吉田「わかった・・・。 今、傷の手当てをするから待っていて!父さん!」 朝日出「いや・・・。 」 父「・・・傷は浅いが・・・血が止まらない・・・俺はもうだめだ・・・。 」 朝日出は吉田の父がもう助からないと判断していた。 なぜだろうか、自分でもわからない。 記憶を失う前の経験が生きたのかもしれない。 吉田「そんな・・・父さん!」 父「最期になるが・・・お前に伝えないといけないことがある・・・。 」 父はそして重大な事実を言った。 父「俺はお前の本当の父さんじゃない・・・。 」 吉田「え・・・!?」 父「俺とお前の今の母さんは、南の森で赤ん坊だったお前を拾ってこの村で育てたんだ・・・。 」 吉田「そんな・・・」 吉田は次々と言われる事実に呆然としていた。 おそらく吉田の精神状態を言い表すとすればコーヒーカップである。 父「グフッ・・・グフッ・・・ハァハァ・・そろそろ・・・終わりがきたようだな・・・。 」 吉田「逝かないで父さん!」 父「お前を・・・拾った時・・・身に着けていた物が・・・俺の尻ポケットに入っている・・・・・・・・・・・・・・・」 父「・・・・・・・」 父は絶命した。 しかし吉田は特別に泣いたりしなかった。 そして父の尻ポケットに入っている物を取り出した。 吉田「こ・・・これはサンバイザー・・・!!」 サイズはピッタリ今の吉田に合う。 そのサイズのサンバイザーが赤ん坊のときに何故つけていたのだろうか。 そして吉田はサンバイザーを身につけ、立ち上がった。 復讐・・・真実・・・この二つを目的に彼は旅立とうとしていた。 吉田「朝日出・・・一緒に墓を作ってくれないか。 」 朝日出「ああ。 いいだろう。 」 吉田「その後・・・俺と一緒に旅にでないか。 」 朝日出「わかった。 旅に出るべく、村の門・・・いや、門だったところに立っていた。 その門はすでに破壊され、原形をとどめていない。 吉田「くそっ!!何なんだこいつら!!」 ガスッ 吉田は、転がっている兵士の死体・・・おそらく彼の父が倒したものだろう・・・それに、怒りをぶつけるように蹴りを加える。 朝日出「(ぐっ・・こいつらを見た瞬間・・・頭が・・・何なんだ、こいつら・・・見覚えが・・・ある?・・・のか?いや・・・もしかすると、おれはこいつらに係わりがあったということか?)」 朝日出は何を思ったのか、近くに転がっている。 兵士の死体を探り始めた。 吉田「おい!何やってるんだ?」 朝日出「いやちょっとな・・・(こ・・・これは!?)」 朝日出は兵士の鎧に刻まれた刻印を見つけた。 その刻印には、 ディパン帝国 第04師団 と刻まれていた。 朝日出「おい!吉田!こいつの鎧、ここを見てみろ!」 吉田「ん?・・・これは・・・」 朝日出「どうやらこいつの出身地らしいな・・・」 朝日出はこの時気付いていた、この鎧に刻まれたシンボルマークが、自分が持っていたあのカードに刻まれていたマークと酷似しているということを。 カードは破壊されていたのだが、おそらく間違いないだろう。 さらに、『帝』の文字と『04』『08』といった文字による共通点もある、おそらく、数字は部隊番号だろう。 そう考えると、自分の服装などから自分が幹部だったということが推測できる。 しかし、それが事実だとすると、一つ納得ができない事態に陥る。 なぜ、自分がなんなところにいたのか? というところだ、それは自分が見たような気がする重要な『何か』に関係しているのか? 吉田「どうしたんだ?考え事か?」 下を向いたままの朝日出に吉田が問いかける。 吉田は、まだ朝日出が持っていたカードと、この兵士の共通点に気付いてはいないようだ。 朝日出「いや・・・何でもない。 それよりここに刻まれているディパン帝国って知ってるか?」 吉田「ディパン・・・ディパン・・・そういえば、隣のおじさんと村長が話してるのを聞いた覚えがあるな・・・確かこの村から、北東の方向にある国だったかな?」 朝日出「・・・大雑把過ぎてわからないな・・・」 この大陸、ユーレリアには、17もの国と自治権をもった村がある。 その中では北東の方角と言うだけの情報は全く役に立たないものでしかなかった。 吉田「なら、ともかくこの近くの村で情報を集めようぜ!RPGの基本だろ!!」 朝日出「ったく・・・ゲーム気分かよ。 」 吉田「問題ないって!!」 朝日出「・・・じゃ、それはいいとしてどこえ向かうんだ?」 朝日出は仕方ないといった表情で尋ねる。 吉田「うーん・・・この村の近くの精霊の森を超えたところに、ここより大きい学術都市があるんだ。 たしか、フレンスブルグって名前だったかな?前に父さんの食料の買い出しに行ったことがあるんだ。 」 朝日出「じゃあとりあえず精霊の森だな・・・案内してくれ。 」 吉田「わかった。 こっちだ!」 こうして2人は旅立つことになったしかし、二人はこの時知る由もなかった。 歩きながら話す二人・・・ 吉田「父さんがよるこの森をうろつくのは危ないって言ってたからな・・・今日は、ここ、森の入口で野宿だな・・・」 朝日出「・・・甘かったな?」 吉田「何が?」 吉田は何を言われたか理解できていないようだった。 しかし朝日出は敏感に感じ取っていた。 聴覚や視覚、嗅覚などではないいわゆる第6感で。 そう、殺気の様なものを・・・ 朝日出「吉田・・・止まれ・・・」 吉田「・・・」 このとき吉田も理解した。 最もこちらは、朝日出の様な研ぎ澄まされた戦闘感覚からではなく、野生の感のようなものだったが・・・ しかし、このとき2人は知らなかったのだ。 ここ、精霊の森の別称、凶渦の森そしてその謂れを・・・ ガサッ!! 次の瞬間、茂みの奥から狼が飛び出してきた。 もしこれが2人が気を感じていたところから飛び出してきていたのなら、対応できただろうしかしそれが飛び出してきた位置は、二人の考えていた位置とは反対方向だったのだ。 位置は朝日出の背後。 朝日出「なっ!?」 とっさのことに対応が遅れる・・・が、朝日出はすでに振り向き銃を抜いていた。 記憶を忘れる前、彼が切り抜けてきた戦闘の数々、それが彼の体を動かした。 この指令は脳から出たものではない、反射運動だ。 人が脳を通して状況を判断し、行動へ移すためにはどんなに早くても約1秒はかかる。 しかし、大脳を通さないその指令は百分の一秒という驚きのスピードで命令を筋肉へとつたえる。 ガゥン!! ズバシャン!! 乾いた銃声とともに聞こえた斬撃音、そう、吉田も朝日出と同時に動いていたのだ。 すでに吉田のスピードは一般人の大人では太刀打ちできないほどになっていた。 吉田「ふう・・・おかしいな・・・俺の後ろから来ると思ったんだが・・・」 朝日出「ああ・・・それにしてもお前・・・なかなかやるな・・・」 吉田「ああ、俺は強いぜ?なんたってあの村最強の俺の父さんに、毎日しごかれたんだからな!!」 正確には彼の父ではない、しかし、血のつながりなど彼にとっては些細なものでしかなかった。 朝日出「しかしどうする?この森・・・何かが変だ・・・」 吉田「ああ・・・早く抜けたほうがいいかもな・・・」 吉田と朝日出は歩き始めた。 その頃・・・ 学術都市フレンスブルグ郊外 多くの黒い甲冑に身を包んだ兵士たちが、草原を歩いている。 少し先には、大きな街の光が瞬いている。 ???「・・・よし、止まれ。 とりあえず今日はここで野営だ。 」 その部隊の先頭に立っている男が言い放つ。 男の服装は赤っぽいマントを羽織っていて、右腕は肩の部分からて日本の鉄製の義手のようなものが付いており、指先の部分には鋭くとがった鉄爪が付いている。 参謀「は?団長、失礼ですが、このまま夜討をかけたほうがよいのでは?」 部隊の二番手を行く男が団長と見られる男に声をかける。 実に不機嫌そうな顔だ。 ???「いや・・・夜は敵も警戒している。 ここフレンスブルグの長は、自警団を雇っているとも聞く、どうせなら朝方のほうがよいだろう。 」 参謀「・・・わかりました。 朝日出「くっつ!まったく気配を感じなかったぞ?!」 あわてて振り返るが予想以上のそのスピードにはついいていけなかった・・・オオカミの口が朝日出がとっさに出した左腕にかみつく。 朝日出「ぐっ!!」 吉田「朝日出!!」 シュッ! 吉田が足のばねを使い、一気に狼との距離を縮める。 次の瞬間、鞘走りでスピードを高めた剣が走る。 スザァン!! どさっつ・・・ 首を切りおとされた狼男の体が地へと崩れ落ちる。 朝日出「ぐっ・・・・」 うめき声をあげる朝日出に駆け寄る吉田。 朝日出の腕からは、おびだだしい量の血が流れ落ちている。 吉田「大丈夫か?」 朝日出「ああ、ありがとな・・・・・・今のではっきりわかった。 この森・・・第6感が全く働かない。 」 吉田「そうか・・・さっきから感じていた変な感じはそれか・・・」 ふと朝日出が倒れている狼男へ眼を落す。 朝日出「それにしても何なんだ?こいつは・・・」 吉田「人間と狼のあいのこか?」 顔は狼、体は人間・・・にしてはやけに毛深いが・・・ 吉田「あ、でも確かそろそろ出口のはずだし・・・変種の魔物とでも思えば気にすることなくない?」 朝日出「それもそ」 ???「チャチャチャチャチャ」 朝日出が言葉を終える前に頭上から声が響いてきた。 ・・・笑声・・・なのだろうか? 吉田と朝日出が頭上を見上げると、鬱蒼と茂った木の枝の合間に一匹のサルがいた。 吉田「なんなんだあいつは!??」 朝日出「さあな・・・だが・・・目がやばい」 ???「チャチャチャ・・・」 シュッシュ!! その生物・・・猿は木から木へと飛び移りながら吉田と朝日出へと向かってきた。 ガゥン!ガゥン!ガゥンッガゥン!! 朝日出の銃が火を噴くが、その銃弾はことごとく外れてしまう。 猿のスピードは目で追うのが精一杯なほどの早さだった。 朝日出「くっそう!!早すぎる!!とらえきれねえ!!!」 吉田「俺が動きを止める!そのすきに!!」 朝日出「わかった!」 シュッシュッ!! 吉田も猿に負けじと木の間を縫って猿に迫ってゆく。 猿「チャーー」 ボボボボボボボボボボボボ!! 吉田が、猿を射程距離に収めたその瞬間猿のスネ毛うちの数十本が信じられないほどの速度で伸び、吉田を襲う。 吉田「くっそ!!空波斬!!」 シュゴオオオオオ!! 吉田が振った剣の先から発せられた衝撃波がスネ毛のうちの何本かと衝突し、相殺する。 しかし、何本かのスネ毛は、依然として吉田のほうへ迫ってくる。 吉田「しまった!!打ち漏らしたか!!くっ・・・」 吉田が死を覚悟した次の瞬間。 ガゥン!ガゥン!ガガゥゥン!! 朝日出が放った銃弾がスネ毛の先端を正確に撃ち落とす。 朝日出「吉田!油断大敵だぞ!!」 吉田「!!ああ!!すまねえ!恩にきる!」 シュタッツ! 勢いが落ちていったん地面まで降りてきた吉田だったが、地面に足がついた瞬間、人間とは思えない脚力で飛びあがった。 猿「チャーーーー!!」 猿は再びスネ毛を使おうとする、が、猿が狙いを定めようとした次の瞬間には吉田はもうそこにはいなかった。 飛び上がった先にあった木の枝蹴り、その反動をを利用して、猿の背後に回り込んでいたのだ。 吉田「余裕!!空波斬!!!」 シュゴオオオオオオオオオ!! 衝撃波が猿を襲う。 猿「チャ、チャーーーー!!」 次の一瞬猿はその変則的な動きができなくなっていた。 吹き飛ばされるような単純な動きならば、朝日出にとってそれを打ち抜くなどという芸当は目をつぶってでもできるレベルのものだった。 ガゥン!! 猿「チャーーー!!!!!!!!!!!」 朝日出の放った銃弾は猿の脇腹を貫いた。 ドゴオオオオオオオオオン!! 先の衝撃波の勢いが全くおとえず、地面に激突する猿。 さらにその上から吉田が次の攻撃を放とうとしていた! 吉田「とどめだ!!エリアル・レイド!」 背後の気を利用して、速度を上げた吉田の蹴りがうつぶせに地面にめり込んでいる猿の背中に直撃する。 猿はもう既に動かなくなっていた。 吉田「・・・三割さ・・・」 朝日出「・・・三割ってお前・・・馬鹿か?」 うつむき加減になりながら三割とつぶやいた吉田に朝日出が突っ込みを入れる。 吉田「まあ、いいだろう?もう出口はすぐそこだ。 参謀「団長!さあ、出撃の準備を。 」 ???「出撃?俺はそんな手荒なまねはしたくないんだよね・・・」 男は嘲笑気味に答える。 参謀「何を言っていらしゃるのだ?皇帝陛下からのご命令を忘れたのですか?」 ???「ああ・・・あれ、確か『フレンスブルグ』を帝国の圏内に取り入れよだったかな?」 参謀「なら!!」 参謀は顔を赤くしながら講義する。 ???「皇帝陛下も力ずくでなんて言ってないだろう?」 参謀「・・・いいでしょう。 対話したいと 申されるのですね?」 ???「そうだ。 」 参謀「ええい!!団長だからと言って我慢していたが!!貴様!とんだ腑抜け野郎だ!!これ以上貴様にはついて行けん!!こんな時に臆病風に吹かれおって!!」 参謀は剣を抜き、男へと近ずく。 ???「・・・なにもせずに武力で打って出ようとするのと、話し合いと歩み寄りの道を求めようとするのはどっちが臆病かな?」 参謀「詭弁を!!!!」 参謀は剣を振りかぶる。 しかし、その腕が振り下ろされることはなかった。 男が発した一言で参謀は動きを止めた。 ???「そういえば、そろそろ本国から監察が来る予定だけど・・・君、反逆罪で打ち首になりたい?」 参謀の顔からみるみる血の気が引いてゆく。 そして剣を鞘におさめた。 ???「そうそう、しばらくここで待っててくれよ?」 男はそういうと、隊員の中から数名を選びフレンスブルグの門へと向かった。 門番「誰だ貴様!!こんな時間に何の用・・・」 門番はマントを着た男の後ろにいる黒い甲冑を身につけた兵士を見て言葉を止める。 ???「あぁ・・・誤解しないで、ここを攻め滅ぼそうってわけじゃないから。 」 男は固まっている門番に笑顔で話しかける。 ???「交渉がしたいんだ。 ここの長を呼んでくれるかな?」 門番「あくまで使者というわけですか・・・仕方がありませんね・・・」 戦時中の最低限のルールとして使者は受け入れると同時にその安全は保障するというものがある。 それの後ろ盾に守られ、男は学術都市フレンスブルグの中央にあるフレンスブルグ学院へと向かう。 この街は特殊な構造をしていて、ここの長はフレンスブルグ学院の学園長である。 男は学院の各院長室へ招かれた。 ???「新蔵学院長、お目にかかれ、光栄です。 私はディパン帝国、十二騎士団第12師団団長の堀越と申します。 」 新蔵「形式的なあいさつは抜きにしてもらおうか?本題は何だ?ここの支配か?まあとにかくディパン帝国の今までのやり方とは少し手がうようだな・・・」 堀越「はい、こちらの意見を率直に申し上げます。 ここを我々の支配下に置きたい。 ここは海に面しており、海上の防衛の拠点に適していると、我等が皇帝皇帝陛下は、お考えです。 その代償・・・と言ってはなんですが、こちらを明け渡していただけた場合は研究費用として8000万Gほどを・・・」 新蔵「拒否いたします。 」 堀越が最後まで言い終わらないうちに新蔵は話を切った。 堀越「では、交渉は決裂・・・ですね?」 新蔵「ああ・・・」 堀越「あくまでディパンの命に背く・・・か・・・いいだろう、ここの安全は保証しいな・・・」 堀越は窓に歩み寄ると手榴弾のようなものを外にほおり投げる。 ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!! 新蔵「貴様!今のはまさか!?」 堀越「ああ・・・開戦の合図だ。 」 フレンスブルグ郊外 参謀「開戦の合図だ!!」 兵士「おおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」 数時間後・・・ 新蔵は堀越により捕えられたフレンスブルグの士気は低く、ほどなく勝敗は決まり、市民は広場へと集められた。 ディパン監察官「堀越よ、ディパン帝国に逆らった民たちだ・・・女子供かかわらず処刑せよ。 ほかの村、町に対する見せしめだ。 」 堀越「・・・はっ。 」 ディパン監察官「では、私はここのほかも回らねばならぬので失礼。 」 監察官はそういうと、馬に乗り東の方角へと消えていった。 それを確認した堀越は、 堀越「・・・市民を全員避難させろ・・・」 参謀「!?貴様やはり・・・皆の者!このような奴の言うことを聞くことはないぞ!!!」 参謀が食って掛かるが、兵士たちは参謀を無視し、市民たちの縄をほどき始めた。 どうやら、誰も無抵抗の市民を望んで殺したい者はいないようだ。 堀越の意外な行動に驚いた村人は呆然としていた。 堀越「・・・皆の者。 フレンスブルグは、皇帝陛下の命によってディパン帝国の領地になる・・・。 もし逆らえば私も今度は本当に処刑するだろう。 」 堀越は演説をするかのように市民に呼びかけた。 堀越「安息の地は用意してある・・・。 帝国が作り上げた移民土地ライゼンバッハに皆の者には移り住んでもらう。 決しって悪い待遇ではないはずだ。 」 先ほどの堀越の行動を加えて堀越の提案には賛同するものもいた。 新蔵「・・・ここ以上の生活を与えてくれるのなら私も山道しよう。 」 新蔵はの質問に堀越は答える。 堀越「・・・約束しよう。 」 兵士「さぁ、団長様からの直々の誘いだ!ライゼンバッハに住みたい奴はついてこい!」 そして少しの時間がたてば市民たちは兵士たちの前に並んでいた。 堀越の策略どおり、移住を望むすべての市民たちが移住を望んだ。 いや、ここで逆らえば処刑される。 しかも待遇は良い。 言うがままにするのが誰にとっても良いと判断したのだろう。 堀越「ではお前達はライゼンバッハまで案内をしてやってくれ。 帝国までは長い。 道中はくれぐれも安全に。 」 兵士「ハッ。 」 兵士たちはは何百人もの市民を導き、帝国への道を歩んで言った。 まさにこの様は大名行列のようであった。 そしてフレンスブルグがもぬけの殻になり、残ったのは2、3人の兵士と参謀と堀越だけだった。 参謀「くっ・・・うまくいったからいいものを・・・。 」 堀越「確かに全面戦争を仕掛けたほうがてっとりばやかった。 」 堀越「それに最近の皇帝陛下はなぜか皆殺しより、ライゼンバッハへの移住を望んでいるようだ。 何故だと思う?」 参謀「さぁ・・・。 私たちは皇帝陛下に命じられたとおり行動していればそれでよいのでは・・・。 」 堀越「それもそうだな・・・。 」 話し合っている二人に黒い服を着た男が近寄っていることに堀越は気づいた。 堀越「あなたは・・・十二騎士団04騎士隊長、萩野谷」 萩野谷「新人の十二騎士団12師団団長さんか・・・。 」 堀越「ここで会うとは奇遇ですね。 」 十二騎士団の隊長同士が作戦意外で帝国の外で会うということはまずないことであった。 それもこれも萩野谷にはすでに部下の兵士は一人も着いていなかったからである。 堀越「やられた・・・ようですね。 部下も全滅ですか。 」 萩野谷「勘違いするな・・・。 任務完全に遂行した。 ただ単に私の左目と部下十数人が犠牲になっただけだ。 」 萩野谷の左目は応急処置をした程度で傷跡はむき出しであった。 堀越「もう目はだめですね・・・。 」 萩野谷「ああ。 止血はしたが、もう見えていない。 眼帯がほしいところだ。 」 堀越「あなたの任務はたしか・・・」 萩野谷「辺境の村の村人の殲滅だ。 お前も似たような任務だろう?」 堀越「私の任務は領地の獲得です・・・。 人殺しとは訳が違いますよ・・・。 それにしても・・・一体誰があなたと兵士を?」 萩野谷「知らないな・・・。 相手はただの剣士だった。 」 堀越「それにしても・・・さすがですね。 その目の傷跡を見る限り、相手の刃は音速を超えています・・・。 そんな相手を倒すなんて・・・。 」 医学の心得がある堀越は傷跡をみるだけで、敵の実力を知る事ができた。 萩野谷「いや・・・。 この鎧を着ていなかったらやられていたのは私だったかもしれない。 」 萩野谷の軍服は鋼鉄の鎧になっていた。 しかし、その傷跡はそれをも砕いていた。 そしてその跡に気づいた堀越は目を丸くしているだけであった。 堀越「・・・。 その村は一体・・・不思議ですね。 なぜ皇帝陛下はそんな村の殲滅など・・・。 」 萩野谷「さぁな。 それにしてもお前・・・ここの市民はどうした?」 堀越「ああ。 例の移民都市に兵士に連れて行かせました。 」 萩野谷「移民都市・・・十二騎士02魔団団長佐藤と02魔団の兵士、皇帝陛下、そして移民してきた人々しか入ることが許されない例の都市か・・・。 」 堀越「ええ。 なぜ佐藤さんの部隊だけ許可されるのでしょうかね?」 萩野谷「わからんな・・・。 それよりも逆に一般の移民が入れて我々が入れないことのほうがおかしいが・・・。 」 移民都市・・・それは帝国でもなぞめいている地域である。 十二騎士団佐藤の部隊と皇帝陛下、そしてそこに来た移民・・・彼らのみしか移民都市ライゼンバッハの真実は知らない・・・。 果たしてそこは噂に聞く天国のような都市なのか・・・? 萩野谷「さて・・・私は皇帝から受けた任務は全て完了した。 」 堀越「私もですね。 」 参謀と数人の兵士は十二騎士の二人の会話に割り込めなかったが、いるので忘れないで欲しい。 参謀「団長、次の任務はすでに皇帝から受けております。 これは十二騎士団の皆さんに宛てた者ですから、萩野谷様、あなたも当てはまりますね。 」 萩野谷「・・・久しぶりの十二騎士の全員集合か・・・。 おそらく次の戦争にかかわることだろう。 」 堀越「フケガオ王国・・・ですか。 」 萩野谷「ああ。 フケガオ王国を倒せば、この世界全域は帝国 の支配下となる。 」 堀越「では・・・さっそく帝国まで急ぎましょう。 」 ピッー 堀越は午笛を鳴らす。 そして町の外にいた人数分の馬がやってくる。 萩野谷「助かる。 では行くぞ!」 馬に乗った彼らは帝国へと進んで行った。 そしてそこに移民をつれた馬車がやってきた。 02魔団兵士「止まれ・・・。 どの部隊の者だ?」 11騎士団兵士「11騎士団だ。 」 ???「団長はどこだ・・・?」 02魔団兵士「・・・11騎士団隊長様でございますか・・・団長はあちらでございます。 」 違う部隊同士がここで交錯しあう。 今、移民の受け渡しが行われようとしていた。 佐藤「あら、ご苦労様ジェラくん。 ここからはユイがやるわ。 」 ジェラ「ローリンソン、セラウェイ、スマタウン、この3つの村からの移民約、1200名だ。 」 佐藤「大量大量。 じゃあこの先はあなたたちは通行禁止だからじゃあね。 」 ジェラ「ああ。 」 その時、佐藤は何かに気づいたように振り返った。 佐藤「あ、そういえば十二騎士団全員に召集がかかったそうよ。 謁見の間に行ったほうがよろしいんじゃない?」 ジェラ「・・・そうか。 お前も急がなければな・・・。 」 佐藤「ええ。 この移民をライゼンバッハに入れたら私も向かうわ。 」 ジェラは振り返り、兵士達に声をかける。 ジェラ「皆の者、任務は完了した!それぞれは兵舎に戻れ!」 その一声で兵士達はここから近くにある11騎士団の兵舎へ向かっていく。 ジェラは西の方角にある城に馬を走らせる。 佐藤「さて・・・さぁあなたたち、この門をくぐりなさい。 」 ウイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン 奇妙な音とともに、横縦10mほどの大門が開く。 その先には何も見えない。 移民1「な、・・・なぜ先が見えないんですか?」 佐藤「これはね・・・外部からは見えないように私の力が働いているのよ・・・。 さぁ入りなさい・・・。 」 言われるがままに数百人もの人々は門をくぐっていく。 中には暗闇に見える門ゆえか入るのをためらうものもいた。 移民2「あのぉ・・・本当にいいところなんですかね・・・。 移民都市って・・・。 」 佐藤「ええ。 もちろんよ・・・。 この先は差別もなにもない世界・・・。 理想郷よ・・・。 」 そして促された残りの移民たちはついに足を踏み入れた。 ウイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン 門が閉まる。 佐藤「あはははは・・・・。 これで皇帝陛下様もお喜びになる・・・。 闇人形もこれで6万匹を越したわね・・・。 」 佐藤「さぁて・・・私も少し狩ろうかしら・・・?」 ウイイイイイイイイイイイイイイイイイイン 佐藤の姿は少しの闇につつまれ消えた。 これは明らかに小川の空間移動とは別質であった。 そして・・・門の中では・・・ 何かが起こっていた。 しかしそのころ、この先に何が待ち構えているのかも知らず、フレイスブルグの移民たちも帝国への道・・・いや、闇への道を進んでいた・・・。 まるで死んでいるかのように静まり返った町・・・そこには、吉田が父とともに来た頃の活気あふれた街の面影は残っていなかった。 吉田「おかしいな?こないだ父さんと来たときは、もっとにぎやかだと思ったのに・・・」 朝日出「・・・おい、門から出てくるあれは・・・」 吉田「え?」 吉田が門から出ると、そこから三騎の馬が走り去っていった。 吉田の驚異的な視力は、その馬にまたがっている男の姿を完全にとらえていた。 黒い軍服を着た、隻眼の男 あいつだ、吉田の両親を討ったあの男。 こんなところで早くも会えるとは・・・ 吉田の心は喜びと純粋な殺意に支配されていた。 吉田「あのヤロッ!!」 飛び出そうとする吉田、しかし、朝日出がこれを止めに入る。 朝日出「待てっ!!あの男の強さは計り知れない・・・今でてっても返り討ちに合うだけだぞ?」 吉田「だけどっ!!!」 二人の感情は大局的だった。 あくまで冷静に対処する朝日出。 怒りに身を任せ、両親の敵を取ろうとする吉田。 どちらの意見が正しいかは、言うまでもなかった。 朝日出「落ち着くんだ!もし今出て行って、お前が殺されたら、誰がお前の父親と母親の敵を取るっていうんだ!!」 吉田「・・・」 朝日出の説得により、吉田は平常心を取り戻していった。 吉田「・・・わかった・・・犬死にはごめんだ・・・」 朝日出「しかし・・・どうやらあの街も帝国の支配下に置かれたようだな・・・」 そのことを推理する材料は十分すぎるほどあった。 吉田「とりあえずいってみようぜ?幹部みたいな三人はあっちのほうに行っちまったんだ。 そこまで危険っていうわけじゃないだろう・・・」 朝日出「・・・まぁ、情報を手に入れないことには始まらないからな・・・」 数分後・・・ 2人はフレンスブルグの門の位置まで来ていた。 兵士「!!」 一人の兵士が吉田たちの方角を向き、驚いたような表情で見つめる。 兵士「朝日出様!?なぜこのような土地に?」 吉田「朝日出様っておま・・・むぐっつ!!」 このときとっさに吉田の口を押さえた朝日出の判断は正しかった。 もっとも、それは町を出る時に自分が帝国騎士団の幹部だったのではないか?という疑問をかすかながらに抱いていたおかげだったのだが・・・ 兵士「・・・?どうかなさったのですか?」 朝日出「いや・・・何でもない・・・少し特命を受けて、任務の遂行中だっただけだ・・・ああっと・・・あれだ、その特命にこのガキが関与しているんだが・・・詳しいことはな・・・」 朝日出の行動がよくわからないといった表情で、質問してきた兵士を丸めこむ。 一種の賭けだった、何も分からない朝日出にとっては、いつ自分の記憶喪失がばれないことを願った。 もし、自分の応対におかしなところがあれば、一大事になりかねない。 兵士「そうでしたか・・・それより、上より達せられた命令はご存知ですか?」 朝日出「いや・・・特に新しい指令はないが。 上から何か聞いているか?」 兵士「そうですか・・・どうやら十二騎士団の全隊長に集合の命が下ったそうですが・・・」 心の中で朝日出は勝ち誇っていた。 どうやら賭けはおれの勝ちらしいと・・・ 朝日出「ああ・・・わかったすぐに帝国へ向かう。 ずいぶんと遅れてしまっているようだ。 このあたりの地図をくれないか?近道でもわかるとありがたいのだが・・・」 兵士「あっ・・・はい私が持っているものでよければ・・・」 兵士はそういうと、自分の荷物をあさり始めた。 吉田の口は相変わらずふさがれたままだ。 兵士「あっありました。 これをどうぞ。 」 兵士はそういうと、朝日出に地図を手渡した。 朝日出「ああ、ありがとう。 早速出発することにしよう。 」 兵士「あっ、待ってください!!」 振り返り出発しようとする朝日出を呼び止める兵士、朝日出は不自然に思われたのかもしれないと、冷や汗をかいていた。 しかし、兵士がそのあとに続けた言葉は、その心配が取り越し苦労であったことの証明ともなった。 兵士「馬をお貸ししましょう。 なにしろディパンまではかなり今日があるますから・・・」 朝日出「ああ、すまないな。 」 朝日出は安心しながら礼を言い、馬を受け取ると馬を走らせた。 フレンスブルグから数時間まえに出発した、十二騎士団団長2人と、その参謀がひとりである。 ちなみに、フレンスブルグよりほぼ同時期に出発した、移民たちは、行程の半分ほど馬を走らせた段階で、すでに追い越してきていた。 萩野谷「・・・予定よりも早く着いたな。 」 堀越「ええ・・・門番!!十二騎士団第12師団団長堀越だ!到着した!門を開けてくれ!!萩野谷さんも一緒だ!」 堀越が、城壁に向かって叫ぶ。 この門は、内側からでないと開けられない仕組みになっており、誰が入る時もこのように内側にいる門番に開けてもらわなければならない。 ギギギギギギギギギギギギギギ・・・・ 鈍い音を立てながら門が開く。 萩野谷「よし、宮殿へ向かうぞ!!」 堀越「あ、ちょっと待ってください。 」 萩野谷「なんだ!?」 堀越「ちょっと野暮用がありますんで、先行っててもらってもいいですかね?」 おどけた表情で言う堀越、萩野谷は仕方ないといった表情で返す。 萩野谷「何んだ?仕方ないな・・・まあもう全員そろっているというわけじゃないし、いいだろう。 早めに済ませてこいよ?」 堀越「わかってますよ。 じゃあちょっと行ってきます。 」 堀越はそう言うと帝国の東側へと馬を走らせた。 萩野谷は12師団の参謀を連れて、宮殿へと向かう。 萩野谷が宮殿に到着するころ、十二師団が集結しつつあった。 現在、宮殿十二師団控え室には、萩野谷を含めて五人の団長が集まっていた。 第01騎士団団長、小川。 第03歩兵師団団長、中郷 第04師団団長、萩野谷 第06師団団長、シゲタ 第11師団団長、ジェラ これに加え、現在ライゼンバッハより、佐藤が向かっている。 帝国兵士「もうすぐディパンにつくぞ!」 新蔵「・・・もうすぐディパンか・・・(話がうますぎる気がするのは俺だけか?・・・いやな予感がする・・・)」 期待は裏切られるためにあり、嫌な予感は当たるためにある・・・こんなことを言ったのは誰だったか。 まさに、このときの新蔵の嫌な予感は見事的中することになる。 このとき、誰にも気づかれていなかったが、近くの草むらに二人の影があった。 吉田と目立つ黒い服を着替えた朝日出・・・ どこに着替をもっていたのかという、突っ込みはやめていただきたい。 ・・・おねがいだから。 朝日出「・・・この行列・・・ディパンの捕虜、と考えるのがベストだな。 となると、あの中に混ざれば、うまくディパンに潜り込めるかもな・・・」 吉田「ああ、しかしディパンに乗り込めるのはいいが、これからどうするつもりだ?」 朝日出「何が?」 吉田「だって、お前、あいつらの仲間だったんだろう?」 怪訝な顔つきで質問する吉田、最悪のケース・・・朝日出の記憶喪失が演技の可能性まで吉田は考えていた。 しかし、朝日出は 朝日出「ふっ・・・ああ、そうらしいな、だが・・・今じゃそんなことはどうでもいい。 お前についていくだけだ。 」 この時の朝日出の言葉は半分が嘘だ。 この時の朝日出にとって重要だったのは吉田についてゆく、というよりは、真実を知ることだった。 だがしかし、真実を知るという意味では吉田も同じ目的を持っている。 つまり、吉田についてゆきたい、というのも完全な嘘ではなかった。 吉田「・・・そうか・・・」 朝日出「ああ・・・ちょうどこの横を通り抜けるタイミングで列の中に入るぞ・・・」 吉田「・・・わかった。 」 朝日出「一・・・二の・・・三!今だ!!」 移民団の一団が横を通り過ぎる次の瞬間・・・ 移民団のメンバーが2人増えたことに気づくものはいなかった。 一方、ライゼンバッハ正門前・・・ 堀越は、ここの手前で馬を下り、建物の陰に身を潜めていた。 堀越「(さあて・・・ここまでは、ばれないで接近できた・・・どうやら俺が感じた謎の波動の発信源はここか・・・いや・・・ここのほかにも・・・しかし、どうやってこのなかを探る?)」 ???「何をしているのですか?」 堀越「!!!」 堀越の背後から突然声が掛けられる。 堀越「誰だ!?」 ???「私ですよ・・・」 堀越「お前は02魔団の参謀か・・・脅かすなよ・・・」 その男は佐藤率いる第02魔団参謀だった。 しかし、なぜいきなり暗闇の中から現れたのか・・・ 参謀「・・・第12師団の団長であるあなた様が、なぜこのようなところへ?」 堀越「いやぁ・・・この中に何がどうなっているのか気になってね・・・」 堀越はライゼンバッハの城壁を指さしながら言う。 このとき堀越は、参謀の後ろに回された手が、何かをつかんだということを見逃さなかった。 参謀「・・・そうですか。 この中は差別や上下関係のない、争いも起きない、そんな、理想郷になっております。 」 堀越「じゃあ、何で俺達が入れないんだ?」 この質問に参謀は少し考えるためか、間をおいて答えた。 参謀「それは・・・」 堀越「それは?」 参謀「この街の住民の中には、あなた方を快く思っていない輩がいるからです。 襲われたら、シャレになりませんからね・・・」 堀越「そうか・・・じゃあ陛下に呼ばれてるんでな・・・」 争いのない、そう言った言葉に矛盾していたのだが、堀越はこの時、あえてそのことを見逃した、それはこの後に参謀がとるであろう行動が予測できたからだ。 堀越が振り向いたのを見はからうと、参謀は後ろ手に握りしめていたナイフを、堀越目がけて投げつける。 参謀「ここに疑問を持った時点で、いかに十二師団団長だろうが、消される以外に道はない!!」 ヒュン!! ナイフが風を切り、一直線に堀越に向かって飛ぶ。 しかし、そのナイフが目標を捕らえることはなかった。 堀越は宙を舞い常人には見えないほどの速度で参謀の後ろに回ると、その鋭い鉄爪を参謀ののど元に押し付ける。 切れた皮膚から血が滴っていく・・・ 堀越「さあて・・・教えてもらおうか?あの中が一体どうなっているのかを・・・なにがアルカディア、理想郷だ・・・中から感じる波動が普通じゃないことに気づかれなとでも思ったか?」 参謀は震えながらも体を闇に包もうとする・・・が 次の瞬間、闇が発生しないということに気づく。 参謀「なっ!?バカな・・・」 堀越「無駄だ、貴様のそのおかしな術は封じさせてもらった。 」 参謀「な、なぜ貴様のような者が・・・12師団と言えば強さは最下位のはず・・・なのに・・・」 参謀は目を白黒させる、かなり驚いているようだ。 堀越「そんなことはどうでもいい。 おれの質問に答える気があるのかないのか?」 鉄爪がさらに強く押し付けられる。 参謀「まままま・・・待ってくれ!!答える!答えるから!!」 堀越「くくく・・・よし。 で?あの中はどうなっているんだ?」 参謀「あの中に入ったものは闇にのまれる。 」 堀越「闇?」 驚いたような表情で切り返す堀越、その表情や、口調から察するに、闇という言葉に心当たりがあるようだ。 参謀「ああ、闇だ。 そして、闇使いによって、完全に作り上げられた、優秀な兵士・・・闇人形になる。 」 堀越「闇人形だと?」 参謀「ああ、闇を使え、闇使いの命令には絶対服従の優秀な兵士だ!!もういいだろう!?はなしてくれ!!」 震えながら答える参謀には最初に会った時の、冷静さはみじんも残っていなかった。 もはや、必死の形相に、吹き出る冷や汗、別人のようだ。 堀越「ああ、答えてくれてありがとう・・・じゃあな!!」 ズブシャアン!! 堀越の鉄爪が参謀ののど仏を切り裂いた。 吹き出る鮮血・・・ 参謀「がっ・・・」 どさっつ・・・ 参謀は糸の切れた操り人形のようにその場に倒れこんだ。 堀越「な・・・。 こいつは人間じゃないのか!?こいつすら、やつが言っていた闇人形だというのか!?」 堀越は驚いた。 しかしすぐに冷静さを取り戻して考えた。 堀越「移民は皇帝陛下が推奨していたこと・・・まさか皇帝が闇の根源・・・!?」 堀越「チッ、どうすれば・・・俺一人の力ではどうにもできん・・・。 」 ウイイイイイイイイイイイイイイイン 堀越の後ろに闇に包まれた女性が現れる。 佐藤「あら、ずいぶん困った顔をしてるじゃない?どうしたのかしら?」 堀越にとってこのタイミングで佐藤に会うことは何よりもまずいということがわかっていた。 なぜなら彼女は移民都市を管理している02魔団の団長だからである。 堀越「・・・っ!」 堀越は踵を返し、佐藤のいない方角へ駆ける! しかし佐藤がそれを見逃すはずがなかった。 ウイイイイイイイイイイイイイイン 堀越「グアアアアアアアアアアアアァ!!」 闇。 堀越の右腕が闇に包まれる。 次の瞬間、その右腕は消えていた。 堀越「ハァハァ・・・ぐっ」 佐藤「あら・・・本物の腕を失ったらその程度の反応じゃ済まないはず・・・。 その右腕、義手のようね。 」 堀越は一瞬にして自分の右腕を消した術に驚くこともなく、冷静に言葉を返す。 堀越「ああ・・・。 しかしその義手は高くつくぜ・・・?」 バッ! 堀越は左手で短剣を構えて宙を舞う。 堀越「!?」 堀越は確かに佐藤の後ろを捉えたと思っていたが、そこに彼女の姿はなかった。 ウイイイイイイイイイイイイイイン 堀越の足元、いや、堀越の足元から半径5mほどか、闇の円が出来た。 ウイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッイイイン!!! 堀越はふんばるが、足元からじょじょに闇に飲まれていく。 そして目の前に佐藤が現れる。 佐藤「アハハハハ!哀れね。 もうすぐあなたの体全体は闇に犯される・・・。 一瞬で消してやってもいいけど、消える恐怖を味あわせてあげてるのよ・・・。 堀越「チッ・・・致し方ない・・・。 あれを使うしかないな。 」 堀越の思わせぶりなセリフに佐藤は反応をしめす。 佐藤「何を言ってるの?もう貴方の体の半分は闇の中・・・何もできはしないわ。 」 佐藤の言うとおりで、堀越の胸から下は闇の沼にはまっている。 堀越「・・・これを使うのは何千年ぶりかな・・・。 契約者の名に置いて命ず・・・出でよ。 」 堀越「光の悪魔、セイレーン!!」 その瞬間、堀越の周りに浄化の光が満ちる。 闇の沼は一瞬にして消された。 佐藤「な、何だって言うの!?それは悪魔の力・・・あなたはまさか!」 堀越「ああ。 そのまさかだよ・・・。 力はお互い様のようだな。 」 佐藤は一瞬驚いたが、すぐに微笑んで言い返す。 佐藤「確かに驚いたけど・・・悪魔なんて私の前では無力に等しいわね。 」 堀越「馬鹿な・・・。 ゆけ、セイレーン、浄化の光を!!」 ウイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン 佐藤は強大な闇を放った。 その闇に光の悪魔であるセイレーンですら飲み込まれる。 堀越「ば、馬鹿な!?闇とは一体・・・!?」 佐藤「アハハハハ・・・そんな悪魔なんて時空ごと飲み込む闇の前では無力・・・ほら上を見なさい。 」 ウイィィィィイイイィィィイイイィィィイイイン 奇妙な音とともに、堀越の頭上にはブラックホールのようなものが現れた。 直径は20m以上ある。 堀越「い・・・いつの間に・・・!?瞬時にこのようなものを作り出すとは!!」 佐藤「あなたも・・・闇人形の仲間入りね。 さよなら・・・」 堀越「・・・ここは退くしかないようだな・・・。 フンッ!」 シュゥン!! その瞬間、堀越の体は消えた。 佐藤「・・・テレポーテーション・・・にげられたわ・・・。 まぁ、悪魔の力を使えし者がテレポーテーションを使えないわけがないか・・・。 」 佐藤「まぁ・・・いいわ・・・あいつには闇の粒子を埋め込んだ・・・。 一度でも闇に触れた者は闇に支配されるという運命から逃れられない。 そのときからどうあがこうが・・・直に闇人形となる・・・アハハハハハ」 そう。 堀越の体にはすでに闇がうごめいていた。 闇とは何か・・・強力なウイルスのようなものか・・・? いや、違う。 その謎を知っている者は誰もいない・・・。 佐藤「さぁて、そろそろ十二騎士団の皆さんも集まっているころね・・・。 」 ウイイイイイイイイイイイイイン 佐藤は堀越と同じようにテレポーテーションをした。 言うまでもなく、それは闇の力によるものだった。 その頃・・・帝国の郊外・・・ 堀越「悪魔の力でここに逃げ込めたが・・・チッ、俺ももう帝国では生きていけんな・・・。 おそらく佐藤はこのことをすぐに皇帝に伝えるだろう。 そして皇帝が十二騎士団に俺の抹殺を命令する・・・。 (どうする?闇について少し調べてみるか・・・)」 シュウゥゥゥ・・・ 堀越の足元に魔方陣のようなものが描かれてゆく。 シュバァァァン! あたりが眩い光に包まれた次の瞬間、すでにそこに堀越の姿はなかった。 場所が変わり、帝国謁見の間。 ここに十二騎士団が集まっていた。 第01騎士団団長、小川。 第02魔団団長、佐藤 第03歩兵師団団長、中郷 第04師団団長、萩野谷 第05師団団長、嶋田 第06師団団長、シゲタ 第07剣客団団長、ミスター 第09師団団長、福田 第10師団団長平河 第11師団団長、ジェラ 本当は朝日出と堀越もいるはずだったのだが、どちらも闇・・・それにかかわり、帝国にはいられなくなったのだ。 帝国・・・闇・・・ ここにいる十二騎士団の中でも、帝国の陰謀を知っているのはわずかである。 皇帝「皆の者、よく集まってくれた。 」 皇帝がおもむろに口を開く。 しかし、朝日出と堀越の裏切り行為を知らされていない佐藤を除く各団長たちは、不思議な顔をする。 萩野谷「皇帝陛下、失礼ですがまだ、堀越と朝日出が到着していないようですが・・・」 その疑問を一番はじめに口に出したのは、萩野谷だった。 皇帝「そのことについてだが、皆に残念なことを知らせをしなければならない・・・朝日出と堀越は、我を・・・ディパン帝国を裏切ったのだ。 」 萩野谷「!?」 佐藤を除く皆が、一同に驚いたような顔をする。 萩野谷に至っては信じられないといった表情で、口があっぱなしだ・・・あいた口がふさがらない、本当にそんな感じであった。 それもそのはず、萩野谷はこの国の城門まで堀越とともに来たのだから。 皇帝「・・・信じられない気持はわかる・・・しかし、これは事実なのだ。 」 皇帝はそう言うと、話を本題に進める。 皇帝「本日、皆にここへと集まってもらったのは、ほかでもないとうとう、我がディパン帝国はフケガオ王国率いるFU諸国との本格的な戦争を開始する!!」 皇帝は、おもむろに立ち上がると、そう言い放った。 数分後・・・ 王の執務室。 そこに、二人の姿があった。 第02魔団団長佐藤と皇帝だ。 皇帝「しかし、先に合あった報告・・・大丈夫なのか?」 佐藤「ええ・・・彼には闇の粒子を埋め込んでおいたわ。 」 皇帝の問いに対し、佐藤は微笑しながら返す。 佐藤「今は、体力が少し落ちる程度だけど・・・そのうちいいやみ人形になるわ・・・」 皇帝「ああ・・・」 一方、ここは異世界・・・ と言っても、同じ時空線上をたどる世界だが・・・ そこの、スペルネンテス遺跡 そこにいるのは先ほどディパン帝国郊外から消失した、赤いマントを羽織った男・・・ 堀越「えっと・・・ああ、この一文か・・・あったぞ・・・・・・・えーっと・・・この文章は・・・・ああっ・・・・くそっ!!なんたってこんなに解読が難しいかな!?わざわざ暗号化することないだろう?」 堀越は、壁面に描かれた碑文を指でなぞりながら読んでいく。 書かれている文字は、コモンと呼ばれるもので、この異世界の共通語なのだが、高度な暗号化が施されており、読むのに手間取っているようだ。 数時間後・・・ 堀越「とりあえずはこんなもんか・・・」 壁に描かれていたのは、この世界の創造神話だった。 堀越が羊皮紙に解読した文章には、その創造神話に関する闇の記述が抜粋されていた。 下に書いてあるものがそれだ。 闇使いは人の心の闇に り込み、その闇 操る とさえ ると れる。 また、体 闇を植え付けられ ものは、その体を 取 られ ネルギー化さ のちに、従順なや 闇に 対処法は、老 や 術 どがある。 また、闇を消失 せ は、 の秘宝である。 を いて 所々かけているのは、碑文が記されたのがかなり昔であり、石板の風化が進んでいたために読めなくなっているためだ。 後ろになるほど風化は進み肝心なところは見えていない。 堀越「・・・老・・・・やはりこれは老術のことか?しかし・・・現代までその使い手が残っているのか?うっ・・・そういえば、俺は・・・ん?くっ・・・佐藤と対峙した時の記憶が不鮮明になってきている?いったい・・・」 頭を抱える堀越、この時佐藤が埋め込んだ闇の粒子が、佐藤と対峙した時の記憶を脳内から消し去っていたのだ。 しかし、吉田は朝日出に一蹴されることになる。 朝日出「いや・・・俺は山の中で記憶を失い、ボロボロになっていた・・・そこから察すると、俺はおそらく、作戦に失敗したのだろう。 そうだとすると、俺はどういう扱いを受けるかわからない・・・なら見つからないほうがいいだろう?」 吉田「あ・・・ああ、それもそうか・・・」 妙に納得する吉田。 朝日出「それよりもタイミングを見計らって、この列から脱出しないとな・・・」 吉田「ああ・・・」 移民団は、門のところに差し掛る。 門守が何人かいたが、どうやら誰も朝日出に気づく様子はないようだ。 朝日出「目の前に見えるあれが城か・・・(さて・・・これからどうするか・・・ここまで来たはいいが・・・ちっ・・・ここまで来れば俺の記憶を取り戻す何かがあると思ったが・・・)」 吉田「・・・(黒服のあいつ・・・待ってろよ・・・必ず敵を打ってやる!)」 2人は門をくぐったところから見える、巨大な城を見上げていた。 その胸の内にここの思いを浮かべて・・・ 移民団は王国の内部に作られた巨大都市、ライゼンバッハへとついた。 ここまでは順調だったが、ここでトラブルが発生する。 移民団が一列に並ばされたのだ。 当然、ライゼンバッハに入るためなのだが、このせいで、移民団の管理をしている、第02魔団の兵士に発見されてしまう。 兵士「あれは・・・裏切り者の朝日出だ!!」 朝日出「しまった!見つかった!!吉田!」 吉田「ああ・・・」 この時、状況は完全に朝日出たちに有利だった。 一列になり始めたとはいえ、足での周囲には、まだフレンスブルグの住民が残っている。 兵士隊は朝日出に迂闊に手が出せない状況だったのだ。 このことを利用して、朝日出たちはタイミングを合わせると、一気に行動に出た。 シュッ! 朝日出「はっ!!」 ガゥンガゥンガゥン!!! 朝日出は空中に飛び上がると銃を抜き、空中から地上の兵士たちを狙い撃ちする。 シュッシュッシュッシュッ!! 吉田「奥義!ラウンドリックセイバー!!」 ズバシャァァァン!! 吉田は、人ごみの間を木の間を縫うごとく、駆け抜け、朝日出が狙い打ったのと反対側の兵士の間を脱兎のごとく走り抜ける。 もはや、この戦いは、常人のレベルを超えていた。 おそらく、普通の人が見ても、閃光が走ったようにしか見えなかっただろう。 朝日出「ふう・・・あらかたかたずいたな・・・」 朝日出は吉田を振り向きながら言った。 吉田「ああ、思ったより楽生だったぜ・・・まあ三割ってところかな・・・」 朝日出「またそれか?」 吉田「まあな・・・」 朝日出はやはりややあきれ顔だった。 その時、背後から声が聞こえた。 ???「ふふふ・・・これはおかしな客ね・・・あなたは小川くんによって、消されちゃったはずなのに・・・」 二人が振り返るとそこには第02魔団団長、佐藤がいた。 佐藤は自分の部下が殺されたというのに、相変わらず笑みを浮かべている。 朝日出「貴様は?」 佐藤「ふうん・・・・見たところ演技じゃあなさそうね。 記憶喪失ってわけ・・・」 吉田「こっちの質問に答えろよ!!!」 うすら笑いを浮かべたままの佐藤に対し、吉田が怒鳴る。 佐藤「・・・いいわ、私は帝国十二騎士団第02魔団団長、佐藤よ。 まあ今から消える人に自己紹介しても無駄なんだけどね・・・」 佐藤は嘲笑しながら答える。 吉田「なんだと?貴様!こいつらみたいになりてえか!?」 吉田があたりを顎で指しながら言う。 佐藤「ああ・・・その子達ね・・・この子達みたいって?」 次の瞬間ウイイイイイイイイイイインという音と共に、倒れていた兵士たちが、闇と化し始めた。 朝日出「うぐ・・・うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」 それを見ると同時に、頭を押さえてうずくまる朝日出。 どうやら、闇を見て、記憶を取り戻しかけているようだ。 それを見た吉田が吠える。 吉田「貴様!!いったい何をした!!?」 佐藤「・・・別に何もしてないのだけれど・・・まあいいわ、消えてもらおうかしら。 」 フッ。 佐藤が腕を前に突き出す。 すると、 ウイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン! 佐藤の腕よりはなたれた闇が、朝日出と吉田を襲う。 朝日出は頭を抱えたままだ。 闇が目前へと迫る。 吉田「(だめだっ!飲み込まれる!!)」 ???「セレナーデもう一度だ・・・力を貸してくれ。 」 謎の声に、吉田が前を見るとそこには赤いマントの男と、小さな精霊のようなものが浮かんでいた。 カッ!! あたりに城下の光が満ちる。 佐藤「なっ!?貴様は!?」 佐藤は驚きの表情を浮かべる。 堀越「・・・ふっ・・・」 吉田「お前は・・・誰だ?」 堀越「さあな・・・失業したから、盗賊稼業に逆戻り・・・かな?」 ウイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン 佐藤は上空に再び巨大なブラックホールを造ると、言い放った。 佐藤「さっきのがした獲物が・・・ちょうどいいわ・・・まとめて消し去ってあげる!!」 堀越「あの程度だと思うなよ!」 佐藤「ふふふ・・・あなたに何ができるっていうの?」 張ったりだと思い、佐藤はブラックホールのような攻撃を一瞬止めてしまう。 これが大きなミスだった。 堀越『汝、その諷意なる封印の中で安息を得るだろう、永遠に儚く・・・セレスティアルスター!!!!』 堀越は驚くべきほどの速度で呪文の詠唱を終える。 老術のような魔法というよりは、使い魔の・・・すなわち、召喚した悪魔の力を上昇させているようだ。 カッ!!! あたりを聖なる光が満たし、光のつぶてが佐藤に向かい、降り注ぐ。 佐藤「くっ・・・なんてこと!?」 ウイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン!!! 佐藤は闇の防壁で、自分の周囲を包む。 シュバァァァァァァァァァン! シュバァァァァァァァァァン! シュバァァァァァァァァァン! シュバァァァァァァァァァン! シュバァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!! その攻撃がやみ、佐藤が、防壁を解いたとき、すでに三人の姿はなかった。 どうやら、テレポーテーションで脱出したようだ。 」 ウイイイイイイイイイイン 佐藤は闇の空間を作り出す。 そしてそこに向かって話し出した。 佐藤「皇帝様・・・朝日出が生きていた模様です・・・。 」 その闇の空間は皇帝の耳元につながっているようだ。 皇帝「・・・小川の失態か・・・それについてはのちに小川と話をつける・・・。 それより貴様・・・」 皇帝「二度も新人の第12師団団長の堀越を殺り逃したようだな・・・。 」 佐藤「し、しかしあいつには闇の粒子を埋め込んでいます。 闇に関する記憶はすでに失われているはず!」 皇帝「・・・そのことを言っているんじゃない・・・。 お前の力量にがっかりしたと言っているんだ。 」 佐藤「ぐっ・・・。 」 皇帝「お前の闇の質は凄まじい・・・。 しかしお前の闇絶対的な質量数に欠けている・・・。 」 佐藤「ど、どうすれば・・・?」 佐藤は自分の力量に自信があったが、皇帝に指摘されとまどっている様子であった。 そして皇帝は答えを示した。 皇帝「私の闇の粒子をくれてやる・・・。 欲しくば謁見の間まで来い・・・。 」 佐藤「本当ですか!?いますぐに・・・。 」 ウイイイイイイイイイイイイン 佐藤は自分をやみにつつみ、謁見の間へと移動した。 皇帝「ククク・・・そんなに私の粒子が欲しいか・・・?」 佐藤「ええ・・・しかし皇帝様の力はまだ再生が不十分だと・・・。 」 皇帝「問題は無い・・・もう再生は最終段階にきている・・・。 」 佐藤「そ、そうですか!では私に力を・・・」 ウイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン!! その瞬間、皇帝の手から発せられた闇が佐藤の脳内へと入っていく。 佐藤「ぐ・・・これが・・・本当の闇の力・・・!!」 ウイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン!! ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン 皇帝「クククク・・・これで今の貴様の力はディパンでも1、2を争うだろう・・・。 」 佐藤「あり難き幸せ・・・。 では・・・次の任務を!」 皇帝「フケガオ王国との戦争までお前の力は借りん。 ・・・そうだな外で扉を警護している小川を呼んできてくれ。 」 佐藤「ハッ、かしこまりました。 」 バタン、 帝国「ククク・・・佐藤よ・・・他人の闇の粒子を埋め込まれるということがどういうことか・・・お前も理解しているな・・・?ククク・・・」 佐藤は謁見の間から出て、外で警備にあたっている小川に話しかける。 佐藤「小川くん、皇帝が呼んでいたわよ。 すぐに行ったほうがよろしいんじゃなくて?」 小川「・・・!佐藤か・・・。 わかった。 佐藤の力・・・今までと違う!!何があったんだ・・・?それにさっき謁見の間から感じた奇妙な気・・・朝日出のときと同じ・・・。 」 小川「・・・では行って来る。 それまで変わりに警備についてくれないか?」 佐藤「わかったわ。 」 バタン そして小川は謁見の間へと入る。 皇帝「・・・待っていたぞ。 」 小川「ハッ、どのようなご用件で・・・?」 皇帝「・・・朝日出をしとめ損ねたようだな・・・。 」 小川「!?」 皇帝「朝日出の目撃情報が、各地の兵士、佐藤から来ている・・・。 そしてその朝日出により、帝国の第2魔団の兵士が犠牲になった。 これはお前の責任ではないのか?」 小川「・・・ まさか・・・記憶を失ってまで帝国に関わり続けるのか・・・朝日出よ・・・。 」 皇帝「そこで・・・十二騎士団・・・いや、帝国全体に反逆者、朝日出と堀越の抹殺命令をかける!」 小川「!!」 皇帝「私としてはお前の手で朝日出の首を持ってくるのが一番うれしいがな・・・。 」 そして小川の伝達により、帝国全域に、朝日出と堀越の抹殺命令が下った。 二人には大量の賞金がかけられ、首を手に入れた者には、フケガオ王国との戦争で重要な役割に抜擢してくれると約束された。 この報酬により、二人は十二騎士団、帝国兵士だけではなく、一般市民の敵になってしまった。 十二騎士団がここで次の作戦について話し合っているところであった。 ジェラ「まさか・・・朝日出がな・・・。 」 平河「ああ。 堀越は新人という点もあって、まだわからなかったが・・・」 中郷「彼は十二騎士団でも皇帝に忠実な騎士として名が高かったわ。 」 萩野谷「・・・ 俺にとってはどちらも不自然だ。 俺は堀越と少し前まで行動していたからな・・・。 しかしそれをここで言い出しても不審な目で見られるだけ、か・・・。 」 十二騎士団の核と思われるグループが話している。 そして他の団長も話に参加する。 ミスター「ぼくはそんなことどうでもいいけどさ・・・問題は、誰がどいつの首をとるかってことだよね。 萩野谷さんも僕と話が合いそうじゃない?一緒に狩らない?」 萩野谷「残念ながら私は以前の仲間を好き好んで殺すほど鬼畜でもないのでな。 しかし理由あらばいかなる者も切り捨てるが・・・・。 」 ミスター「そうですかぁ。 」 萩野谷以上に好戦的であるミスターはちゃちを入れる。 福田「しかし、小川、シゲタ、佐藤、島田はどうしたんだ?」 中郷「小川は皇帝と次の戦争について話し合っているらしいわね。 シゲタと佐藤の二人は話し合いに来ることのほうが珍しいわ。 」 島田「・・・ちなみに俺はずっとここにいるぞ・・・。 」 島田は会議室の物陰に潜んでいた。 彼は忍術の達人でいかなる時にも隙を見せないことがモットーである。 ジェラ「・・・さすが忍者だな。 」 福田「うわ・・・気づいていなかったよ・・・。 」 比較的新人である福田は気配を感じ取れなかったようだが、ベテランはもちろん気づいていたようだ。 ミスター「んで・・・早く話しを決めたいんだけど、誰が誰を狩る?僕は一応、少なくとも一人は狩りたいけど。 」 中郷「あなた意外の人はあまり乗り気じゃないみたいよ。 あなたが誰かもう一人選べば?」 ミスター「ああ、そうするよ。 じゃあ福田。 お前が俺と一緒に来いよ。 」 福田「え、俺かよ・・・。 」 福田はいかにもひ弱な感じでやる気はまったくない。 ・・・十二騎士団に選ばれたからには何か力があるのは確かだが・・・。 福田「ま、いいか・・・しかし敵は朝日出だぞ?二人で大丈夫なのか?」 ミスター「僕がいるからね・・・。 堀越のほうはよくしらないけど、たいした実力はないでしょ。 」 平河「では決定だな。 皇帝には俺たちが伝えてくる。 ・・・健等を祈る。 」 そして十二騎士団で朝日出と堀越の討伐をする者が決定した。 この者たちにとって、幸運だったのは、まだ指名手配の件がこの街まで達していなかったことである。 堀越「はあ・・・はあ・・・・」 吉田「おい、大丈夫か?力を使いすぎじゃないか?」 堀越「ああ・・・しかし、いつもはこのくらいじゃ、息は切れないんだが・・・」 吉田「そうむりすんなよ・・・」 朝日出「・・・」 ちなみに朝日出は、ディパンから脱出してから、一言もしゃべらない。 吉田も何度か話しかけたが、すべてスルーされてしまう。 吉田「で?これからどうするんだ?」 堀越「・・・俺は、テレーポートをもうできない、少なくとも、体力が回復するまでは・・・な、だから、地上をつたっていくしかないんだが・・・恐らく、帝国の網に引っ掛かるだろう・・・」 吉田「じゃあどうするんだよ?」 堀越「まあそうあわてるな・・・そのためにここに来た。 モンスターが出現するようになったと、廃坑にされた坑道だったのだが、それらしい影は見当たらない。 吉田「そういえば、堀越お前なんで王国を裏切ったんだ?」 当然の疑問だった。 吉田が目の当たりにした力があれば、王国での地位もそれなりに固かったはず。 本当に裏切ったのか?という疑問が少なからず残っても全く不思議な状況ではなかった。 その疑問に対し、堀越が答える。 堀越「まぁ、帝国が裏でこそこそとなんかやってるから、何やってんのか調べようと、十二騎士団の・・・」 ここまで話したとき吉田が突っ込んできた。 吉田「ちょっと待て・・・十二騎士団って何だ?」 堀越「ああ・・・簡単言うと、皇帝直属の部隊のことだな、エリートさ・・・こいつも、」 と堀越は朝日出を指さしながら言う。 堀越「十二騎士団の一人で、第08部隊の部隊長だ。 」 軽く答えた堀越に対し朝日出は詰め寄る。 朝日出「どういうことだ?俺は、やはりあいつらの仲間だったってことだよな?」 堀越「ああ・・・」 詰め寄る朝日出に動揺もせずに答える。 朝日出は、帝国を脱出する際、闇の発現を目の当たりにし、記憶を取り戻しかけたのだが、結局はその記憶は、戻らなかった。 朝日出「じゃあ、一つ聞かせてくれ・・・」 少し間が入り、落ち着きを取り戻した朝日出は、おもむろに言葉を続ける。 朝日出「・・・俺が、なぜ帝国を裏切ったのか知っているか?」 堀越「いや・・・全く聞いていない」 堀越の言葉にがっくりと肩を落とす朝日出。 朝日出は、記憶をなくす前の自分がいったいどのような人物だったのかが、気にかかるらしい。 その朝日出の様子を見て、言葉を続ける堀越。 堀越「・・・あえて推測するなら・・・俺と似たような理由かもな。 俺は、さっきも言った通り、王国の裏に何かを感じ、それを探るため、第02魔団・・・要するに裏とつながりがありそうな部隊の、参謀に接触した。 」 これまでの経緯を語り始める堀越。 朝日出「それで?その裏っていうのは、わかったのか?」 堀越「いや・・・どうもその参謀に遭遇する前後の記憶がはっきりしないんだが・・・その参謀を脅してる最中に02魔団の団長に邪魔されて失敗した・・・」 それは真実とは違うのだが、朝日出と違い一部の記憶だけを抜かれた堀越は、記憶がない前後の事象とを無意識のうちにつなぎ合わせているらしい。 吉田「・・・帝国・・・か。 」 吉田のこの一言には、わずかにある疑問が込められていた。 その疑問は、初めのうちは全く感じなかったが、堀越のいう帝国の裏・・・そうれを聞くと浮かび上がってくるものだった。 『なぜユーグリフ村を帝国がおそったか?』それに、どんな意味があるのか・・・残念ながら、その答えは吉田の足りない脳で考えてわかるものではなかった。 吉田「堀越・・・あとどのくらいなんだ?」 堀越「このまま行けば30分ほどだが・・・。 」 その時、朝日出が指を指して言った。 朝日出「・・・!落石で先がふさがれているぞ・・・!!」 朝日出の言った通り、3人が向かおうとしていた道は通れなくなっていた。 堀越「厄介なことになったな・・・。 」 吉田「おい。 この坑道の出口は一つだけなのか?」 堀越「いや、そんなことはない。 この先が1番な近道なだけだ。 」 この坑道はフケガオ王国に3つの出口で繋がっている。 落石で通れない道以外、いずれもフケガオ王国の中心部から外れ、かなりの郊外の地へと繋がっていた。 堀越「この先に行けば・・・出られなくは無いな。 」 堀越は左の方角を指した。 そこに道は続いているが、きわめて細く、暗闇に満ちていた。 朝日出「この道がこおれない以上・・・そこへ行くしかないようだな。 」 吉田「まぁ、俺は全然疲れてないからどこへ行ってもいいぜ。 」 そして一同は賛成し、その先へ進むことになった。 彼らは数十分歩いた後、奇妙なものを見ることになる。 朝日出「な・・・何だこれは・・・?」 朝日出の目の先には冒険者のような身なりの人間の変死体がある。 堀越「内臓を食い破られているな・・・。 注意したほうがいい。 この辺りに肉食のモンスターがいるはずだ。 」 吉田「マジかよ。 まぁ、俺はなまっているし、出てきてもいいけど。 」 しばらく進むと、大広間に出た。 朝日出「ここだけやけに広い・・・。 」 堀越「・・・しまった・・・。 」 堀越の目の前には巨大な異形がいた。 周りには首から上がない、数多くの冒険者の死体。 堀越「ここが奴の巣のようだ・・・。 」 吉田「こ・・・こいつは・・・猿!?」 実際、その異形のみなりは吉田とたいして変わっていなかった。 違うのは絶対的な毛の量。 手の人間離れしている太い筋肉。 そして手の血が滲んだ長い爪と体長。 体長は5メートルを超えていた。 それがその異形の猿にはあった。 猿「チャアアアアアアアアアアアア!!」 朝日出「・・・!よく見ろ!こいつ、足はヘビのようになっているぞ!」 堀越「ヘビ!?・・・サンドワームの変種か!?」 その猿は元々はでかいヘビのようなものが、上半身だけ、猿化しているように見えた。 猿「チャアアアアアアア!!」 ザシュッツ!! 猿の爪が朝日出の胴体すれすれをかすった。 朝日出が後ろに飛ばずに、まともに受けていたら、真っ二つになっていたところである。 しかし朝日出は自分の意思より前に、体が動いていた。 バギュゥッン!! 朝日出の弾丸が猿の頭部に貫通する。 猿「チャアアアア!!」 効いている。 効いているが、致命傷にはならない。 堀越「こいつ・・・!脳をぶち抜かれても平然にしている!?」 ザシュゥンザシュウン!! 猿は爪を振り回すが、手だれている3人には全く当たらない。 そして猿は思いついたように行動に出た。 シュルルルルルルル 猿の腕の毛が伸び、吉田に巻きつく。 吉田「うわ・・・!なんだ!とれねぇ!」 堀越「まずい!このままでは吉田が切り裂かれる!」 そして堀越は術の様な物を唱え始める。 堀越「サンダーボルト!!」 ダンッ!ダンッ!ダンッ! その攻撃が吉田を突き刺そうとしていた爪を弾いた! 吉田「おおおおい!!!・・・朝日出!あの毛を切る方法はないか!?堀越の短剣だと、奴に近づきすぎて、堀越まで切られる!」 朝日出「俺の銃じゃ毛は切れないだろ!」 堀越「・・・いや、俺はお前の銃はそんなもんじゃないということを知っている。 」 朝日出「!?」 堀越「弾は他にもあるだろ?」 猿「チャアアアアアアアアアアアアアア!!」 吉田「うああああああああ!!」 まさに猿の爪が吉田を貫こうとしたその時! ボオオオオオオオオオオオ 吉田を巻いていた毛は燃え落ち、吉田も地面へ落ちる。 堀越「ほう・・・。 数ある弾丸から火炎弾を選ぶとはな。 昔の記憶が少しあるんじゃないか? 朝日出「・・・たまたまだ。 」 そして標的をはずした爪は、岩にささった。 猿「チャ・・チャ!!」 堀越「よし・・・奴は爪が岩にささったままだ。 」 吉田「俺がとどめをさすぜ!」 シュシュシュ! 吉田はジャンプし、岩にささった爪の上から腕をつたってゆき、猿の肩に登った。 そこから吉田は猿の顔に目掛けて剣を突き刺す! グサッ・・・!! 猿「チャアアア!!」 朝日出「ダメだ!たいして効いていない!」 堀越「・・・チッ、猿相手にあの力を使うか・・・?」 吉田「いや、手助けはいらないぜ!!」 吉田は突き刺さった剣を抜かずに、そのまま体重を加えて剣におろした! グジャアアアアアアアアアアアアアア!! 朝日出「おお!猿の体が真っ二つ!!」 堀越「・・・! 馬鹿な・・・人間の力であそこまで出来るか・・・? 」 猿の体は顔からへそのあたりまで、真っ二つに切られていた。 吉田「ふっ、余裕。 」 猿「チャ・・・チャ・・・チャアアアアアアア!!」 猿はまだ生きていた。 岩から抜けた爪を吉田に目掛けて突き刺す! 朝日出「マズい!剣は猿に刺さったままだ!今の吉田には手をだせない!」 シュ 吉田は飛び上がった。 堀越「嘘だろ!?」 吉田は5メートルほど飛び上がっていた。 そして吉田は猿の顔面の目の前まで飛び、そこで蹴りを食らわす。 吉田「オラアアアアアアッ!!」 ヅグァン!! ゴギッ!! 猿は首の骨が折れたようだ。 猿「チャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」 さすがの猿も首が折れてダメージを受け、その場で倒れた。 吉田「ふ、あわれだな。 」 堀越「 あの蹴り・・・普通の人間に食らわしたら首から上が吹っ飛ぶぞ・・・ 」 朝日出「おい!まだ生きているぞ!」 猿は倒れたままもがき苦しんでいた。 堀越「朝日出、とどめだ。 」 朝日出「・・・これでいいかな。 」 朝日出は1つの弾を取り出し、銃に装填した。 そして猿の頭上にある天井に目掛けて打つ。 バシュッ ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアン 彼が放ったのはグレネード弾だった。 ドンガラガッシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン 爆発で落石が起こり、猿が岩に押しつぶされていく。 吉田「おいおい・・・危ないだろ。 下手したら洞窟全体が崩れるぞ。 」 堀越「まぁ、出口がふさがれなかっただけ良しとしよう。 」 朝日出「・・・。 一件落着だな。 先を急ぐか。 」 堀越「ああ。 あちらに出口が見える。 」 吉田「おい、待て俺が先に行く。 」 シュシュシュ 吉田は物凄いスピードで出口に向かって駆けて行く。 3人はこの後、無事に坑道を抜け出すことができた。 そして3人が表へ出たとき、はじめに見たのはただ真っ白な銀世界だった。 堀越「・・・雪国か・・・。 随分はずれだな・・・。 」 朝日出「しかし、郊外のほうが、敵の目から逃れやすいんじゃ?」 堀越「・・・ああ。 とにかく村を見つけて一先ずそこの宿でこの先のことを話そう。 」 3人は少し先に見える、村のようなところへ向かいだした。 堀越と朝日出は寒そうにしてるが、なぜか1番軽装な吉田は寒さを感じていないようであった。 それを見て不審に思った朝日出が問いかける。 朝日出「どうしたんだ?」 堀越「・・・この村アリアスはこの前、帝国に吸収された村だ・・・」 吉田「なんだと!?」 確かによく見てみると、破壊された民家などが目につく。 さらに、吉田達は知らなかった事実がある。 すでにこの村には、朝日出、堀越の指名手配所が届いていたのだ。 堀越「まあ仕方がない・・・もう日も暮れる。 この雪国で今から行動するのは危険だ、適当な宿に一泊して、明日朝一で出発することにしよう・・・」 堀越のその提案に朝日出も賛同する。 朝日出「ああ・・・それがいいだろう。 このままじゃ凍死しちまうし・・・な。 」 この二人の意見に従いながらも首をかしげる吉田。 どうやら、彼は全く寒くないようだ。 吉田達はこのあと、近くにあった・・・というよりはこの村で一軒の民宿に泊まることになった。 ???「お客さん!大変だ!!起きてくだせえ!!」 明け方・・・まだ日も昇っていないころ。 吉田達は突如、部屋に入ってきたその男の声で目覚める。 吉田「どうしたんだ・・・こんな朝早く・・・」 朝日出「・・・ん?」 堀越「・・・」 その声の主は、この民宿の親父のようだ。 顔から汗を流し、息を弾ませている。 民宿のオヤジ(以下オヤジ)「ハア・・・ハア・・・お客さん、堀越さんと、朝日出さんだよな?」 突如振られた質問、三人が全員、なぜ2人の名前を知っているのか?という疑問を抱いたが、次の瞬間、堀越だけはその意味を理解したようで、常に身につけている小刀を左手で握りしめ、足に力をいれ、跳躍するじゅうんびを整える。 ちなみに、堀越は、眠る際、義手は外している・・・まあ、指先に鋭利な爪がついた義手をはめているわけにはいかないのだろう・・・ しかし、この堀越の予想は微妙にずれていた。 オヤジ「早く逃げてくだせえ!!おめえさんらは、帝国に指名手配されているんだ!!」 朝日出「なに!??」 吉田「!!」 驚く二人を尻目に、オヤジは説明を続ける。 吉田も驚いたかをしているが、朝日出はわりと冷静なようだ。 堀越「ああ・・・十二騎士団の内、第07剣客団団長、ミスター。 第01騎士団団長、小川。 第02魔団団長、佐藤。 この三人の強さは半端じゃない・・・残りのメンバーも朝日出クラスの実力者だ・・・」 朝日出の疑問に淡々と答える堀越、しかしその声とは逆に相当追い詰められた表情を浮かべている。 どうやら相当やばい状況らしい。 この状況にまず動いたのは吉田だった。 吉田「くっそ!!ぶっ殺す!!!!」 吉田は怒りをあらわにすると、民宿の一階へと走って行った。 その目的はそこに残された三人にはわかりきっていた。 あまりに突然の行動に動けなかった三人・・・ 朝日出「・・・はっ!まずい!!オヤジさんの、娘が・・・」 堀越「・・・ああっ、ああ・・・吉田を止めるんだ!」 吉田からおくれること二十秒・・・朝日出と堀越は、走り始めた。 2人が階段に差し掛かると、一階からどなり声が聞こえてきた。 ???「んなこと言ったて仕方がないでしょうが!!」 吉田「んだとォ!?」 ???「だいたい、何したか知らないけどねえ!お尋ね者になるほうが悪いのよ!このキモジャ!!!」 吉田「キモジャってなんだよ!キモジャって!!!」 ???「キモくてモジャモジャだからキモジャよ!!猿!!射殺すわよ?」 吉田「俺は猿じゃねえ猿じゃ!!!」 ???「似たようなもんでしょうが!!!」 下から聞こえてくるどなり声に唖然とする2人・・・ 堀越「・・・」 朝日出「・・・なあ」 ふと朝日出が口を開く。 堀越「・・・何だ?」 唖然としながらも答える堀越 朝日出「吉田のやつ、ぶっ殺すとか言ってたよな?」 堀越「ああ・・・」 なおも下からどなり声が響いてくる。 ???「だいたいねえ!あんたらなんかやったからお尋ね者なんでしょ?」 吉田「あぁ!?なんもしてねえよ!!」 ???「猿だから忘れっちゃったんじゃないの?」 吉田「誰が猿だ!!!」 ???「あんた以外にだれいるっていうのよ!!このキモジャァ!!!!!!」 吉田「んだと!?てめえぶっ殺すぞ?」 ???「なによ!?それが猿が人間に向かっていう言葉?本当に射殺すわよ?」 吉田「やれるもんならやってみろっていうんだ!!」 堀越&朝日出「(・・・なんかもう一生やってなさいって感じか・・・?)」 まるで夫婦喧嘩・・・などと2人が思っていると、三人がとまっていた部屋から、宿のオヤジが現れ、どなり飛ばす。 オヤジ「コラァ!瑶紀!!!何をやっておるかぁ!!」 途端に下から返事が返ってくる。

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瞬きの如き夢

タガタメ 瞬き の ごとき 夢

さらに時が流れ、国同士の戦も落ち着き人々が平和を手に入れた・・・かと思われた。 が、ユーレリア大陸の北東に位置するディパン帝国が周辺の国々へと突如進行を始めたのだ、油断していた周囲の小国達は次々と帝国へと吸収されていった。 しかし、このような勝利は長くつずかなかった。 大陸の西側に位置する大国、フケガ王国が中心となりそのほかの国が連合を組み、立ち向かうが、ディパンの軍事力はすさまじく、戦線は膠着状態となり始めていた・・・ そんな頃・・・ 人知れぬ場所で邪悪な意思が目覚めようとしていた。 ゴゴゴゴゴゴゴゴ… ここはマリアナ海溝の奥深く・・・そこに、一本の毛が漂っていた。 朝日出「皇帝陛下、ご報告申し上げます。 この度、起こりましたヴィルノア地方での反乱、我等が第08騎士団が完全に鎮圧いたしました。 」 皇帝(???)「おお、朝日出よくやった。 ほめてつかわそう。 」 朝日出「・・・ありがたき幸せ。 (・・・最近皇帝陛下の顔色が悪くないか?それに、今度の反乱、あそこヴィルノアは今回の戦争で手に入れた土地というわけではない、明らかに民の不満が募っている証拠。 だいたい、先の戦争、大義はこちらにはない・・・)」 皇帝(???)「どうした?朝日出よ、まだ何かあるのか?」 報告が終わっても部屋から引かない朝日出に疑問を抱いたのか、皇帝は、怪訝な顔つきで問いかける。 朝日出「いえ・・・最近、陛下の顔色が優れないもので・・・病でもお召しになられましたか?」 正直、今回の戦争に疑問を抱いていた朝日出は、考えを反戦思想の考えを悟られまいと、ごまかした。 いいや、正確にはごまかしたつもりだった。 しかし、そのごまかしが、まさか事態の核心を突いていようとは・・ 皇帝(???)「・・・気付かれたか・・・くっくっく。 」 朝日出「はい?」 いつもとは様子の違う皇帝に、どう返事をすればよいか、言葉が浮かばない朝日出。 しかし、それは考えるだけ無駄だった。 なぜなら次の瞬間、 ウイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン!!! 朝日出の体にまとわりつく黒い何か。 それは、皇帝よりはなたれし闇。 朝日出「ぐっつ・・・がっ・・・体が・・何かに引きよせ・・ぐっ・・」 朝日出の思考は、パニックにより全く働いていなかったがこれまでの若くして得た数々の戦闘経験により体が先に動いていた。 腰のホルダーに手を伸ばし、素早く銃を手に取ると、闇の発生元と思われる場所へと銃口を向け引き金を引いた。 ガゥン!! 乾いた銃声が鳴り響く。 銃弾が闇の発生源と思われる場所を貫いた。 闇は消えた。 朝日出はあわてて正面を確認する。 そこにいたのは、肩を押さえてうずくまる皇帝だった。 朝日出「陛下!?」 朝日出が叫ぶ。 全く状況が理解できていない。 その時、背後のドアが開きある人物が入ってきた。 ???「陛下!今の銃声、それに謎の気いったいどうしたのです!?」 朝日出「・・・」 朝日出は目を丸くする。 ドアのところにいたのは・・・ 第01騎士団団長小川、ディパン最強の男。 今一番見たくない顔だった、仮にも朝日出はそのつもりがなかったとはいえ、皇帝を撃ったのだ。 反逆者に変わりはない。 皇帝「謀反だ・・・朝日出が裏切った・・・」 小川「何!?朝日出・・・貴様ぁ!!!」 次の瞬間、小川は跳躍すると朝日出の頭上を飛び越し、朝日出と皇帝の中間地点に立った。 その時皇帝は自分の肩に手を当てた。 その手を外すと、傷が完全に癒えていた。 小川「貴様!ディパンに背いたこと覚悟するがいい!!」 朝日出「ちっ!」 朝日出は銃を構え、引き金を絞る。 ガゥン カラン しかし、飛び出した銃弾は小川に到達する前に地に落ちていった。 朝日出「なんだと!?」 小川「国王陛下、伏せていてください。 」 朝日出「くそ!!」 ガゥン!ガガゥン!! カランカランカラン! 手ごたえはある、しかし壁のようなものに遮られているようだ。 小川「裏切り者には死を・・・邪眼を開放する。 」 シュゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオウ! 朝日出「ぐわああああああああああああああ!!!」 重い衝撃波が、朝日出を襲う。 朝日出は吹き飛ばされ、城壁を突き破る。 朝日出は見ていた。 皇帝が肩に手を当て、傷をいやしたとき、そこに自分を襲った闇があったことを・・・ この時すでに朝日出は確信していた。 皇帝が何者かに操られていると。 と同時に、朝日出は自分の意識が遠のくのを感じていた。 なぜ消えたか、皇帝の側近である者ならば誰もが知っている。 これが小川の力であると。 皇帝「小川・・・反逆者の始末、済ましたようだな。 」 小川「はい、・・・陛下、それよりお怪我は?」 皇帝「朝日出は私に向かって発砲したが、焦っていたようだ。 弾丸は外れた。 」 小川「そうでございますか、お怪我がなくて何よりです。 」 この時、小川は僅かに疑惑を感じた。 朝日出がいかなる状況におかれていようと弾丸を外す事はないと知っていたからだ。 しかし、皇帝に忠誠なる騎士である小川は、皇帝に疑問を感じたことを自負し、次の瞬間には疑惑は消えていた。 皇帝「それで・・・奴をどこへ飛ばしたのだ?」 小川「異空間の彼方へ・・・」 皇帝「そうか・・・未来永劫出てくることは叶わない空間・・・さすがだ。 」 小川「お褒めに頂くほどのことではございませぬ・・・。 」 これが小川の力、騎士団最強の男である訳だ。 皇帝「フケガオ王国との戦争も近い・・・お主の力は我も存分に期待しておる。 」 小川「ハッ・・・仰せのままに・・・」 皇帝「では小川よ、そろそろ下がってよいぞ。 」 小川「ハハッー・・・」 そして小川は謁見の間を後にした。 しかし、小川は皇帝に一つ嘘を付いていた。 だが、この事については、自負心はなかった。 いくらなんでも小川には戦友である朝日出は殺せなかったのだ。 小川「 朝日出よ・・・許せ。 お前の反逆の理由は知らずともこうするしかなかった。 いや、仮にお前が反逆をしていなかったとしても、皇帝を敵に回した時点で、帝国騎士団としてのお前は死んでいたのだ。 ・・・お前の記憶は消した。 新たな人生を歩んでくれ・・・。 その名は吉田・・・。 全ての物語がここから始まる・・・。 いや、すでに始まっていたのかもしれない。 吉田「父さん!今日も手合わせしようぜ!」 父「そんなせかすな。 毎日やっているだろうが。 」 吉田「いいから、はやく!今日も俺、強くなったんだぜ?今日こそ勝てるかもしれないじゃん!」 ユーグリフ村の道場で、親子が話している。 吉田の父は村の子供と吉田を弟子に、剣道場を開いているのだ。 道場とっても、門下生は吉田を含めて6人ほどだ。 なんたってユーグリフ村は小さな村、村人はあわせて40人ほどだからだ。 父「門下生は皆帰ったな・・・。 さて吉田・・・」 吉田「お願いします! 先生!」 サッ・・・ 二人は真刀を抜いた。 野生動物を狩って生計たてている村ゆえに、実戦向けの剣技を鍛錬している。 父「行くぞ・・・」 吉田「うりゃあっーーー!!」 吉田は瞬雷の如く駆けた。 とても常人が見切れる速度ではなかった。 サッ・・・ しかし吉田父は難なく避け、反撃を加える。 ザスッ・・・バシン! 吉田「ぐっ・・・!」 父「勝負あったな・・・。 」 もちろん、峰打ちであるが、吉田は暫く立てないでいた。 吉田「へっ・・・やっぱりまだまだ鍛錬が足りねぇか・・・。 」 父「その通りだ。 精進しろよ!・・・ こいつ・・・日に日に強くなっている・・・。 いずれは俺を抜くな・・・。 」 父「さぁ、そろそろ今日の晩飯を狩って来い!」 吉田「おう、今日は猪鍋だったっけ。 猪は中々みつからないんだよなぁ。 」 父「まぁがんばって見つけて来いよ。 」 吉田「はいはい、じゃあいってきますよ。 」 吉田は道場を出て裏山に駆け出そうとした。 」 吉田「あ、母さん!なんだい?」 母「気をつけてらっしゃいね。 」 吉田「なんだよ。 狩りなんて毎日のことじゃないか!」 母「なんか、今日は嫌な予感がするの・・・。 」 吉田「ふーん、心配いらねぇって、じゃあ行ってくるぜ!」 この吉田母の心配は的中していた。 しかし、そんなことは村の誰一人思っていなかった。 そして吉田は裏山に駆け込んだ。 ユーグリフ村に事は起こった。 ザッザッ・・・ いくつもの勲章や金色の装飾品が着いた黒い軍衣を見につけた男が数十人の兵隊らしき男を引きつれて、ユーグリフ村の門をくぐった。 小さな村ゆえに、門守はただ一人。 門守は軍服を着た男に問いかける。 門守「おやおや、団体さんで・・・こんな辺境の村に何か御用ですかな?」 ???「ディパン帝国、皇帝の命によりこの村及び周りの山林はディパンの領土とする。 」 門守「なっ・・・あなたは一体・・・。 」 ???「ディパン帝国、十二騎士団04騎士隊長、萩野谷。 」 門守「て、・・・帝国・・・。 まさか、噂には聞いていたがこんな辺境の地にまで・・・ 」 萩野谷「・・・できれば争いはしたくない。 村長はどこだ。 話をつけてやる。 」 門守「・・・致し方ない・・・あちらです・・・。 」 門守は争いは避けようと、安全なほうへと持っていった。 しかしそれは少しの時間稼ぎにしかならないと知る事になる・・・。 萩野谷「お前達はここで待っていろ・・・。 」 リーダー萩野谷は兵隊達に声をかける。 そして男は村長の家へと入って行った。 高級食材である猪を見つけることは容易ではなく、吉田は山の深くまできていた。 吉田「はぁー、このままじゃただの野菜鍋になっちまうぜ・・・。 まぁ、なんであろうが、スパイスがあればいいんだけどなぁ。 」 吉田はさらに足をすすめる。 様々な野生動物はいるが、肝心の猪がいない。 その先も暫く、猪を探すと・・・ 見つけた。 吉田「あ!見つけたぜ!しかも珍しい種!」 吉田は猪のほかにもう一つ目に入るものがあった。 それは人間・・・ 人が猪のそばで倒れていたのだ。 吉田はあながち猪にやられたのだろうと思った。 猪を追うか、人間を助けるか。 吉田はそこまで薄情な男ではなかった。 吉田「おい、大丈夫か!?猪にやれたのか?」 吉田は猪を剣で追い払ったのちに倒れている人に声をかけた。 しかし返事はない。 吉田「お〜い・・・。 それにしてもなんだ?この服・・・金ぴかのあくせさりーがいっぱいついてるぞ・・・?」 倒れている男の服装には吉田には異様に目についたようだ。 それに、腰のホルダーには見たことがない武器が入っている。 吉田「ここらへんの人じゃないな・・・。 外国の人かな?」 ???「うっ・・・う・・・」 吉田「あっ!生きてる!?おーい!おーい!」 ???「うああぁ・・・顔が暗い・・・ううう!!」 吉田「何を言っているんだ?夢でもみてるのかな?」 ???「ハッ・・・ここは・・・?」 男は夢にうなされたのち、目を覚ました。 しかし男の様子はおかしかった。 挙動不審・・・というべきか。 吉田「ここは・・・って、好き好まないでこんなとこ行くやついないだろ。 あんた誰?」 ???「・・・?俺は・・・あれ・・・」 吉田「どうしたんだ?」 ???「俺は・・・誰だ・・・?」 吉田「え・・・?」 男は記憶を失っていた。 なぜ自分がここにいるのか・・・ 自分は一体誰なのか、それすらもわすれていた。 吉田「だからあんた誰だよ。 」 ???「・・・。 わからない。 」 吉田「ハァ・・・?」 ???「どうやら記憶を・・・失ったようだ。 」 男はある種、冷静でいた。 しかし何かにおびえたような表情をしていた。 しばらく二人は話し合い、事を決めた。 吉田「よし、じゃあ俺の村で泊めてやるからついてこいよ。 」 ???「ああ、助かるよ。 それにこの服装・・・自分でも何だがわからない・・・。 」 吉田「それになんだが傷ついているね。 イノシシにやられて記憶を失うって間抜けだなぁ。 」 ???「・・・イノシシ・・・そんなものではない・・・俺は何か・・・何かを見た・・・。 うっ・・・」 吉田「・・・???さっきもうなされていたようだけど、何があったの?」 ???「わからない・・・。 俺は・・・何か重要な何かを知っていた気がする・・・。 」 彼の瞳には何が写っていたのか・・・? 今となってはわからないことだった。 吉田「まぁ、あまりかっこつけるなよ。 どうしてたいしたことないだろ。 」 ???「・・・。 」 吉田「あ、そうだ。 俺の父さんが記憶を失ったら、自分の身分を証明するものをもっているか探せって前いってたよ。 」 ???「・・・!そうか。 」 まず男は自分の腰のホルダーに目がいった。 これもまた自分も知らない武器が下がっていた。 次に胸のポケットを見てみた。 ???「これは・・・。 」 そこには何かの破壊力によって破損しているカードのような物が入っていた。 そこに記されているもので読み取れる文字は 『帝 08 団 朝日出』だけだ。 吉田「何何・・・これがお前の名前か?」 ???「・・・そうかもしれないな。 」 吉田「ふーん・・・じゃあお前の名前は朝日出な!」 ???「・・・!変な名前だな・・・まぁいいか。 」 朝日出「じゃあ、俺は朝日出で・・・そういえばお前の名前をまだ聞いてなかったな。 」 吉田「ああ。 俺は吉田。 父さんから剣を習ってるんだぜ。 お前も変な武器じゃなくて剣を使えよ。 」 朝日出「・・・。 」 朝日出「とりあえず、吉田の村に連れて行ってくれ。 吉田「ああ。 こっちだ!」 二人はユーグリフ村へ向かう。 その時吉田は今日の晩御飯はどうしようかと考えていた・・・。 ユーグリフ村では・・・ 萩野谷が村長の家から出てきた。 萩野谷「村人、全員を集めろ。 」 その一言で、兵隊たちが全ての家々をまわり、村人全員を広場に集めた。 村人1「おいおい、一体なんの騒ぎだ?」 村人2「祭りやるなら昼間にしようぜ。 」 門守「で・・・話はついたのか・・・?」 吉田父「・・・ 奴らは一体・・・? 」 40人近くの村人は騒いでいた。 しかしもうすぐ黙ることになる・・・。 萩野谷「交渉は決裂した。 ・・・村長はな。 」 村人「どういうことだ?」 萩野谷「村長と私は、この村の所有権に関する話をした。 私は村長に、ここら一体を私たちの領土にするかわりに、あなた方には私たちが作り上げた町に移住してもらう、と。 」 門守「その交渉は受け入れられなかったようだな・・・。 」 萩野谷「・・・。 ここに村人を集めたのは何のためだと思う?」 萩野谷は村人全員に問いかけた。 萩野谷「・・・もう一度・・・君達と交渉をしたい。 条件はさきほどいったものと同じだ。 」 村人「な・・・、村長がダメだといっただろ!ここでは村長の意見が絶対だ!」 萩野谷は村長の家に目を向けて言った。 萩野谷「何を言っている・・・?死んだ者の意見など聞く意味がないだろ・・・?」 村人「な・・・!」 村人全員が村長の家の窓から中をのぞく。 そこには喉を切り裂かれて倒れている村長の姿があった。 一面は血の海で誰が見ても生きているはずがなかった。 萩野谷「彼は私の提案に反対した。 ここらあたりの山林を開拓するといったとたんにね・・・。 君達はあの老人のような自然崇高者じゃないだろう?さぁ、交渉を受け入れてくれるな?」 村人「クソヤロォオオオオオオオ!!」 その瞬間、村人十人ほどが、萩野谷に向かって突進した。 カッ・・・ズシャアアアアアアアン 萩野谷の姿が一瞬消えたかと思うと、村人達は切り刻まれていた。 その光景を見て、逃げ出そうとした村人は外にいた兵士に捕らえられ、その場で切り捨てられた。 ある者は助けを呼ぶまいと鐘を鳴らす。 カラーンカラーン カラーンカラーン 村中に警鐘が鳴り響く。 しかし兵士たちは構わず村人を切り捨てて行った。 そして残ったのは二人・・・ 帝国兵士「ば・・・馬鹿な・・・グハッ・・・」 吉田父「その程度か・・・。 」 吉田の父は襲い来る兵士を軽くなぎ倒していった。 吉田父「おい、今のうちに逃げるぞ!ここはもうだめだ!」 吉田母「でも・・・直紀が!」 吉田父「クッ・・・」 その二人の姿に、萩野谷が気づいた。 そして吉田父と萩野谷の目が合う。 吉田父「お前は下がっていろ・・・。 」 吉田母「ええ・・・。 」 萩野谷「命乞いをしてわびれば命だけは・・・と言いたいところだが、お前達には死んでもらう。 マトモな闘いがしたくてウズウズしているのでね・・・。 」 闘争本能に燃えた萩野谷に、吉田父は冷静に対処する。 吉田父「貴様・・・目的は何だ?」 萩野谷「・・・。 先ほど言っただろう?耄碌したか。 」 吉田父「嘘をつくな。 ここら一帯の領土に何の価値がある・・・?」 萩野谷「鋭いな・・・。 冥土の土産に教えてやる。 確かに理由は違う。 いや・・・知らない。 」 萩野谷はほくそえみながら言った。 萩野谷「俺は主の命により行動を起こしているのみ。 この村の人間を抹殺しろという命令にな・・・。 」 吉田父「クッ・・・わかった。 俺の命をやろう・・・。 だが、俺の妻の命は助けてやってくれ・・・。 」 萩野谷「論外だ。 命令は遂行するのみ。 」 サッ・・・ザシュッ とっさのことで吉田父は対応できなかった。 神速で萩野谷が吉田母に斬りつけたのだ。 吉田父「きっ・・・貴様ぁああああーーっ!! 吉田父は怒りに任せて萩野谷に猛虎のごとく攻め入った! 萩野谷「やっと戦える・・・来るがいい!」 ビシャアアアアアアアアアアアン その時、雷鳴が響き渡り、決着がついた。 吉田「村から警鐘!?一体何が?」 朝日出「珍しいことなのか・・・?急いだほうがいいらしいな。 」 吉田「ああ!」 そして二人が村に着いた頃・・・ 全ては終わっていた。 吉田「な・・・なにがあったんだ・・・。 」 朝日出「酷い有様だ・・・。 誰がこんなことを・・・!!」 その時、吉田は村の逆の出口に黒い服を着た男が去っていく後ろ姿がかすかに見えた。 しかし吉田はあまりの光景で動くことができなかった。 朝日出「誰も・・・生きていないのか!?」 吉田「ハッ・・・父さんと母さんは!?」 吉田は少し探すと、母の亡骸を見つけた。 吉田「・・・!!」 吉田は泣くのをおさえ、父を探した。 朝日出「・・・!あの人まだ息がある!」 ???「う・・・うう・・・」 そこに倒れているのは吉田の父だった。 体は剣で1斬りされていた。 吉田「と、父さん!一体何が!」 父「うう・・・直紀・・・間に合ったか・・・。 」 吉田「誰がこんなことを・・・。 」 父「わ、わからない・・・だが・・・奴らの狙いは恐らくお前だ・・・。 」 吉田「!?」 吉田はとっさの父の言葉に困惑した。 自分が村を崩壊させた者の狙いだなんて聞かされたら当たり前である。 父「もし・・・奴にあったら注意しろ・・・。 」 吉田「奴って・・・どんな!?」 父「黒い軍服を着て・・・片目が潰れている男だ・・・。 ・・・俺は最後にあいつの片目と刺し違えた・・・。 」 吉田「馬鹿な・・・父さんを剣で倒すなんて・・・」 吉田は父を超える者はいないと信じていた。 それを崩された時が今であった。 朝日出「お、おじさん!大丈夫ですか!?」 父「!!・・・直紀・・・そいつは・・・?」 吉田「森で会った人・・・記憶喪失だって・・・」 父「そ、そうか・・・お前はそいつと・・・一緒にいれば・・・何かわかるかもしれないぜ・・・。 」 吉田「わかった・・・。 今、傷の手当てをするから待っていて!父さん!」 朝日出「いや・・・。 」 父「・・・傷は浅いが・・・血が止まらない・・・俺はもうだめだ・・・。 」 朝日出は吉田の父がもう助からないと判断していた。 なぜだろうか、自分でもわからない。 記憶を失う前の経験が生きたのかもしれない。 吉田「そんな・・・父さん!」 父「最期になるが・・・お前に伝えないといけないことがある・・・。 」 父はそして重大な事実を言った。 父「俺はお前の本当の父さんじゃない・・・。 」 吉田「え・・・!?」 父「俺とお前の今の母さんは、南の森で赤ん坊だったお前を拾ってこの村で育てたんだ・・・。 」 吉田「そんな・・・」 吉田は次々と言われる事実に呆然としていた。 おそらく吉田の精神状態を言い表すとすればコーヒーカップである。 父「グフッ・・・グフッ・・・ハァハァ・・そろそろ・・・終わりがきたようだな・・・。 」 吉田「逝かないで父さん!」 父「お前を・・・拾った時・・・身に着けていた物が・・・俺の尻ポケットに入っている・・・・・・・・・・・・・・・」 父「・・・・・・・」 父は絶命した。 しかし吉田は特別に泣いたりしなかった。 そして父の尻ポケットに入っている物を取り出した。 吉田「こ・・・これはサンバイザー・・・!!」 サイズはピッタリ今の吉田に合う。 そのサイズのサンバイザーが赤ん坊のときに何故つけていたのだろうか。 そして吉田はサンバイザーを身につけ、立ち上がった。 復讐・・・真実・・・この二つを目的に彼は旅立とうとしていた。 吉田「朝日出・・・一緒に墓を作ってくれないか。 」 朝日出「ああ。 いいだろう。 」 吉田「その後・・・俺と一緒に旅にでないか。 」 朝日出「わかった。 旅に出るべく、村の門・・・いや、門だったところに立っていた。 その門はすでに破壊され、原形をとどめていない。 吉田「くそっ!!何なんだこいつら!!」 ガスッ 吉田は、転がっている兵士の死体・・・おそらく彼の父が倒したものだろう・・・それに、怒りをぶつけるように蹴りを加える。 朝日出「(ぐっ・・こいつらを見た瞬間・・・頭が・・・何なんだ、こいつら・・・見覚えが・・・ある?・・・のか?いや・・・もしかすると、おれはこいつらに係わりがあったということか?)」 朝日出は何を思ったのか、近くに転がっている。 兵士の死体を探り始めた。 吉田「おい!何やってるんだ?」 朝日出「いやちょっとな・・・(こ・・・これは!?)」 朝日出は兵士の鎧に刻まれた刻印を見つけた。 その刻印には、 ディパン帝国 第04師団 と刻まれていた。 朝日出「おい!吉田!こいつの鎧、ここを見てみろ!」 吉田「ん?・・・これは・・・」 朝日出「どうやらこいつの出身地らしいな・・・」 朝日出はこの時気付いていた、この鎧に刻まれたシンボルマークが、自分が持っていたあのカードに刻まれていたマークと酷似しているということを。 カードは破壊されていたのだが、おそらく間違いないだろう。 さらに、『帝』の文字と『04』『08』といった文字による共通点もある、おそらく、数字は部隊番号だろう。 そう考えると、自分の服装などから自分が幹部だったということが推測できる。 しかし、それが事実だとすると、一つ納得ができない事態に陥る。 なぜ、自分がなんなところにいたのか? というところだ、それは自分が見たような気がする重要な『何か』に関係しているのか? 吉田「どうしたんだ?考え事か?」 下を向いたままの朝日出に吉田が問いかける。 吉田は、まだ朝日出が持っていたカードと、この兵士の共通点に気付いてはいないようだ。 朝日出「いや・・・何でもない。 それよりここに刻まれているディパン帝国って知ってるか?」 吉田「ディパン・・・ディパン・・・そういえば、隣のおじさんと村長が話してるのを聞いた覚えがあるな・・・確かこの村から、北東の方向にある国だったかな?」 朝日出「・・・大雑把過ぎてわからないな・・・」 この大陸、ユーレリアには、17もの国と自治権をもった村がある。 その中では北東の方角と言うだけの情報は全く役に立たないものでしかなかった。 吉田「なら、ともかくこの近くの村で情報を集めようぜ!RPGの基本だろ!!」 朝日出「ったく・・・ゲーム気分かよ。 」 吉田「問題ないって!!」 朝日出「・・・じゃ、それはいいとしてどこえ向かうんだ?」 朝日出は仕方ないといった表情で尋ねる。 吉田「うーん・・・この村の近くの精霊の森を超えたところに、ここより大きい学術都市があるんだ。 たしか、フレンスブルグって名前だったかな?前に父さんの食料の買い出しに行ったことがあるんだ。 」 朝日出「じゃあとりあえず精霊の森だな・・・案内してくれ。 」 吉田「わかった。 こっちだ!」 こうして2人は旅立つことになったしかし、二人はこの時知る由もなかった。 歩きながら話す二人・・・ 吉田「父さんがよるこの森をうろつくのは危ないって言ってたからな・・・今日は、ここ、森の入口で野宿だな・・・」 朝日出「・・・甘かったな?」 吉田「何が?」 吉田は何を言われたか理解できていないようだった。 しかし朝日出は敏感に感じ取っていた。 聴覚や視覚、嗅覚などではないいわゆる第6感で。 そう、殺気の様なものを・・・ 朝日出「吉田・・・止まれ・・・」 吉田「・・・」 このとき吉田も理解した。 最もこちらは、朝日出の様な研ぎ澄まされた戦闘感覚からではなく、野生の感のようなものだったが・・・ しかし、このとき2人は知らなかったのだ。 ここ、精霊の森の別称、凶渦の森そしてその謂れを・・・ ガサッ!! 次の瞬間、茂みの奥から狼が飛び出してきた。 もしこれが2人が気を感じていたところから飛び出してきていたのなら、対応できただろうしかしそれが飛び出してきた位置は、二人の考えていた位置とは反対方向だったのだ。 位置は朝日出の背後。 朝日出「なっ!?」 とっさのことに対応が遅れる・・・が、朝日出はすでに振り向き銃を抜いていた。 記憶を忘れる前、彼が切り抜けてきた戦闘の数々、それが彼の体を動かした。 この指令は脳から出たものではない、反射運動だ。 人が脳を通して状況を判断し、行動へ移すためにはどんなに早くても約1秒はかかる。 しかし、大脳を通さないその指令は百分の一秒という驚きのスピードで命令を筋肉へとつたえる。 ガゥン!! ズバシャン!! 乾いた銃声とともに聞こえた斬撃音、そう、吉田も朝日出と同時に動いていたのだ。 すでに吉田のスピードは一般人の大人では太刀打ちできないほどになっていた。 吉田「ふう・・・おかしいな・・・俺の後ろから来ると思ったんだが・・・」 朝日出「ああ・・・それにしてもお前・・・なかなかやるな・・・」 吉田「ああ、俺は強いぜ?なんたってあの村最強の俺の父さんに、毎日しごかれたんだからな!!」 正確には彼の父ではない、しかし、血のつながりなど彼にとっては些細なものでしかなかった。 朝日出「しかしどうする?この森・・・何かが変だ・・・」 吉田「ああ・・・早く抜けたほうがいいかもな・・・」 吉田と朝日出は歩き始めた。 その頃・・・ 学術都市フレンスブルグ郊外 多くの黒い甲冑に身を包んだ兵士たちが、草原を歩いている。 少し先には、大きな街の光が瞬いている。 ???「・・・よし、止まれ。 とりあえず今日はここで野営だ。 」 その部隊の先頭に立っている男が言い放つ。 男の服装は赤っぽいマントを羽織っていて、右腕は肩の部分からて日本の鉄製の義手のようなものが付いており、指先の部分には鋭くとがった鉄爪が付いている。 参謀「は?団長、失礼ですが、このまま夜討をかけたほうがよいのでは?」 部隊の二番手を行く男が団長と見られる男に声をかける。 実に不機嫌そうな顔だ。 ???「いや・・・夜は敵も警戒している。 ここフレンスブルグの長は、自警団を雇っているとも聞く、どうせなら朝方のほうがよいだろう。 」 参謀「・・・わかりました。 朝日出「くっつ!まったく気配を感じなかったぞ?!」 あわてて振り返るが予想以上のそのスピードにはついいていけなかった・・・オオカミの口が朝日出がとっさに出した左腕にかみつく。 朝日出「ぐっ!!」 吉田「朝日出!!」 シュッ! 吉田が足のばねを使い、一気に狼との距離を縮める。 次の瞬間、鞘走りでスピードを高めた剣が走る。 スザァン!! どさっつ・・・ 首を切りおとされた狼男の体が地へと崩れ落ちる。 朝日出「ぐっ・・・・」 うめき声をあげる朝日出に駆け寄る吉田。 朝日出の腕からは、おびだだしい量の血が流れ落ちている。 吉田「大丈夫か?」 朝日出「ああ、ありがとな・・・・・・今のではっきりわかった。 この森・・・第6感が全く働かない。 」 吉田「そうか・・・さっきから感じていた変な感じはそれか・・・」 ふと朝日出が倒れている狼男へ眼を落す。 朝日出「それにしても何なんだ?こいつは・・・」 吉田「人間と狼のあいのこか?」 顔は狼、体は人間・・・にしてはやけに毛深いが・・・ 吉田「あ、でも確かそろそろ出口のはずだし・・・変種の魔物とでも思えば気にすることなくない?」 朝日出「それもそ」 ???「チャチャチャチャチャ」 朝日出が言葉を終える前に頭上から声が響いてきた。 ・・・笑声・・・なのだろうか? 吉田と朝日出が頭上を見上げると、鬱蒼と茂った木の枝の合間に一匹のサルがいた。 吉田「なんなんだあいつは!??」 朝日出「さあな・・・だが・・・目がやばい」 ???「チャチャチャ・・・」 シュッシュ!! その生物・・・猿は木から木へと飛び移りながら吉田と朝日出へと向かってきた。 ガゥン!ガゥン!ガゥンッガゥン!! 朝日出の銃が火を噴くが、その銃弾はことごとく外れてしまう。 猿のスピードは目で追うのが精一杯なほどの早さだった。 朝日出「くっそう!!早すぎる!!とらえきれねえ!!!」 吉田「俺が動きを止める!そのすきに!!」 朝日出「わかった!」 シュッシュッ!! 吉田も猿に負けじと木の間を縫って猿に迫ってゆく。 猿「チャーー」 ボボボボボボボボボボボボ!! 吉田が、猿を射程距離に収めたその瞬間猿のスネ毛うちの数十本が信じられないほどの速度で伸び、吉田を襲う。 吉田「くっそ!!空波斬!!」 シュゴオオオオオ!! 吉田が振った剣の先から発せられた衝撃波がスネ毛のうちの何本かと衝突し、相殺する。 しかし、何本かのスネ毛は、依然として吉田のほうへ迫ってくる。 吉田「しまった!!打ち漏らしたか!!くっ・・・」 吉田が死を覚悟した次の瞬間。 ガゥン!ガゥン!ガガゥゥン!! 朝日出が放った銃弾がスネ毛の先端を正確に撃ち落とす。 朝日出「吉田!油断大敵だぞ!!」 吉田「!!ああ!!すまねえ!恩にきる!」 シュタッツ! 勢いが落ちていったん地面まで降りてきた吉田だったが、地面に足がついた瞬間、人間とは思えない脚力で飛びあがった。 猿「チャーーーー!!」 猿は再びスネ毛を使おうとする、が、猿が狙いを定めようとした次の瞬間には吉田はもうそこにはいなかった。 飛び上がった先にあった木の枝蹴り、その反動をを利用して、猿の背後に回り込んでいたのだ。 吉田「余裕!!空波斬!!!」 シュゴオオオオオオオオオ!! 衝撃波が猿を襲う。 猿「チャ、チャーーーー!!」 次の一瞬猿はその変則的な動きができなくなっていた。 吹き飛ばされるような単純な動きならば、朝日出にとってそれを打ち抜くなどという芸当は目をつぶってでもできるレベルのものだった。 ガゥン!! 猿「チャーーー!!!!!!!!!!!」 朝日出の放った銃弾は猿の脇腹を貫いた。 ドゴオオオオオオオオオン!! 先の衝撃波の勢いが全くおとえず、地面に激突する猿。 さらにその上から吉田が次の攻撃を放とうとしていた! 吉田「とどめだ!!エリアル・レイド!」 背後の気を利用して、速度を上げた吉田の蹴りがうつぶせに地面にめり込んでいる猿の背中に直撃する。 猿はもう既に動かなくなっていた。 吉田「・・・三割さ・・・」 朝日出「・・・三割ってお前・・・馬鹿か?」 うつむき加減になりながら三割とつぶやいた吉田に朝日出が突っ込みを入れる。 吉田「まあ、いいだろう?もう出口はすぐそこだ。 参謀「団長!さあ、出撃の準備を。 」 ???「出撃?俺はそんな手荒なまねはしたくないんだよね・・・」 男は嘲笑気味に答える。 参謀「何を言っていらしゃるのだ?皇帝陛下からのご命令を忘れたのですか?」 ???「ああ・・・あれ、確か『フレンスブルグ』を帝国の圏内に取り入れよだったかな?」 参謀「なら!!」 参謀は顔を赤くしながら講義する。 ???「皇帝陛下も力ずくでなんて言ってないだろう?」 参謀「・・・いいでしょう。 対話したいと 申されるのですね?」 ???「そうだ。 」 参謀「ええい!!団長だからと言って我慢していたが!!貴様!とんだ腑抜け野郎だ!!これ以上貴様にはついて行けん!!こんな時に臆病風に吹かれおって!!」 参謀は剣を抜き、男へと近ずく。 ???「・・・なにもせずに武力で打って出ようとするのと、話し合いと歩み寄りの道を求めようとするのはどっちが臆病かな?」 参謀「詭弁を!!!!」 参謀は剣を振りかぶる。 しかし、その腕が振り下ろされることはなかった。 男が発した一言で参謀は動きを止めた。 ???「そういえば、そろそろ本国から監察が来る予定だけど・・・君、反逆罪で打ち首になりたい?」 参謀の顔からみるみる血の気が引いてゆく。 そして剣を鞘におさめた。 ???「そうそう、しばらくここで待っててくれよ?」 男はそういうと、隊員の中から数名を選びフレンスブルグの門へと向かった。 門番「誰だ貴様!!こんな時間に何の用・・・」 門番はマントを着た男の後ろにいる黒い甲冑を身につけた兵士を見て言葉を止める。 ???「あぁ・・・誤解しないで、ここを攻め滅ぼそうってわけじゃないから。 」 男は固まっている門番に笑顔で話しかける。 ???「交渉がしたいんだ。 ここの長を呼んでくれるかな?」 門番「あくまで使者というわけですか・・・仕方がありませんね・・・」 戦時中の最低限のルールとして使者は受け入れると同時にその安全は保障するというものがある。 それの後ろ盾に守られ、男は学術都市フレンスブルグの中央にあるフレンスブルグ学院へと向かう。 この街は特殊な構造をしていて、ここの長はフレンスブルグ学院の学園長である。 男は学院の各院長室へ招かれた。 ???「新蔵学院長、お目にかかれ、光栄です。 私はディパン帝国、十二騎士団第12師団団長の堀越と申します。 」 新蔵「形式的なあいさつは抜きにしてもらおうか?本題は何だ?ここの支配か?まあとにかくディパン帝国の今までのやり方とは少し手がうようだな・・・」 堀越「はい、こちらの意見を率直に申し上げます。 ここを我々の支配下に置きたい。 ここは海に面しており、海上の防衛の拠点に適していると、我等が皇帝皇帝陛下は、お考えです。 その代償・・・と言ってはなんですが、こちらを明け渡していただけた場合は研究費用として8000万Gほどを・・・」 新蔵「拒否いたします。 」 堀越が最後まで言い終わらないうちに新蔵は話を切った。 堀越「では、交渉は決裂・・・ですね?」 新蔵「ああ・・・」 堀越「あくまでディパンの命に背く・・・か・・・いいだろう、ここの安全は保証しいな・・・」 堀越は窓に歩み寄ると手榴弾のようなものを外にほおり投げる。 ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!! 新蔵「貴様!今のはまさか!?」 堀越「ああ・・・開戦の合図だ。 」 フレンスブルグ郊外 参謀「開戦の合図だ!!」 兵士「おおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」 数時間後・・・ 新蔵は堀越により捕えられたフレンスブルグの士気は低く、ほどなく勝敗は決まり、市民は広場へと集められた。 ディパン監察官「堀越よ、ディパン帝国に逆らった民たちだ・・・女子供かかわらず処刑せよ。 ほかの村、町に対する見せしめだ。 」 堀越「・・・はっ。 」 ディパン監察官「では、私はここのほかも回らねばならぬので失礼。 」 監察官はそういうと、馬に乗り東の方角へと消えていった。 それを確認した堀越は、 堀越「・・・市民を全員避難させろ・・・」 参謀「!?貴様やはり・・・皆の者!このような奴の言うことを聞くことはないぞ!!!」 参謀が食って掛かるが、兵士たちは参謀を無視し、市民たちの縄をほどき始めた。 どうやら、誰も無抵抗の市民を望んで殺したい者はいないようだ。 堀越の意外な行動に驚いた村人は呆然としていた。 堀越「・・・皆の者。 フレンスブルグは、皇帝陛下の命によってディパン帝国の領地になる・・・。 もし逆らえば私も今度は本当に処刑するだろう。 」 堀越は演説をするかのように市民に呼びかけた。 堀越「安息の地は用意してある・・・。 帝国が作り上げた移民土地ライゼンバッハに皆の者には移り住んでもらう。 決しって悪い待遇ではないはずだ。 」 先ほどの堀越の行動を加えて堀越の提案には賛同するものもいた。 新蔵「・・・ここ以上の生活を与えてくれるのなら私も山道しよう。 」 新蔵はの質問に堀越は答える。 堀越「・・・約束しよう。 」 兵士「さぁ、団長様からの直々の誘いだ!ライゼンバッハに住みたい奴はついてこい!」 そして少しの時間がたてば市民たちは兵士たちの前に並んでいた。 堀越の策略どおり、移住を望むすべての市民たちが移住を望んだ。 いや、ここで逆らえば処刑される。 しかも待遇は良い。 言うがままにするのが誰にとっても良いと判断したのだろう。 堀越「ではお前達はライゼンバッハまで案内をしてやってくれ。 帝国までは長い。 道中はくれぐれも安全に。 」 兵士「ハッ。 」 兵士たちはは何百人もの市民を導き、帝国への道を歩んで言った。 まさにこの様は大名行列のようであった。 そしてフレンスブルグがもぬけの殻になり、残ったのは2、3人の兵士と参謀と堀越だけだった。 参謀「くっ・・・うまくいったからいいものを・・・。 」 堀越「確かに全面戦争を仕掛けたほうがてっとりばやかった。 」 堀越「それに最近の皇帝陛下はなぜか皆殺しより、ライゼンバッハへの移住を望んでいるようだ。 何故だと思う?」 参謀「さぁ・・・。 私たちは皇帝陛下に命じられたとおり行動していればそれでよいのでは・・・。 」 堀越「それもそうだな・・・。 」 話し合っている二人に黒い服を着た男が近寄っていることに堀越は気づいた。 堀越「あなたは・・・十二騎士団04騎士隊長、萩野谷」 萩野谷「新人の十二騎士団12師団団長さんか・・・。 」 堀越「ここで会うとは奇遇ですね。 」 十二騎士団の隊長同士が作戦意外で帝国の外で会うということはまずないことであった。 それもこれも萩野谷にはすでに部下の兵士は一人も着いていなかったからである。 堀越「やられた・・・ようですね。 部下も全滅ですか。 」 萩野谷「勘違いするな・・・。 任務完全に遂行した。 ただ単に私の左目と部下十数人が犠牲になっただけだ。 」 萩野谷の左目は応急処置をした程度で傷跡はむき出しであった。 堀越「もう目はだめですね・・・。 」 萩野谷「ああ。 止血はしたが、もう見えていない。 眼帯がほしいところだ。 」 堀越「あなたの任務はたしか・・・」 萩野谷「辺境の村の村人の殲滅だ。 お前も似たような任務だろう?」 堀越「私の任務は領地の獲得です・・・。 人殺しとは訳が違いますよ・・・。 それにしても・・・一体誰があなたと兵士を?」 萩野谷「知らないな・・・。 相手はただの剣士だった。 」 堀越「それにしても・・・さすがですね。 その目の傷跡を見る限り、相手の刃は音速を超えています・・・。 そんな相手を倒すなんて・・・。 」 医学の心得がある堀越は傷跡をみるだけで、敵の実力を知る事ができた。 萩野谷「いや・・・。 この鎧を着ていなかったらやられていたのは私だったかもしれない。 」 萩野谷の軍服は鋼鉄の鎧になっていた。 しかし、その傷跡はそれをも砕いていた。 そしてその跡に気づいた堀越は目を丸くしているだけであった。 堀越「・・・。 その村は一体・・・不思議ですね。 なぜ皇帝陛下はそんな村の殲滅など・・・。 」 萩野谷「さぁな。 それにしてもお前・・・ここの市民はどうした?」 堀越「ああ。 例の移民都市に兵士に連れて行かせました。 」 萩野谷「移民都市・・・十二騎士02魔団団長佐藤と02魔団の兵士、皇帝陛下、そして移民してきた人々しか入ることが許されない例の都市か・・・。 」 堀越「ええ。 なぜ佐藤さんの部隊だけ許可されるのでしょうかね?」 萩野谷「わからんな・・・。 それよりも逆に一般の移民が入れて我々が入れないことのほうがおかしいが・・・。 」 移民都市・・・それは帝国でもなぞめいている地域である。 十二騎士団佐藤の部隊と皇帝陛下、そしてそこに来た移民・・・彼らのみしか移民都市ライゼンバッハの真実は知らない・・・。 果たしてそこは噂に聞く天国のような都市なのか・・・? 萩野谷「さて・・・私は皇帝から受けた任務は全て完了した。 」 堀越「私もですね。 」 参謀と数人の兵士は十二騎士の二人の会話に割り込めなかったが、いるので忘れないで欲しい。 参謀「団長、次の任務はすでに皇帝から受けております。 これは十二騎士団の皆さんに宛てた者ですから、萩野谷様、あなたも当てはまりますね。 」 萩野谷「・・・久しぶりの十二騎士の全員集合か・・・。 おそらく次の戦争にかかわることだろう。 」 堀越「フケガオ王国・・・ですか。 」 萩野谷「ああ。 フケガオ王国を倒せば、この世界全域は帝国 の支配下となる。 」 堀越「では・・・さっそく帝国まで急ぎましょう。 」 ピッー 堀越は午笛を鳴らす。 そして町の外にいた人数分の馬がやってくる。 萩野谷「助かる。 では行くぞ!」 馬に乗った彼らは帝国へと進んで行った。 そしてそこに移民をつれた馬車がやってきた。 02魔団兵士「止まれ・・・。 どの部隊の者だ?」 11騎士団兵士「11騎士団だ。 」 ???「団長はどこだ・・・?」 02魔団兵士「・・・11騎士団隊長様でございますか・・・団長はあちらでございます。 」 違う部隊同士がここで交錯しあう。 今、移民の受け渡しが行われようとしていた。 佐藤「あら、ご苦労様ジェラくん。 ここからはユイがやるわ。 」 ジェラ「ローリンソン、セラウェイ、スマタウン、この3つの村からの移民約、1200名だ。 」 佐藤「大量大量。 じゃあこの先はあなたたちは通行禁止だからじゃあね。 」 ジェラ「ああ。 」 その時、佐藤は何かに気づいたように振り返った。 佐藤「あ、そういえば十二騎士団全員に召集がかかったそうよ。 謁見の間に行ったほうがよろしいんじゃない?」 ジェラ「・・・そうか。 お前も急がなければな・・・。 」 佐藤「ええ。 この移民をライゼンバッハに入れたら私も向かうわ。 」 ジェラは振り返り、兵士達に声をかける。 ジェラ「皆の者、任務は完了した!それぞれは兵舎に戻れ!」 その一声で兵士達はここから近くにある11騎士団の兵舎へ向かっていく。 ジェラは西の方角にある城に馬を走らせる。 佐藤「さて・・・さぁあなたたち、この門をくぐりなさい。 」 ウイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン 奇妙な音とともに、横縦10mほどの大門が開く。 その先には何も見えない。 移民1「な、・・・なぜ先が見えないんですか?」 佐藤「これはね・・・外部からは見えないように私の力が働いているのよ・・・。 さぁ入りなさい・・・。 」 言われるがままに数百人もの人々は門をくぐっていく。 中には暗闇に見える門ゆえか入るのをためらうものもいた。 移民2「あのぉ・・・本当にいいところなんですかね・・・。 移民都市って・・・。 」 佐藤「ええ。 もちろんよ・・・。 この先は差別もなにもない世界・・・。 理想郷よ・・・。 」 そして促された残りの移民たちはついに足を踏み入れた。 ウイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン 門が閉まる。 佐藤「あはははは・・・・。 これで皇帝陛下様もお喜びになる・・・。 闇人形もこれで6万匹を越したわね・・・。 」 佐藤「さぁて・・・私も少し狩ろうかしら・・・?」 ウイイイイイイイイイイイイイイイイイイン 佐藤の姿は少しの闇につつまれ消えた。 これは明らかに小川の空間移動とは別質であった。 そして・・・門の中では・・・ 何かが起こっていた。 しかしそのころ、この先に何が待ち構えているのかも知らず、フレイスブルグの移民たちも帝国への道・・・いや、闇への道を進んでいた・・・。 まるで死んでいるかのように静まり返った町・・・そこには、吉田が父とともに来た頃の活気あふれた街の面影は残っていなかった。 吉田「おかしいな?こないだ父さんと来たときは、もっとにぎやかだと思ったのに・・・」 朝日出「・・・おい、門から出てくるあれは・・・」 吉田「え?」 吉田が門から出ると、そこから三騎の馬が走り去っていった。 吉田の驚異的な視力は、その馬にまたがっている男の姿を完全にとらえていた。 黒い軍服を着た、隻眼の男 あいつだ、吉田の両親を討ったあの男。 こんなところで早くも会えるとは・・・ 吉田の心は喜びと純粋な殺意に支配されていた。 吉田「あのヤロッ!!」 飛び出そうとする吉田、しかし、朝日出がこれを止めに入る。 朝日出「待てっ!!あの男の強さは計り知れない・・・今でてっても返り討ちに合うだけだぞ?」 吉田「だけどっ!!!」 二人の感情は大局的だった。 あくまで冷静に対処する朝日出。 怒りに身を任せ、両親の敵を取ろうとする吉田。 どちらの意見が正しいかは、言うまでもなかった。 朝日出「落ち着くんだ!もし今出て行って、お前が殺されたら、誰がお前の父親と母親の敵を取るっていうんだ!!」 吉田「・・・」 朝日出の説得により、吉田は平常心を取り戻していった。 吉田「・・・わかった・・・犬死にはごめんだ・・・」 朝日出「しかし・・・どうやらあの街も帝国の支配下に置かれたようだな・・・」 そのことを推理する材料は十分すぎるほどあった。 吉田「とりあえずいってみようぜ?幹部みたいな三人はあっちのほうに行っちまったんだ。 そこまで危険っていうわけじゃないだろう・・・」 朝日出「・・・まぁ、情報を手に入れないことには始まらないからな・・・」 数分後・・・ 2人はフレンスブルグの門の位置まで来ていた。 兵士「!!」 一人の兵士が吉田たちの方角を向き、驚いたような表情で見つめる。 兵士「朝日出様!?なぜこのような土地に?」 吉田「朝日出様っておま・・・むぐっつ!!」 このときとっさに吉田の口を押さえた朝日出の判断は正しかった。 もっとも、それは町を出る時に自分が帝国騎士団の幹部だったのではないか?という疑問をかすかながらに抱いていたおかげだったのだが・・・ 兵士「・・・?どうかなさったのですか?」 朝日出「いや・・・何でもない・・・少し特命を受けて、任務の遂行中だっただけだ・・・ああっと・・・あれだ、その特命にこのガキが関与しているんだが・・・詳しいことはな・・・」 朝日出の行動がよくわからないといった表情で、質問してきた兵士を丸めこむ。 一種の賭けだった、何も分からない朝日出にとっては、いつ自分の記憶喪失がばれないことを願った。 もし、自分の応対におかしなところがあれば、一大事になりかねない。 兵士「そうでしたか・・・それより、上より達せられた命令はご存知ですか?」 朝日出「いや・・・特に新しい指令はないが。 上から何か聞いているか?」 兵士「そうですか・・・どうやら十二騎士団の全隊長に集合の命が下ったそうですが・・・」 心の中で朝日出は勝ち誇っていた。 どうやら賭けはおれの勝ちらしいと・・・ 朝日出「ああ・・・わかったすぐに帝国へ向かう。 ずいぶんと遅れてしまっているようだ。 このあたりの地図をくれないか?近道でもわかるとありがたいのだが・・・」 兵士「あっ・・・はい私が持っているものでよければ・・・」 兵士はそういうと、自分の荷物をあさり始めた。 吉田の口は相変わらずふさがれたままだ。 兵士「あっありました。 これをどうぞ。 」 兵士はそういうと、朝日出に地図を手渡した。 朝日出「ああ、ありがとう。 早速出発することにしよう。 」 兵士「あっ、待ってください!!」 振り返り出発しようとする朝日出を呼び止める兵士、朝日出は不自然に思われたのかもしれないと、冷や汗をかいていた。 しかし、兵士がそのあとに続けた言葉は、その心配が取り越し苦労であったことの証明ともなった。 兵士「馬をお貸ししましょう。 なにしろディパンまではかなり今日があるますから・・・」 朝日出「ああ、すまないな。 」 朝日出は安心しながら礼を言い、馬を受け取ると馬を走らせた。 フレンスブルグから数時間まえに出発した、十二騎士団団長2人と、その参謀がひとりである。 ちなみに、フレンスブルグよりほぼ同時期に出発した、移民たちは、行程の半分ほど馬を走らせた段階で、すでに追い越してきていた。 萩野谷「・・・予定よりも早く着いたな。 」 堀越「ええ・・・門番!!十二騎士団第12師団団長堀越だ!到着した!門を開けてくれ!!萩野谷さんも一緒だ!」 堀越が、城壁に向かって叫ぶ。 この門は、内側からでないと開けられない仕組みになっており、誰が入る時もこのように内側にいる門番に開けてもらわなければならない。 ギギギギギギギギギギギギギギ・・・・ 鈍い音を立てながら門が開く。 萩野谷「よし、宮殿へ向かうぞ!!」 堀越「あ、ちょっと待ってください。 」 萩野谷「なんだ!?」 堀越「ちょっと野暮用がありますんで、先行っててもらってもいいですかね?」 おどけた表情で言う堀越、萩野谷は仕方ないといった表情で返す。 萩野谷「何んだ?仕方ないな・・・まあもう全員そろっているというわけじゃないし、いいだろう。 早めに済ませてこいよ?」 堀越「わかってますよ。 じゃあちょっと行ってきます。 」 堀越はそう言うと帝国の東側へと馬を走らせた。 萩野谷は12師団の参謀を連れて、宮殿へと向かう。 萩野谷が宮殿に到着するころ、十二師団が集結しつつあった。 現在、宮殿十二師団控え室には、萩野谷を含めて五人の団長が集まっていた。 第01騎士団団長、小川。 第03歩兵師団団長、中郷 第04師団団長、萩野谷 第06師団団長、シゲタ 第11師団団長、ジェラ これに加え、現在ライゼンバッハより、佐藤が向かっている。 帝国兵士「もうすぐディパンにつくぞ!」 新蔵「・・・もうすぐディパンか・・・(話がうますぎる気がするのは俺だけか?・・・いやな予感がする・・・)」 期待は裏切られるためにあり、嫌な予感は当たるためにある・・・こんなことを言ったのは誰だったか。 まさに、このときの新蔵の嫌な予感は見事的中することになる。 このとき、誰にも気づかれていなかったが、近くの草むらに二人の影があった。 吉田と目立つ黒い服を着替えた朝日出・・・ どこに着替をもっていたのかという、突っ込みはやめていただきたい。 ・・・おねがいだから。 朝日出「・・・この行列・・・ディパンの捕虜、と考えるのがベストだな。 となると、あの中に混ざれば、うまくディパンに潜り込めるかもな・・・」 吉田「ああ、しかしディパンに乗り込めるのはいいが、これからどうするつもりだ?」 朝日出「何が?」 吉田「だって、お前、あいつらの仲間だったんだろう?」 怪訝な顔つきで質問する吉田、最悪のケース・・・朝日出の記憶喪失が演技の可能性まで吉田は考えていた。 しかし、朝日出は 朝日出「ふっ・・・ああ、そうらしいな、だが・・・今じゃそんなことはどうでもいい。 お前についていくだけだ。 」 この時の朝日出の言葉は半分が嘘だ。 この時の朝日出にとって重要だったのは吉田についてゆく、というよりは、真実を知ることだった。 だがしかし、真実を知るという意味では吉田も同じ目的を持っている。 つまり、吉田についてゆきたい、というのも完全な嘘ではなかった。 吉田「・・・そうか・・・」 朝日出「ああ・・・ちょうどこの横を通り抜けるタイミングで列の中に入るぞ・・・」 吉田「・・・わかった。 」 朝日出「一・・・二の・・・三!今だ!!」 移民団の一団が横を通り過ぎる次の瞬間・・・ 移民団のメンバーが2人増えたことに気づくものはいなかった。 一方、ライゼンバッハ正門前・・・ 堀越は、ここの手前で馬を下り、建物の陰に身を潜めていた。 堀越「(さあて・・・ここまでは、ばれないで接近できた・・・どうやら俺が感じた謎の波動の発信源はここか・・・いや・・・ここのほかにも・・・しかし、どうやってこのなかを探る?)」 ???「何をしているのですか?」 堀越「!!!」 堀越の背後から突然声が掛けられる。 堀越「誰だ!?」 ???「私ですよ・・・」 堀越「お前は02魔団の参謀か・・・脅かすなよ・・・」 その男は佐藤率いる第02魔団参謀だった。 しかし、なぜいきなり暗闇の中から現れたのか・・・ 参謀「・・・第12師団の団長であるあなた様が、なぜこのようなところへ?」 堀越「いやぁ・・・この中に何がどうなっているのか気になってね・・・」 堀越はライゼンバッハの城壁を指さしながら言う。 このとき堀越は、参謀の後ろに回された手が、何かをつかんだということを見逃さなかった。 参謀「・・・そうですか。 この中は差別や上下関係のない、争いも起きない、そんな、理想郷になっております。 」 堀越「じゃあ、何で俺達が入れないんだ?」 この質問に参謀は少し考えるためか、間をおいて答えた。 参謀「それは・・・」 堀越「それは?」 参謀「この街の住民の中には、あなた方を快く思っていない輩がいるからです。 襲われたら、シャレになりませんからね・・・」 堀越「そうか・・・じゃあ陛下に呼ばれてるんでな・・・」 争いのない、そう言った言葉に矛盾していたのだが、堀越はこの時、あえてそのことを見逃した、それはこの後に参謀がとるであろう行動が予測できたからだ。 堀越が振り向いたのを見はからうと、参謀は後ろ手に握りしめていたナイフを、堀越目がけて投げつける。 参謀「ここに疑問を持った時点で、いかに十二師団団長だろうが、消される以外に道はない!!」 ヒュン!! ナイフが風を切り、一直線に堀越に向かって飛ぶ。 しかし、そのナイフが目標を捕らえることはなかった。 堀越は宙を舞い常人には見えないほどの速度で参謀の後ろに回ると、その鋭い鉄爪を参謀ののど元に押し付ける。 切れた皮膚から血が滴っていく・・・ 堀越「さあて・・・教えてもらおうか?あの中が一体どうなっているのかを・・・なにがアルカディア、理想郷だ・・・中から感じる波動が普通じゃないことに気づかれなとでも思ったか?」 参謀は震えながらも体を闇に包もうとする・・・が 次の瞬間、闇が発生しないということに気づく。 参謀「なっ!?バカな・・・」 堀越「無駄だ、貴様のそのおかしな術は封じさせてもらった。 」 参謀「な、なぜ貴様のような者が・・・12師団と言えば強さは最下位のはず・・・なのに・・・」 参謀は目を白黒させる、かなり驚いているようだ。 堀越「そんなことはどうでもいい。 おれの質問に答える気があるのかないのか?」 鉄爪がさらに強く押し付けられる。 参謀「まままま・・・待ってくれ!!答える!答えるから!!」 堀越「くくく・・・よし。 で?あの中はどうなっているんだ?」 参謀「あの中に入ったものは闇にのまれる。 」 堀越「闇?」 驚いたような表情で切り返す堀越、その表情や、口調から察するに、闇という言葉に心当たりがあるようだ。 参謀「ああ、闇だ。 そして、闇使いによって、完全に作り上げられた、優秀な兵士・・・闇人形になる。 」 堀越「闇人形だと?」 参謀「ああ、闇を使え、闇使いの命令には絶対服従の優秀な兵士だ!!もういいだろう!?はなしてくれ!!」 震えながら答える参謀には最初に会った時の、冷静さはみじんも残っていなかった。 もはや、必死の形相に、吹き出る冷や汗、別人のようだ。 堀越「ああ、答えてくれてありがとう・・・じゃあな!!」 ズブシャアン!! 堀越の鉄爪が参謀ののど仏を切り裂いた。 吹き出る鮮血・・・ 参謀「がっ・・・」 どさっつ・・・ 参謀は糸の切れた操り人形のようにその場に倒れこんだ。 堀越「な・・・。 こいつは人間じゃないのか!?こいつすら、やつが言っていた闇人形だというのか!?」 堀越は驚いた。 しかしすぐに冷静さを取り戻して考えた。 堀越「移民は皇帝陛下が推奨していたこと・・・まさか皇帝が闇の根源・・・!?」 堀越「チッ、どうすれば・・・俺一人の力ではどうにもできん・・・。 」 ウイイイイイイイイイイイイイイイン 堀越の後ろに闇に包まれた女性が現れる。 佐藤「あら、ずいぶん困った顔をしてるじゃない?どうしたのかしら?」 堀越にとってこのタイミングで佐藤に会うことは何よりもまずいということがわかっていた。 なぜなら彼女は移民都市を管理している02魔団の団長だからである。 堀越「・・・っ!」 堀越は踵を返し、佐藤のいない方角へ駆ける! しかし佐藤がそれを見逃すはずがなかった。 ウイイイイイイイイイイイイイイン 堀越「グアアアアアアアアアアアアァ!!」 闇。 堀越の右腕が闇に包まれる。 次の瞬間、その右腕は消えていた。 堀越「ハァハァ・・・ぐっ」 佐藤「あら・・・本物の腕を失ったらその程度の反応じゃ済まないはず・・・。 その右腕、義手のようね。 」 堀越は一瞬にして自分の右腕を消した術に驚くこともなく、冷静に言葉を返す。 堀越「ああ・・・。 しかしその義手は高くつくぜ・・・?」 バッ! 堀越は左手で短剣を構えて宙を舞う。 堀越「!?」 堀越は確かに佐藤の後ろを捉えたと思っていたが、そこに彼女の姿はなかった。 ウイイイイイイイイイイイイイイン 堀越の足元、いや、堀越の足元から半径5mほどか、闇の円が出来た。 ウイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッイイイン!!! 堀越はふんばるが、足元からじょじょに闇に飲まれていく。 そして目の前に佐藤が現れる。 佐藤「アハハハハ!哀れね。 もうすぐあなたの体全体は闇に犯される・・・。 一瞬で消してやってもいいけど、消える恐怖を味あわせてあげてるのよ・・・。 堀越「チッ・・・致し方ない・・・。 あれを使うしかないな。 」 堀越の思わせぶりなセリフに佐藤は反応をしめす。 佐藤「何を言ってるの?もう貴方の体の半分は闇の中・・・何もできはしないわ。 」 佐藤の言うとおりで、堀越の胸から下は闇の沼にはまっている。 堀越「・・・これを使うのは何千年ぶりかな・・・。 契約者の名に置いて命ず・・・出でよ。 」 堀越「光の悪魔、セイレーン!!」 その瞬間、堀越の周りに浄化の光が満ちる。 闇の沼は一瞬にして消された。 佐藤「な、何だって言うの!?それは悪魔の力・・・あなたはまさか!」 堀越「ああ。 そのまさかだよ・・・。 力はお互い様のようだな。 」 佐藤は一瞬驚いたが、すぐに微笑んで言い返す。 佐藤「確かに驚いたけど・・・悪魔なんて私の前では無力に等しいわね。 」 堀越「馬鹿な・・・。 ゆけ、セイレーン、浄化の光を!!」 ウイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン 佐藤は強大な闇を放った。 その闇に光の悪魔であるセイレーンですら飲み込まれる。 堀越「ば、馬鹿な!?闇とは一体・・・!?」 佐藤「アハハハハ・・・そんな悪魔なんて時空ごと飲み込む闇の前では無力・・・ほら上を見なさい。 」 ウイィィィィイイイィィィイイイィィィイイイン 奇妙な音とともに、堀越の頭上にはブラックホールのようなものが現れた。 直径は20m以上ある。 堀越「い・・・いつの間に・・・!?瞬時にこのようなものを作り出すとは!!」 佐藤「あなたも・・・闇人形の仲間入りね。 さよなら・・・」 堀越「・・・ここは退くしかないようだな・・・。 フンッ!」 シュゥン!! その瞬間、堀越の体は消えた。 佐藤「・・・テレポーテーション・・・にげられたわ・・・。 まぁ、悪魔の力を使えし者がテレポーテーションを使えないわけがないか・・・。 」 佐藤「まぁ・・・いいわ・・・あいつには闇の粒子を埋め込んだ・・・。 一度でも闇に触れた者は闇に支配されるという運命から逃れられない。 そのときからどうあがこうが・・・直に闇人形となる・・・アハハハハハ」 そう。 堀越の体にはすでに闇がうごめいていた。 闇とは何か・・・強力なウイルスのようなものか・・・? いや、違う。 その謎を知っている者は誰もいない・・・。 佐藤「さぁて、そろそろ十二騎士団の皆さんも集まっているころね・・・。 」 ウイイイイイイイイイイイイイン 佐藤は堀越と同じようにテレポーテーションをした。 言うまでもなく、それは闇の力によるものだった。 その頃・・・帝国の郊外・・・ 堀越「悪魔の力でここに逃げ込めたが・・・チッ、俺ももう帝国では生きていけんな・・・。 おそらく佐藤はこのことをすぐに皇帝に伝えるだろう。 そして皇帝が十二騎士団に俺の抹殺を命令する・・・。 (どうする?闇について少し調べてみるか・・・)」 シュウゥゥゥ・・・ 堀越の足元に魔方陣のようなものが描かれてゆく。 シュバァァァン! あたりが眩い光に包まれた次の瞬間、すでにそこに堀越の姿はなかった。 場所が変わり、帝国謁見の間。 ここに十二騎士団が集まっていた。 第01騎士団団長、小川。 第02魔団団長、佐藤 第03歩兵師団団長、中郷 第04師団団長、萩野谷 第05師団団長、嶋田 第06師団団長、シゲタ 第07剣客団団長、ミスター 第09師団団長、福田 第10師団団長平河 第11師団団長、ジェラ 本当は朝日出と堀越もいるはずだったのだが、どちらも闇・・・それにかかわり、帝国にはいられなくなったのだ。 帝国・・・闇・・・ ここにいる十二騎士団の中でも、帝国の陰謀を知っているのはわずかである。 皇帝「皆の者、よく集まってくれた。 」 皇帝がおもむろに口を開く。 しかし、朝日出と堀越の裏切り行為を知らされていない佐藤を除く各団長たちは、不思議な顔をする。 萩野谷「皇帝陛下、失礼ですがまだ、堀越と朝日出が到着していないようですが・・・」 その疑問を一番はじめに口に出したのは、萩野谷だった。 皇帝「そのことについてだが、皆に残念なことを知らせをしなければならない・・・朝日出と堀越は、我を・・・ディパン帝国を裏切ったのだ。 」 萩野谷「!?」 佐藤を除く皆が、一同に驚いたような顔をする。 萩野谷に至っては信じられないといった表情で、口があっぱなしだ・・・あいた口がふさがらない、本当にそんな感じであった。 それもそのはず、萩野谷はこの国の城門まで堀越とともに来たのだから。 皇帝「・・・信じられない気持はわかる・・・しかし、これは事実なのだ。 」 皇帝はそう言うと、話を本題に進める。 皇帝「本日、皆にここへと集まってもらったのは、ほかでもないとうとう、我がディパン帝国はフケガオ王国率いるFU諸国との本格的な戦争を開始する!!」 皇帝は、おもむろに立ち上がると、そう言い放った。 数分後・・・ 王の執務室。 そこに、二人の姿があった。 第02魔団団長佐藤と皇帝だ。 皇帝「しかし、先に合あった報告・・・大丈夫なのか?」 佐藤「ええ・・・彼には闇の粒子を埋め込んでおいたわ。 」 皇帝の問いに対し、佐藤は微笑しながら返す。 佐藤「今は、体力が少し落ちる程度だけど・・・そのうちいいやみ人形になるわ・・・」 皇帝「ああ・・・」 一方、ここは異世界・・・ と言っても、同じ時空線上をたどる世界だが・・・ そこの、スペルネンテス遺跡 そこにいるのは先ほどディパン帝国郊外から消失した、赤いマントを羽織った男・・・ 堀越「えっと・・・ああ、この一文か・・・あったぞ・・・・・・・えーっと・・・この文章は・・・・ああっ・・・・くそっ!!なんたってこんなに解読が難しいかな!?わざわざ暗号化することないだろう?」 堀越は、壁面に描かれた碑文を指でなぞりながら読んでいく。 書かれている文字は、コモンと呼ばれるもので、この異世界の共通語なのだが、高度な暗号化が施されており、読むのに手間取っているようだ。 数時間後・・・ 堀越「とりあえずはこんなもんか・・・」 壁に描かれていたのは、この世界の創造神話だった。 堀越が羊皮紙に解読した文章には、その創造神話に関する闇の記述が抜粋されていた。 下に書いてあるものがそれだ。 闇使いは人の心の闇に り込み、その闇 操る とさえ ると れる。 また、体 闇を植え付けられ ものは、その体を 取 られ ネルギー化さ のちに、従順なや 闇に 対処法は、老 や 術 どがある。 また、闇を消失 せ は、 の秘宝である。 を いて 所々かけているのは、碑文が記されたのがかなり昔であり、石板の風化が進んでいたために読めなくなっているためだ。 後ろになるほど風化は進み肝心なところは見えていない。 堀越「・・・老・・・・やはりこれは老術のことか?しかし・・・現代までその使い手が残っているのか?うっ・・・そういえば、俺は・・・ん?くっ・・・佐藤と対峙した時の記憶が不鮮明になってきている?いったい・・・」 頭を抱える堀越、この時佐藤が埋め込んだ闇の粒子が、佐藤と対峙した時の記憶を脳内から消し去っていたのだ。 しかし、吉田は朝日出に一蹴されることになる。 朝日出「いや・・・俺は山の中で記憶を失い、ボロボロになっていた・・・そこから察すると、俺はおそらく、作戦に失敗したのだろう。 そうだとすると、俺はどういう扱いを受けるかわからない・・・なら見つからないほうがいいだろう?」 吉田「あ・・・ああ、それもそうか・・・」 妙に納得する吉田。 朝日出「それよりもタイミングを見計らって、この列から脱出しないとな・・・」 吉田「ああ・・・」 移民団は、門のところに差し掛る。 門守が何人かいたが、どうやら誰も朝日出に気づく様子はないようだ。 朝日出「目の前に見えるあれが城か・・・(さて・・・これからどうするか・・・ここまで来たはいいが・・・ちっ・・・ここまで来れば俺の記憶を取り戻す何かがあると思ったが・・・)」 吉田「・・・(黒服のあいつ・・・待ってろよ・・・必ず敵を打ってやる!)」 2人は門をくぐったところから見える、巨大な城を見上げていた。 その胸の内にここの思いを浮かべて・・・ 移民団は王国の内部に作られた巨大都市、ライゼンバッハへとついた。 ここまでは順調だったが、ここでトラブルが発生する。 移民団が一列に並ばされたのだ。 当然、ライゼンバッハに入るためなのだが、このせいで、移民団の管理をしている、第02魔団の兵士に発見されてしまう。 兵士「あれは・・・裏切り者の朝日出だ!!」 朝日出「しまった!見つかった!!吉田!」 吉田「ああ・・・」 この時、状況は完全に朝日出たちに有利だった。 一列になり始めたとはいえ、足での周囲には、まだフレンスブルグの住民が残っている。 兵士隊は朝日出に迂闊に手が出せない状況だったのだ。 このことを利用して、朝日出たちはタイミングを合わせると、一気に行動に出た。 シュッ! 朝日出「はっ!!」 ガゥンガゥンガゥン!!! 朝日出は空中に飛び上がると銃を抜き、空中から地上の兵士たちを狙い撃ちする。 シュッシュッシュッシュッ!! 吉田「奥義!ラウンドリックセイバー!!」 ズバシャァァァン!! 吉田は、人ごみの間を木の間を縫うごとく、駆け抜け、朝日出が狙い打ったのと反対側の兵士の間を脱兎のごとく走り抜ける。 もはや、この戦いは、常人のレベルを超えていた。 おそらく、普通の人が見ても、閃光が走ったようにしか見えなかっただろう。 朝日出「ふう・・・あらかたかたずいたな・・・」 朝日出は吉田を振り向きながら言った。 吉田「ああ、思ったより楽生だったぜ・・・まあ三割ってところかな・・・」 朝日出「またそれか?」 吉田「まあな・・・」 朝日出はやはりややあきれ顔だった。 その時、背後から声が聞こえた。 ???「ふふふ・・・これはおかしな客ね・・・あなたは小川くんによって、消されちゃったはずなのに・・・」 二人が振り返るとそこには第02魔団団長、佐藤がいた。 佐藤は自分の部下が殺されたというのに、相変わらず笑みを浮かべている。 朝日出「貴様は?」 佐藤「ふうん・・・・見たところ演技じゃあなさそうね。 記憶喪失ってわけ・・・」 吉田「こっちの質問に答えろよ!!!」 うすら笑いを浮かべたままの佐藤に対し、吉田が怒鳴る。 佐藤「・・・いいわ、私は帝国十二騎士団第02魔団団長、佐藤よ。 まあ今から消える人に自己紹介しても無駄なんだけどね・・・」 佐藤は嘲笑しながら答える。 吉田「なんだと?貴様!こいつらみたいになりてえか!?」 吉田があたりを顎で指しながら言う。 佐藤「ああ・・・その子達ね・・・この子達みたいって?」 次の瞬間ウイイイイイイイイイイインという音と共に、倒れていた兵士たちが、闇と化し始めた。 朝日出「うぐ・・・うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」 それを見ると同時に、頭を押さえてうずくまる朝日出。 どうやら、闇を見て、記憶を取り戻しかけているようだ。 それを見た吉田が吠える。 吉田「貴様!!いったい何をした!!?」 佐藤「・・・別に何もしてないのだけれど・・・まあいいわ、消えてもらおうかしら。 」 フッ。 佐藤が腕を前に突き出す。 すると、 ウイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン! 佐藤の腕よりはなたれた闇が、朝日出と吉田を襲う。 朝日出は頭を抱えたままだ。 闇が目前へと迫る。 吉田「(だめだっ!飲み込まれる!!)」 ???「セレナーデもう一度だ・・・力を貸してくれ。 」 謎の声に、吉田が前を見るとそこには赤いマントの男と、小さな精霊のようなものが浮かんでいた。 カッ!! あたりに城下の光が満ちる。 佐藤「なっ!?貴様は!?」 佐藤は驚きの表情を浮かべる。 堀越「・・・ふっ・・・」 吉田「お前は・・・誰だ?」 堀越「さあな・・・失業したから、盗賊稼業に逆戻り・・・かな?」 ウイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン 佐藤は上空に再び巨大なブラックホールを造ると、言い放った。 佐藤「さっきのがした獲物が・・・ちょうどいいわ・・・まとめて消し去ってあげる!!」 堀越「あの程度だと思うなよ!」 佐藤「ふふふ・・・あなたに何ができるっていうの?」 張ったりだと思い、佐藤はブラックホールのような攻撃を一瞬止めてしまう。 これが大きなミスだった。 堀越『汝、その諷意なる封印の中で安息を得るだろう、永遠に儚く・・・セレスティアルスター!!!!』 堀越は驚くべきほどの速度で呪文の詠唱を終える。 老術のような魔法というよりは、使い魔の・・・すなわち、召喚した悪魔の力を上昇させているようだ。 カッ!!! あたりを聖なる光が満たし、光のつぶてが佐藤に向かい、降り注ぐ。 佐藤「くっ・・・なんてこと!?」 ウイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン!!! 佐藤は闇の防壁で、自分の周囲を包む。 シュバァァァァァァァァァン! シュバァァァァァァァァァン! シュバァァァァァァァァァン! シュバァァァァァァァァァン! シュバァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!! その攻撃がやみ、佐藤が、防壁を解いたとき、すでに三人の姿はなかった。 どうやら、テレポーテーションで脱出したようだ。 」 ウイイイイイイイイイイン 佐藤は闇の空間を作り出す。 そしてそこに向かって話し出した。 佐藤「皇帝様・・・朝日出が生きていた模様です・・・。 」 その闇の空間は皇帝の耳元につながっているようだ。 皇帝「・・・小川の失態か・・・それについてはのちに小川と話をつける・・・。 それより貴様・・・」 皇帝「二度も新人の第12師団団長の堀越を殺り逃したようだな・・・。 」 佐藤「し、しかしあいつには闇の粒子を埋め込んでいます。 闇に関する記憶はすでに失われているはず!」 皇帝「・・・そのことを言っているんじゃない・・・。 お前の力量にがっかりしたと言っているんだ。 」 佐藤「ぐっ・・・。 」 皇帝「お前の闇の質は凄まじい・・・。 しかしお前の闇絶対的な質量数に欠けている・・・。 」 佐藤「ど、どうすれば・・・?」 佐藤は自分の力量に自信があったが、皇帝に指摘されとまどっている様子であった。 そして皇帝は答えを示した。 皇帝「私の闇の粒子をくれてやる・・・。 欲しくば謁見の間まで来い・・・。 」 佐藤「本当ですか!?いますぐに・・・。 」 ウイイイイイイイイイイイイン 佐藤は自分をやみにつつみ、謁見の間へと移動した。 皇帝「ククク・・・そんなに私の粒子が欲しいか・・・?」 佐藤「ええ・・・しかし皇帝様の力はまだ再生が不十分だと・・・。 」 皇帝「問題は無い・・・もう再生は最終段階にきている・・・。 」 佐藤「そ、そうですか!では私に力を・・・」 ウイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン!! その瞬間、皇帝の手から発せられた闇が佐藤の脳内へと入っていく。 佐藤「ぐ・・・これが・・・本当の闇の力・・・!!」 ウイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン!! ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン 皇帝「クククク・・・これで今の貴様の力はディパンでも1、2を争うだろう・・・。 」 佐藤「あり難き幸せ・・・。 では・・・次の任務を!」 皇帝「フケガオ王国との戦争までお前の力は借りん。 ・・・そうだな外で扉を警護している小川を呼んできてくれ。 」 佐藤「ハッ、かしこまりました。 」 バタン、 帝国「ククク・・・佐藤よ・・・他人の闇の粒子を埋め込まれるということがどういうことか・・・お前も理解しているな・・・?ククク・・・」 佐藤は謁見の間から出て、外で警備にあたっている小川に話しかける。 佐藤「小川くん、皇帝が呼んでいたわよ。 すぐに行ったほうがよろしいんじゃなくて?」 小川「・・・!佐藤か・・・。 わかった。 佐藤の力・・・今までと違う!!何があったんだ・・・?それにさっき謁見の間から感じた奇妙な気・・・朝日出のときと同じ・・・。 」 小川「・・・では行って来る。 それまで変わりに警備についてくれないか?」 佐藤「わかったわ。 」 バタン そして小川は謁見の間へと入る。 皇帝「・・・待っていたぞ。 」 小川「ハッ、どのようなご用件で・・・?」 皇帝「・・・朝日出をしとめ損ねたようだな・・・。 」 小川「!?」 皇帝「朝日出の目撃情報が、各地の兵士、佐藤から来ている・・・。 そしてその朝日出により、帝国の第2魔団の兵士が犠牲になった。 これはお前の責任ではないのか?」 小川「・・・ まさか・・・記憶を失ってまで帝国に関わり続けるのか・・・朝日出よ・・・。 」 皇帝「そこで・・・十二騎士団・・・いや、帝国全体に反逆者、朝日出と堀越の抹殺命令をかける!」 小川「!!」 皇帝「私としてはお前の手で朝日出の首を持ってくるのが一番うれしいがな・・・。 」 そして小川の伝達により、帝国全域に、朝日出と堀越の抹殺命令が下った。 二人には大量の賞金がかけられ、首を手に入れた者には、フケガオ王国との戦争で重要な役割に抜擢してくれると約束された。 この報酬により、二人は十二騎士団、帝国兵士だけではなく、一般市民の敵になってしまった。 十二騎士団がここで次の作戦について話し合っているところであった。 ジェラ「まさか・・・朝日出がな・・・。 」 平河「ああ。 堀越は新人という点もあって、まだわからなかったが・・・」 中郷「彼は十二騎士団でも皇帝に忠実な騎士として名が高かったわ。 」 萩野谷「・・・ 俺にとってはどちらも不自然だ。 俺は堀越と少し前まで行動していたからな・・・。 しかしそれをここで言い出しても不審な目で見られるだけ、か・・・。 」 十二騎士団の核と思われるグループが話している。 そして他の団長も話に参加する。 ミスター「ぼくはそんなことどうでもいいけどさ・・・問題は、誰がどいつの首をとるかってことだよね。 萩野谷さんも僕と話が合いそうじゃない?一緒に狩らない?」 萩野谷「残念ながら私は以前の仲間を好き好んで殺すほど鬼畜でもないのでな。 しかし理由あらばいかなる者も切り捨てるが・・・・。 」 ミスター「そうですかぁ。 」 萩野谷以上に好戦的であるミスターはちゃちを入れる。 福田「しかし、小川、シゲタ、佐藤、島田はどうしたんだ?」 中郷「小川は皇帝と次の戦争について話し合っているらしいわね。 シゲタと佐藤の二人は話し合いに来ることのほうが珍しいわ。 」 島田「・・・ちなみに俺はずっとここにいるぞ・・・。 」 島田は会議室の物陰に潜んでいた。 彼は忍術の達人でいかなる時にも隙を見せないことがモットーである。 ジェラ「・・・さすが忍者だな。 」 福田「うわ・・・気づいていなかったよ・・・。 」 比較的新人である福田は気配を感じ取れなかったようだが、ベテランはもちろん気づいていたようだ。 ミスター「んで・・・早く話しを決めたいんだけど、誰が誰を狩る?僕は一応、少なくとも一人は狩りたいけど。 」 中郷「あなた意外の人はあまり乗り気じゃないみたいよ。 あなたが誰かもう一人選べば?」 ミスター「ああ、そうするよ。 じゃあ福田。 お前が俺と一緒に来いよ。 」 福田「え、俺かよ・・・。 」 福田はいかにもひ弱な感じでやる気はまったくない。 ・・・十二騎士団に選ばれたからには何か力があるのは確かだが・・・。 福田「ま、いいか・・・しかし敵は朝日出だぞ?二人で大丈夫なのか?」 ミスター「僕がいるからね・・・。 堀越のほうはよくしらないけど、たいした実力はないでしょ。 」 平河「では決定だな。 皇帝には俺たちが伝えてくる。 ・・・健等を祈る。 」 そして十二騎士団で朝日出と堀越の討伐をする者が決定した。 この者たちにとって、幸運だったのは、まだ指名手配の件がこの街まで達していなかったことである。 堀越「はあ・・・はあ・・・・」 吉田「おい、大丈夫か?力を使いすぎじゃないか?」 堀越「ああ・・・しかし、いつもはこのくらいじゃ、息は切れないんだが・・・」 吉田「そうむりすんなよ・・・」 朝日出「・・・」 ちなみに朝日出は、ディパンから脱出してから、一言もしゃべらない。 吉田も何度か話しかけたが、すべてスルーされてしまう。 吉田「で?これからどうするんだ?」 堀越「・・・俺は、テレーポートをもうできない、少なくとも、体力が回復するまでは・・・な、だから、地上をつたっていくしかないんだが・・・恐らく、帝国の網に引っ掛かるだろう・・・」 吉田「じゃあどうするんだよ?」 堀越「まあそうあわてるな・・・そのためにここに来た。 モンスターが出現するようになったと、廃坑にされた坑道だったのだが、それらしい影は見当たらない。 吉田「そういえば、堀越お前なんで王国を裏切ったんだ?」 当然の疑問だった。 吉田が目の当たりにした力があれば、王国での地位もそれなりに固かったはず。 本当に裏切ったのか?という疑問が少なからず残っても全く不思議な状況ではなかった。 その疑問に対し、堀越が答える。 堀越「まぁ、帝国が裏でこそこそとなんかやってるから、何やってんのか調べようと、十二騎士団の・・・」 ここまで話したとき吉田が突っ込んできた。 吉田「ちょっと待て・・・十二騎士団って何だ?」 堀越「ああ・・・簡単言うと、皇帝直属の部隊のことだな、エリートさ・・・こいつも、」 と堀越は朝日出を指さしながら言う。 堀越「十二騎士団の一人で、第08部隊の部隊長だ。 」 軽く答えた堀越に対し朝日出は詰め寄る。 朝日出「どういうことだ?俺は、やはりあいつらの仲間だったってことだよな?」 堀越「ああ・・・」 詰め寄る朝日出に動揺もせずに答える。 朝日出は、帝国を脱出する際、闇の発現を目の当たりにし、記憶を取り戻しかけたのだが、結局はその記憶は、戻らなかった。 朝日出「じゃあ、一つ聞かせてくれ・・・」 少し間が入り、落ち着きを取り戻した朝日出は、おもむろに言葉を続ける。 朝日出「・・・俺が、なぜ帝国を裏切ったのか知っているか?」 堀越「いや・・・全く聞いていない」 堀越の言葉にがっくりと肩を落とす朝日出。 朝日出は、記憶をなくす前の自分がいったいどのような人物だったのかが、気にかかるらしい。 その朝日出の様子を見て、言葉を続ける堀越。 堀越「・・・あえて推測するなら・・・俺と似たような理由かもな。 俺は、さっきも言った通り、王国の裏に何かを感じ、それを探るため、第02魔団・・・要するに裏とつながりがありそうな部隊の、参謀に接触した。 」 これまでの経緯を語り始める堀越。 朝日出「それで?その裏っていうのは、わかったのか?」 堀越「いや・・・どうもその参謀に遭遇する前後の記憶がはっきりしないんだが・・・その参謀を脅してる最中に02魔団の団長に邪魔されて失敗した・・・」 それは真実とは違うのだが、朝日出と違い一部の記憶だけを抜かれた堀越は、記憶がない前後の事象とを無意識のうちにつなぎ合わせているらしい。 吉田「・・・帝国・・・か。 」 吉田のこの一言には、わずかにある疑問が込められていた。 その疑問は、初めのうちは全く感じなかったが、堀越のいう帝国の裏・・・そうれを聞くと浮かび上がってくるものだった。 『なぜユーグリフ村を帝国がおそったか?』それに、どんな意味があるのか・・・残念ながら、その答えは吉田の足りない脳で考えてわかるものではなかった。 吉田「堀越・・・あとどのくらいなんだ?」 堀越「このまま行けば30分ほどだが・・・。 」 その時、朝日出が指を指して言った。 朝日出「・・・!落石で先がふさがれているぞ・・・!!」 朝日出の言った通り、3人が向かおうとしていた道は通れなくなっていた。 堀越「厄介なことになったな・・・。 」 吉田「おい。 この坑道の出口は一つだけなのか?」 堀越「いや、そんなことはない。 この先が1番な近道なだけだ。 」 この坑道はフケガオ王国に3つの出口で繋がっている。 落石で通れない道以外、いずれもフケガオ王国の中心部から外れ、かなりの郊外の地へと繋がっていた。 堀越「この先に行けば・・・出られなくは無いな。 」 堀越は左の方角を指した。 そこに道は続いているが、きわめて細く、暗闇に満ちていた。 朝日出「この道がこおれない以上・・・そこへ行くしかないようだな。 」 吉田「まぁ、俺は全然疲れてないからどこへ行ってもいいぜ。 」 そして一同は賛成し、その先へ進むことになった。 彼らは数十分歩いた後、奇妙なものを見ることになる。 朝日出「な・・・何だこれは・・・?」 朝日出の目の先には冒険者のような身なりの人間の変死体がある。 堀越「内臓を食い破られているな・・・。 注意したほうがいい。 この辺りに肉食のモンスターがいるはずだ。 」 吉田「マジかよ。 まぁ、俺はなまっているし、出てきてもいいけど。 」 しばらく進むと、大広間に出た。 朝日出「ここだけやけに広い・・・。 」 堀越「・・・しまった・・・。 」 堀越の目の前には巨大な異形がいた。 周りには首から上がない、数多くの冒険者の死体。 堀越「ここが奴の巣のようだ・・・。 」 吉田「こ・・・こいつは・・・猿!?」 実際、その異形のみなりは吉田とたいして変わっていなかった。 違うのは絶対的な毛の量。 手の人間離れしている太い筋肉。 そして手の血が滲んだ長い爪と体長。 体長は5メートルを超えていた。 それがその異形の猿にはあった。 猿「チャアアアアアアアアアアアア!!」 朝日出「・・・!よく見ろ!こいつ、足はヘビのようになっているぞ!」 堀越「ヘビ!?・・・サンドワームの変種か!?」 その猿は元々はでかいヘビのようなものが、上半身だけ、猿化しているように見えた。 猿「チャアアアアアアア!!」 ザシュッツ!! 猿の爪が朝日出の胴体すれすれをかすった。 朝日出が後ろに飛ばずに、まともに受けていたら、真っ二つになっていたところである。 しかし朝日出は自分の意思より前に、体が動いていた。 バギュゥッン!! 朝日出の弾丸が猿の頭部に貫通する。 猿「チャアアアア!!」 効いている。 効いているが、致命傷にはならない。 堀越「こいつ・・・!脳をぶち抜かれても平然にしている!?」 ザシュゥンザシュウン!! 猿は爪を振り回すが、手だれている3人には全く当たらない。 そして猿は思いついたように行動に出た。 シュルルルルルルル 猿の腕の毛が伸び、吉田に巻きつく。 吉田「うわ・・・!なんだ!とれねぇ!」 堀越「まずい!このままでは吉田が切り裂かれる!」 そして堀越は術の様な物を唱え始める。 堀越「サンダーボルト!!」 ダンッ!ダンッ!ダンッ! その攻撃が吉田を突き刺そうとしていた爪を弾いた! 吉田「おおおおい!!!・・・朝日出!あの毛を切る方法はないか!?堀越の短剣だと、奴に近づきすぎて、堀越まで切られる!」 朝日出「俺の銃じゃ毛は切れないだろ!」 堀越「・・・いや、俺はお前の銃はそんなもんじゃないということを知っている。 」 朝日出「!?」 堀越「弾は他にもあるだろ?」 猿「チャアアアアアアアアアアアアアア!!」 吉田「うああああああああ!!」 まさに猿の爪が吉田を貫こうとしたその時! ボオオオオオオオオオオオ 吉田を巻いていた毛は燃え落ち、吉田も地面へ落ちる。 堀越「ほう・・・。 数ある弾丸から火炎弾を選ぶとはな。 昔の記憶が少しあるんじゃないか? 朝日出「・・・たまたまだ。 」 そして標的をはずした爪は、岩にささった。 猿「チャ・・チャ!!」 堀越「よし・・・奴は爪が岩にささったままだ。 」 吉田「俺がとどめをさすぜ!」 シュシュシュ! 吉田はジャンプし、岩にささった爪の上から腕をつたってゆき、猿の肩に登った。 そこから吉田は猿の顔に目掛けて剣を突き刺す! グサッ・・・!! 猿「チャアアア!!」 朝日出「ダメだ!たいして効いていない!」 堀越「・・・チッ、猿相手にあの力を使うか・・・?」 吉田「いや、手助けはいらないぜ!!」 吉田は突き刺さった剣を抜かずに、そのまま体重を加えて剣におろした! グジャアアアアアアアアアアアアアア!! 朝日出「おお!猿の体が真っ二つ!!」 堀越「・・・! 馬鹿な・・・人間の力であそこまで出来るか・・・? 」 猿の体は顔からへそのあたりまで、真っ二つに切られていた。 吉田「ふっ、余裕。 」 猿「チャ・・・チャ・・・チャアアアアアアア!!」 猿はまだ生きていた。 岩から抜けた爪を吉田に目掛けて突き刺す! 朝日出「マズい!剣は猿に刺さったままだ!今の吉田には手をだせない!」 シュ 吉田は飛び上がった。 堀越「嘘だろ!?」 吉田は5メートルほど飛び上がっていた。 そして吉田は猿の顔面の目の前まで飛び、そこで蹴りを食らわす。 吉田「オラアアアアアアッ!!」 ヅグァン!! ゴギッ!! 猿は首の骨が折れたようだ。 猿「チャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」 さすがの猿も首が折れてダメージを受け、その場で倒れた。 吉田「ふ、あわれだな。 」 堀越「 あの蹴り・・・普通の人間に食らわしたら首から上が吹っ飛ぶぞ・・・ 」 朝日出「おい!まだ生きているぞ!」 猿は倒れたままもがき苦しんでいた。 堀越「朝日出、とどめだ。 」 朝日出「・・・これでいいかな。 」 朝日出は1つの弾を取り出し、銃に装填した。 そして猿の頭上にある天井に目掛けて打つ。 バシュッ ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアン 彼が放ったのはグレネード弾だった。 ドンガラガッシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン 爆発で落石が起こり、猿が岩に押しつぶされていく。 吉田「おいおい・・・危ないだろ。 下手したら洞窟全体が崩れるぞ。 」 堀越「まぁ、出口がふさがれなかっただけ良しとしよう。 」 朝日出「・・・。 一件落着だな。 先を急ぐか。 」 堀越「ああ。 あちらに出口が見える。 」 吉田「おい、待て俺が先に行く。 」 シュシュシュ 吉田は物凄いスピードで出口に向かって駆けて行く。 3人はこの後、無事に坑道を抜け出すことができた。 そして3人が表へ出たとき、はじめに見たのはただ真っ白な銀世界だった。 堀越「・・・雪国か・・・。 随分はずれだな・・・。 」 朝日出「しかし、郊外のほうが、敵の目から逃れやすいんじゃ?」 堀越「・・・ああ。 とにかく村を見つけて一先ずそこの宿でこの先のことを話そう。 」 3人は少し先に見える、村のようなところへ向かいだした。 堀越と朝日出は寒そうにしてるが、なぜか1番軽装な吉田は寒さを感じていないようであった。 それを見て不審に思った朝日出が問いかける。 朝日出「どうしたんだ?」 堀越「・・・この村アリアスはこの前、帝国に吸収された村だ・・・」 吉田「なんだと!?」 確かによく見てみると、破壊された民家などが目につく。 さらに、吉田達は知らなかった事実がある。 すでにこの村には、朝日出、堀越の指名手配所が届いていたのだ。 堀越「まあ仕方がない・・・もう日も暮れる。 この雪国で今から行動するのは危険だ、適当な宿に一泊して、明日朝一で出発することにしよう・・・」 堀越のその提案に朝日出も賛同する。 朝日出「ああ・・・それがいいだろう。 このままじゃ凍死しちまうし・・・な。 」 この二人の意見に従いながらも首をかしげる吉田。 どうやら、彼は全く寒くないようだ。 吉田達はこのあと、近くにあった・・・というよりはこの村で一軒の民宿に泊まることになった。 ???「お客さん!大変だ!!起きてくだせえ!!」 明け方・・・まだ日も昇っていないころ。 吉田達は突如、部屋に入ってきたその男の声で目覚める。 吉田「どうしたんだ・・・こんな朝早く・・・」 朝日出「・・・ん?」 堀越「・・・」 その声の主は、この民宿の親父のようだ。 顔から汗を流し、息を弾ませている。 民宿のオヤジ(以下オヤジ)「ハア・・・ハア・・・お客さん、堀越さんと、朝日出さんだよな?」 突如振られた質問、三人が全員、なぜ2人の名前を知っているのか?という疑問を抱いたが、次の瞬間、堀越だけはその意味を理解したようで、常に身につけている小刀を左手で握りしめ、足に力をいれ、跳躍するじゅうんびを整える。 ちなみに、堀越は、眠る際、義手は外している・・・まあ、指先に鋭利な爪がついた義手をはめているわけにはいかないのだろう・・・ しかし、この堀越の予想は微妙にずれていた。 オヤジ「早く逃げてくだせえ!!おめえさんらは、帝国に指名手配されているんだ!!」 朝日出「なに!??」 吉田「!!」 驚く二人を尻目に、オヤジは説明を続ける。 吉田も驚いたかをしているが、朝日出はわりと冷静なようだ。 堀越「ああ・・・十二騎士団の内、第07剣客団団長、ミスター。 第01騎士団団長、小川。 第02魔団団長、佐藤。 この三人の強さは半端じゃない・・・残りのメンバーも朝日出クラスの実力者だ・・・」 朝日出の疑問に淡々と答える堀越、しかしその声とは逆に相当追い詰められた表情を浮かべている。 どうやら相当やばい状況らしい。 この状況にまず動いたのは吉田だった。 吉田「くっそ!!ぶっ殺す!!!!」 吉田は怒りをあらわにすると、民宿の一階へと走って行った。 その目的はそこに残された三人にはわかりきっていた。 あまりに突然の行動に動けなかった三人・・・ 朝日出「・・・はっ!まずい!!オヤジさんの、娘が・・・」 堀越「・・・ああっ、ああ・・・吉田を止めるんだ!」 吉田からおくれること二十秒・・・朝日出と堀越は、走り始めた。 2人が階段に差し掛かると、一階からどなり声が聞こえてきた。 ???「んなこと言ったて仕方がないでしょうが!!」 吉田「んだとォ!?」 ???「だいたい、何したか知らないけどねえ!お尋ね者になるほうが悪いのよ!このキモジャ!!!」 吉田「キモジャってなんだよ!キモジャって!!!」 ???「キモくてモジャモジャだからキモジャよ!!猿!!射殺すわよ?」 吉田「俺は猿じゃねえ猿じゃ!!!」 ???「似たようなもんでしょうが!!!」 下から聞こえてくるどなり声に唖然とする2人・・・ 堀越「・・・」 朝日出「・・・なあ」 ふと朝日出が口を開く。 堀越「・・・何だ?」 唖然としながらも答える堀越 朝日出「吉田のやつ、ぶっ殺すとか言ってたよな?」 堀越「ああ・・・」 なおも下からどなり声が響いてくる。 ???「だいたいねえ!あんたらなんかやったからお尋ね者なんでしょ?」 吉田「あぁ!?なんもしてねえよ!!」 ???「猿だから忘れっちゃったんじゃないの?」 吉田「誰が猿だ!!!」 ???「あんた以外にだれいるっていうのよ!!このキモジャァ!!!!!!」 吉田「んだと!?てめえぶっ殺すぞ?」 ???「なによ!?それが猿が人間に向かっていう言葉?本当に射殺すわよ?」 吉田「やれるもんならやってみろっていうんだ!!」 堀越&朝日出「(・・・なんかもう一生やってなさいって感じか・・・?)」 まるで夫婦喧嘩・・・などと2人が思っていると、三人がとまっていた部屋から、宿のオヤジが現れ、どなり飛ばす。 オヤジ「コラァ!瑶紀!!!何をやっておるかぁ!!」 途端に下から返事が返ってくる。

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