サーキュラー エコノミー ジャパン。 サーキュラーエコノミー・ジャパン、9月12日に設立記念カンファレンス

「ごみゼロの日」に考える、サーキュラーエコノミーと飲食業の未来

サーキュラー エコノミー ジャパン

地球規模での問題解決のための取組みとして、国連では「 持続可能な開発目標(SDGs)」を、そして欧州を中心に新経済システム「 サーキュラーエコノミー(循環型経済:CE)」という概念が提案され、世界は大きく動き出しました。 日本は島国であり、鎖国している時代もありました。 国内の資源だけで生活をし、ゴミがほとんどゼロの時代もあったと言われています。 そうした時代があったからこそ「もったいない」という言葉に象徴されるように、日本の文化には資源を大事にしなければいけない、という考え方が遺伝子レベルで根付いていると思います。 そこで私たち地球のしごと大學は、 SDGsに貢献する様々な事業モデルのうちCEに焦点を絞り、関心ある企業さまに向けた勉強会を開催することといたしました。 本セミナーは、 国内SDGsを先頭で力強く推進されている博報堂DYホールディングス グループ広報・IR室CSRグループ推進担当部長の川廷昌弘さんと、 ローカルでCEを実践されている株式会社日本フードエコロジーセンターの髙橋巧一さんをお招きして、SDGs達成とCE実践についてのヒントを学びます。 CEは 「ローカル」「小規模」と相性が合います。 つまりその実践の可能性とチャンスの機会は、グローバルに展開している企業さまよりも、 地域に根差したローカル中小企業さまに多くあります。 本セミナーで登壇頂ける日本フードエコロジーセンターさまは まさに地域に根差したCE企業です。 SDGs・CE事業の開発をこれから企画したい企業さまにとって大いに参考になる事例となるでしょう。 また、地球のしごと大學からは2020年より開講予定であるSDGs・CEを学ぶ場「 地球のしごと大學BIZ」の内容についてもご紹介させていただきます。 日本にとってSDGsもCEもリスクではなく大きな機会です。 これらのテーマに興味のある企業の方、必見のイベントです。 博報堂DYホールディングス グループ広報・IR室CSRグループ推進担当部長 1986年博報堂入社。 1998年から「情熱大陸」などテレビ番組の立ち上げに関わる。 その後、2005年「チーム・マイナス6%」の立ち上げ直後から関わり、博報堂DYメディアパートナーズ 環境コミュニケーション部長を経て現職。 2016年からグローバル・コンパクトSDGsタスクフォースリーダー。 2010年開催の生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)でスピーチを行い決議の修正に成功。 一般社団法人CEPAジャパン代表、公益社団法人日本写真家協会 JPS 会員。 環境省SDGsステークホルダーズ・ミーティング構成員、神奈川県非常勤顧問(SDGs推進担当)、一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンSDGsタクスフォースリーダー等。

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Circular Economy Lab JAPAN

サーキュラー エコノミー ジャパン

「」という言葉の意味をご存知だろうか?資源を使い捨てにせず、何度でも作り直してずっと使い続けるという仕組みの経済のことだ。 最近は日本でも耳にする機会が徐々に増え、IDEAS FOR GOODでもテラサイクル社の「」やの取り組みなどを紹介してきた。 しかし、日本国内ではサーキュラーエコノミーの取り組みがまだそれほど進んでおらず、欧米諸国だけでなくアジア各国からも遅れを取っている状況だ。 そんな中、の設立記念カンファレンスが9月12日、東京御茶ノ水にて開催された。 同団体は、先述の状況に危機感を持ち、日本でサーキュラーエコノミーの考えを浸透させることを目的に作られたものである。 企業の関係者や個人などが多数参加し、会場は満員となった。 サーキュラーエコノミーの概念や世界各国の動向とともに、日本政府としての戦略、5企業による先行事例の共有が行われたこのカンファレンスについてレポートする。 一般社団法人サーキュラーエコノミー・ジャパン:国際的な協調の下で、日本にサーキュラーエコノミーを普及させ、世界に誇る日本型サーキュラーエコノミー(日本モデル)の創造とその移行を加速させることを目的に活動する団体。 代表は中石和良氏。 設計段階から「使い続ける」ものづくりをするサーキュラーエコノミー 最初に、基調講演として、一般社団法人サーキュラーエコノミー・ジャパン代表の中石和良氏がサーキュラーエコノミーの概念や世界各国の動向を解説した。 中石氏はまず、従来の資本主義であるリニアエコノミー、その延長線上にあるリサイクリング・エコノミー、そしてサーキュラーエコノミーの違いを解説。 そして、日本がこれまで最先端を走ってきたリサイクリングエコノミーは、サーキュラーエコノミーとはまったく別のものであることを指摘した。 リニアエコノミー、リサイクリングエコノミー、サーキュラーエコノミーのそれぞれの仕組みを表した概念図。 3つのエコノミーは、それぞれ以下のようなものだ。 リニアエコノミー:資源を取って生産して使って捨てるという直線的な経済。 リサイクリングエコノミー:廃棄物は出すものの、可能な限りリサイクルするなどして効率よく使おうという経済。 リニアエコノミーの延長線上にある。 サーキュラーエコノミー:廃棄物を出さず、一度取った資源を作る・使う・リサイクルするという循環で回し続ける経済。 「今までの世界はリサイクリングエコノミーであり、日本はその中では最先端でした。 ところが、世界はサーキュラーエコノミーに移っています。 サーキュラーエコノミーはリサイクリングエコノミーの延長線上にあると思われがちですが、延長線上では無理なんです。 完全に考え方を変えていかなければなりません。 」(中石氏) サーキュラーエコノミーの原則は「廃棄物と汚染を生み出さないデザイン(設計)を行う」「製品と原料を使い続ける」「自然のシステムを再生する」の3つ。 この3原則を実現するための詳細の図が次だ。 左右に2つの循環が広がっており、通称「バタフライダイアグラム」と呼ばれる。 サーキュラーエコノミーの3原則を実現する方法を図で表したもので、バタフライダイアグラムと呼ばれる。 ここでのポイントは、技術的サイクルと生物的サイクルを分けて考える必要があるということだ。 右側の「技術的サイクル」は石油や鉄鉱石などの枯渇性資源の循環、左側の「生物的サイクル」は植物・魚などの再生可能な資源の循環だ。 そしてそれぞれのサイクルの中で、できるだけ内側の輪の中で循環させていくことが望ましい。 「技術的サイクルでは、まずは修理やメンテナンスをして長く使えるようにしていきます。 それができなければリユース、再配分をしていく。 それもできなくなったら部品に分解して、部品を洗浄して再度製品を作る。 再度使うときに、できるだけ資源や労働力を使わない仕組みで回していきます。 それもできなくなって初めて、原料に戻して、原料からもう一回製品を作り直す。 これは最後の手段ということです。 一方、生物的サイクルにおいて、再生可能資源は永続的にリサイクルできません。 使うたびにだんだん劣化していきます。 そのため循環の仕方が異なり、最終的には土に戻す、またはバイオマスに変えるという発想になります。 土に戻すことによって栄養になって、そこでまた新しい植物が生まれていきます。 」(中石氏) さらに、「2030年までで500兆円、2050年までで2700兆円」というサーキュラーエコノミーの経済価値(アクセンチュア調べ)とビジネスチャンスを指摘したうえで、世界中の国家、都市、企業が先陣を切ってリーダーシップを取ろうとしている動向を解説した。 EU諸国、カナダ、オーストラリア、アメリカの州・都市、チリ、ブラジル、中国、台湾、インド、インドネシアなどでは政策としてサーキュラーエコノミーに全面的に取り組んでいるという。 さらに各業界における大企業の動きについても、豊富な資料とともに解説した。 続いて、環境省 大臣官房 環境計画課の中島恵理氏が登壇。 6月に政府が閣議決定した「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」を解説し、「2050年までに温室効果ガスを80%削減」を実現するために実施する施策の一つとしての、「地域循環共生圏」について解説した。 これはを地域の中で実現していくという考え方で、地域の特性に合わせ、地域資源をできるだけその地域の中で持続可能な形で最大限活用しながら、経済社会活動を進めていく。 地域の魅力を高めることにもつなげようとするのがポイントだ。 やなどのテクノロジーも活用する。 環境省としては各取り組みを支援し事例を取りまとめるとともに、全国規模のプラットフォームを作り、企業や地域とのマッチングも行っていきたいと考えているとのことだ。 環境省 大臣官房 環境計画課の中島恵理氏。 生産者も消費者も、「その先」まで想像力を働かせることが重要 続く第二部では、国内先行事例として、再生可能エネルギーのみんな電力、住宅・建物の株式会社アトリエデフ、寝具のイワタ、農業の野畑ファーム、フードサービスのゼットンが取り組みを紹介。 そこで見えてきたのは、企業がサーキュラーエコノミーの考えに基づいた製品作りをするということだけでなく、消費者自身も意識を変えライフスタイルを変えていくことが重要であることだ。 つまり、生産者も消費者も「その先」まで想像力を働かせ続けることが、サーキュラーエコノミーを実現するうえで欠かせないと言えそうだ。 顔の見えるライフスタイルの実現を目指す「みんな電力」 私たちの生活に欠かせない電気。 その電気は、中東から運ばれてきた石油を燃やして、CO2を大量に排出して作られたものかもしれない。 少し前までは、電気の使い過ぎは止めようとすることはできても、自分が使う電気を選ぶことはほとんどできなかった。 しかし2016年に電力小売が自由化され、消費者が自分で使う電気を選ぶことができるようになった。 はそんな電力小売り業者の一つで、「顔の見えるでんき」を目指す珍しい会社だ。 みんな電力のホームページTOPより。 2017年度時点で再生可能エネルギーの比率を66%にしており、2019年度の目標は75%、今後100%にしていくことを目指しているという。 電気は全国の事業者が発電したものを使用しており、ホームページで発電所一覧を写真つきで掲載している。 顔写真付きで自身の思いを掲載している事業者も多くいて、まさに「顔の見えるでんき」である。 企業では、SDGsの最初の取り組みとしてみんな電力に切り替えるところが増えてきており、こうしたカンファレンスの場で共感してもらえる機会も増えたという。 一方で、いまだ課題となっているのは消費者の意識だ。 「いかに一般消費者を巻き込んでいくかということが課題です。 すごくこだわりを持って作られたものと、そうでないものが、同じように並んでしまう中で、いかに価値を理解してもらって、対価を支払っていただくか。 『顔の見えるライフスタイル』まで踏み込んでいくことで、消費者の意識を変えていきたいと考えています。 顔の見えるライフスタイルを提案するソーシャルアップデートカンパニーを目指していきます」(みんな電力株式会社 代表取締役 大石英司氏) すべての建築素材を使い続けることを目指す「アトリエデフ」 は、建築・家具・リノベーションを手掛ける会社だ。 代表取締役の大井明弘氏が、現在主流となっている新建材に含まれる化学物質の問題、輸入木材に施されている大量の薬剤・防虫処理の問題、木材が使われなくなって荒れている日本の山の問題などを指摘したうえで、アトリエデフが大切にする「素材」、「エネルギー」、「暮らし」の3つの循環について紹介した。 素材に関しては、今までは素材の出どころとして「自然素材を使う」ということを重視してきたが、これからは素材の行方を追っていくことを重視し、すべての素材を「使い続ける」ことを目指していくという。 アトリエデフのプレゼンテーションは、プレゼン画像にも会社の温かさが溢れていた。 さらに、建築材料の現状はリサイクルエコノミーであるとし、サーキュラーエコノミーの実現に向けて、「製品を再資源化するため、初期設計を変える」「製造時のエネルギーを再生可能エネルギーに」「暮らし、生き方を変え、消費者の意識を変える」の3つが重要であるとした。 中でも一番大事なのは、消費者一人ひとりの意識を変えることだ。 そのため、家をつくるだけでなく、暮らしの提案まで踏み込んで行っているという。 サーキュラーエコノミーの取り組みとしてすでに行っているのは、店舗向け木製家具リース事業「めぐリス」だ。 店舗はこれまで、5~10年ごとにリノベーションをすることが多く、家具はその際にすべて廃棄するという使い捨てのスタイルが主流となっていた。 そこでアトリエデフは、所有権を自社が持ち店舗にリースする仕組みを作ったという。 資源が無駄にならず、理想的な仕組みである。 自社製品の再生だけでなく他社製品のアップサイクルも行う寝具会社「イワタ」 は、良質な睡眠の提供と安全・安心な睡眠環境の提供とともに、商品のサステナビリティを重視している寝具会社だ。 代表取締役の岩田有史氏によると、すべての商品を自宅で洗える設計にして製品寿命を延ばしているだけでなく、昨年からはマットレス・羽毛布団・敷きパッド等の仕立て直しも手掛けているという。 しかも自社製品だけでなく、他社製品も受け付けているというから驚きだ。 さらに水洗い・日干しができなかった古い羽毛布団を、最先端テクノロジーを使って「水洗い・日干しができる羽毛布団」に再生するアップグレードサービスにも取り組んでいる。 合同会社野畑ファーム代表の山村英司氏。 農家は素材となるものを栽培する。 その素材は製品となり使われる。 使い果たされた製品は、肥料として農家に戻ってくる。 その肥料を使って新たな素材を生産する。 農業がサーキュラーエコノミーで求められる役割は大きいが、一方で農家の人口は145万人と少なく、サーキュラーエコノミーなど新しい価値観へは消極的な姿勢であることが多いという。 そこで野畑ファームは、農業の価値を「収量」のみで測るのではなく農地の資産価値を評価軸に加えることで、新たな軸で農業が評価されることで、「農業に任せろ!」と言える状況を作っていきたいと考えているという。 地域活性化に取り組むフードサービス「ゼットン」 東京・神奈川・名古屋を中心に、Aloha Tableをはじめとした飲食業を展開するは、「店づくりは人づくり、店づくりは街づくり」がコンセプト。 代表取締役の鈴木伸典氏によると、もともとエリア開発事業にも力を入れており、現在は葛西臨海公園の開発にコラボの形で取り組んでいるという。 もともと取り組んできたこのような取り組みをさらに進めていくため、4月に「サステナビリティ戦略」を発表した。 SDGsとも絡め、「持続可能な低炭素・脱炭素社会実現への貢献」「持続可能な資源利用社会実現への貢献」「人権・労働に配慮した社会実現への貢献」「持続可能な社会を実現する地域づくりへの貢献」に取り組んでいくとしている。 新しく何かを始めるというよりも、これまで行ってきた活動を整理し直し、取り組みをより深化させていくことを目指している。 ゼットンのサステナビリティ戦略。 ホームページで誰でも見ることができる。 5つの事例共有を終え、サーキュラーエコノミー・カンファレンスは幕を閉じた。 編集後記 日本では、他の国に比べサーキュラーエコノミーがまだあまり盛り上がっていないと言われるが、今回のカンファレンスは会場が満席になるほど大勢の参加者が集まっており、これからの発展を予感させられた。 事例共有では、多様な業界においての取り組みが紹介されたため、サーキュラーエコノミー実現に向けてできることは業界を問わずあるということを実感した。 同時に、記事の中でも触れたように、企業側だけでなく消費者も含めて、すべての人が自分の行動の「その先」まで想像し続けることが、サーキュラーエコノミーの成功において欠かせない。 消費者側もさらに意識を変えていくことが必要だろう。 今後、サーキュラーエコノミー・ジャパンの活動が広がり、今回事例が共有された企業のような考え方が浸透し、ますます取り組みが進化していくことを期待したい。 【参照サイト】 【参照サイト】 【参照サイト】 【参照サイト】 【参照サイト】 【参照サイト】.

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サーキュラー・エコノミーの時代、日本企業の活路は?

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世界規模で大量消費社会の限界が見え始めている。 近い将来、主要な資源が枯渇し、これまでの消費型経済からの転換が迫られている。 多くのファストフード店やコーヒーショップではプラスチックストローが廃止され、チョコレートの個包装がプラスチックから紙パッケージへと変更されている。 こうした「脱プラ」の動きもサーキュラー・エコノミーの一環と言えるだろう。 デロイト トーマツ グループで、先進性・専門性・独自性の高い戦略コンサルティングを世界で提供している「モニター デロイト」の田中晴基と加藤彰は、サーキュラー・エコノミーの専門家として知られる。 2人にサーキュラー・エコノミーに今取り組むべき理由、そして今後起こりうる、オープンイノベーションの可能性について語ってもらった。 理由1 サーキュラー・エコノミーは新たな経済成長モデルになる そもそもサーキュラー・エコノミーとは、どのようなものなのか? 資源を入手して生産、利用、そして廃棄する、これまでの直線型経済は「リニア・エコノミー」と呼ばれる。 それに対しサーキュラー・エコノミーは、利用後の廃棄物を別の事業の資源にしたり再活用したりするなど、既存の資源を再生し、循環させていく経済活動だ。 サーキュラー・エコノミーは、新たな資源利用を極力おさえ、これまでと同じか、それ以上の付加価値を生み出していく、新たな経済成長モデルだと国内の様々な大企業に対してサーキュラー・エコノミーをテーマとしたビジョン策定、戦略策定、事業開発支援を手掛けてきた田中晴基は語る。 「再利用する『リユース』、ムダなゴミを減らす『リデュース』 、資源に戻して新しく作り直す『リサイクル』。 3Rと呼ばれるこの3つの要素もサーキュラー・エコノミーに含まれます。 さらに、最初から再生・再利用しやすいモノを作る『エコデザイン』や、シェアしたり譲ったりしてモノを無駄なく使いきる『ファンクショナル・エコノミー』といった新しい要素も加わるのがサーキュラー・エコノミーです。 ビジネスモデルが多岐にわたり、関連市場規模は世界で年4兆ドル(約440兆円)にも上るとされています」(田中) サーキュラーエコノミーに代表される7つのビジネスモデル 出所 : Monitor Deloitte 7 Types of CE Business Models 先進的なグローバル企業は、サーキュラー・エコノミーを経営の中核に据える動きを見せている。 電気関連機器メーカーのフィリップスは、収益の半分をサーキュラー・エコノミーに充てる計画で、大型機器全てを回収する体制を2025年までに整えると発表。 スウェーデンの家具専門店イケアは家具廃棄物を減らすため家具レンタル事業をスイスで開始した。 他にも、シューズメーカーのナイキや家庭用品のユニリーバなど、多くの企業が同様の動きを見せている。 理由2 グローバルスタンダードへの対応の遅れは、日本企業のビジネスに不利な影響を及ぼす こうした世界の動きに比べ、日本は対応が遅れていると田中は指摘する。 「日本はリサイクル先進国のイメージがあるかもしれませんが、世界から見れば、サーキュラー・エコノミー後進国になりつつある」 企業が自ら主体的に動かなければ、後進国化は避けられない。 市場への出遅れ、競争劣位のリスクをはらんでいると田中は危惧している。 日本は、厳密な廃棄物の仕分けルールや、ごみ焼却炉における優れた燃焼技術から、廃棄物を燃やした熱をエネルギーとして回収する「サーマルリサイクル」が主流化している。 ペットボトルのサーマルリサイクル率は約8割で、欧米に比べ約2倍だ。 故に、「日本のリサイクル率は高い」「サーキュラー先進国だ」というトーンに時としてなりがちである。 しかし焼却時に排出される温室効果ガスが地球温暖化に大きな影響を与えていることから、今、グローバルで主流化しつつあるのは、燃やさずに再生利用する「マテリアルリサイクル」や、化学物質レベルに変換して再利用する「ケミカルリサイクル」が世界の主流となりつつある。 OECD加盟国における日本のマテリアルリサイクル率は下から5番目だ。 「日本はかつて、製品のエネルギー消費率の極小化に寄与する高い省エネ技術から温暖化対策先進国を自負していました。 しかし、エネルギーの持続可能性自体にフォーカスを置いた、グローバルの再エネ主力電源化の流れに乗れず後進国化したと言われています。 今回もその時と同じ轍を踏みつつあります」(田中) そのような日本の状況を尻目に、欧州市場では既に政府主導でサーキュラー・エコノミーの規制が進んでいる。 こうした規制があるので、企業はサーキュラー・エコノミーを把握・導入していないと勝てない、つまり市場で生き残れない。 ビジネスモデルの変革を迫られているのだ。 田中はグローバルの状況をこう解説する。 「ユニリーバやネスレなど大手消費財メーカーとアメリカのリサイクル企業であるテラサイクル、物流大手のUPSなどがジョイントベンチャーとして立ち上げたLOOPは、サーキュラー・エコノミー時代の『ポスト・アマゾン』的存在になるかもしれないと見ています。 彼らは使い捨て包装材ゼロの時代におけるEコマースのビジネスモデルをいち早く体現し、空き容器の回収・再利用に関する基準作りを含めたモデル構築を進めています」(田中) 欧州をはじめとした先進国では企業がビジネスの競争力を高めることと紐づけて、サーキュラー・エコノミーを追求する環境が形成されつつある。 しかし残念ながら日本は出遅れているのが現実だ。 理由3 日本のサーキュラー・エコノミーを支える「静脈産業」が変わろうとしている では、日本はどうすべきか。 鍵は、「静脈産業」にあると、田中は指摘する。 製品を供給する製造業が「動脈産業」で、産業廃棄物の処理や使い古された製品のリサイクルなどを行い、再び循環させるのが「静脈産業」と呼ばれる。 「サプライチェーンの上流である動脈産業側のビジネスモデルをチェンジさせることももちろん重要なのですが、私は日本のサーキュラー・エコノミー確立の鍵は静脈産業側にあると考えています」(田中) 日本の静脈産業は欧州と大きく構造が異なる。 欧州ではインフラ系の大企業が収集運搬から処理、リサイクルまでを一手に担うのに対し、日本は中小・零細規模の細分化されたプレーヤーが市場を支えている。 従って、彼らをいかに巻き込み、エンパワメントしながらエコシステムを立ち上げていくかが極めて重要となっていく。 この静脈産業の分野で、国内で新たなチャレンジをしているのが小田急電鉄であると田中は語る。 同社はこれまで鉄道や不動産などに関する事業を展開してきたが、今回、それらと同じように街を支える重要なインフラ事業の一つとしてサーキュラー・エコノミーを位置づけ、米国でサーキュラー・エコノミー企業として初のユニコーンとなったルビコン・グローバル、そしてオープンイノベーションの専門家としてモニター デロイトと手を組み、エコシステムの立ち上げを進めている。 具体的には、経営戦略部主導で、鉄道やタクシー・バス事業を担う「モビリティ企業」として培った知見をてこに、自治体や静脈企業に対して収集運搬ルートの最適化などを提供し、地域のサーキュラーの担い手を支援する事業展開を目指す。 また、「まちづくり企業」として自治体や動脈企業のサーキュラー・シティ化に資するスマートシティ事業、マッチング事業等も構想中とのことだ。 なお、同社が手掛けるMaaS事業と同様、必ずしも沿線内に閉じない事業展開を目指している。 「大企業が、ビジネスパートナーとして静脈企業と直接的に接点を持っていることはまれだと思います。 まずは小田急とルビコンのような既に立ち上がりつつあるエコシステムを足掛かりに対話の機会を持ち、自社としてどのように関与が出来るのかを模索していくことが糸口になるでしょう」(田中) サーキュラー・エコノミーを契機とした新たなオープンイノベーションを 上記3つ理由から、サーキュラー・エコノミーは今後経済活動として必須となり、そして新たなビジネスチャンスが生まれることが理解できるだろう。 では、日本がグローバルの潮流に取り残されず、一歩先んじるためには何から始めたらいいのか? 「キーワードは、街づくりです」と語るのはグローバルでサーキュラー・エコノミー関連案件を数多く経験している加藤彰だ。 循環型のエコシステムを確立した都市、いわゆる「サーキュラー・シティ」である。 海外ではニューヨーク、ロンドン、アムステルダムなどででサーキュラー・シティ化が進んでいる。 中でもアムステルダムは、サーキュラー・エコノミーの経済的・環境的なメリットを重視し、イノベーティブな企業がビジネスを立ち上げるのに魅力的な場所となるための官民学一体型プロジェクトを2016年から実施している。 ヘルシンキはそのコンパクトさや先進的なバイオマス技術を活かし、スタートアップと協業できる「サーキュラー・エコノミー実証実験の街」というブランディングで都市の価値向上を図っている。 「ヨーロッパが世界的な産官学のネットワークを作りながら本気で推進している。 この傾向は今後加速化すると思います」と、加藤は予測する。 日本でもサーキュラー・シティの試みがみられる。 は、2019年10月に設立された、大手町・丸の内・有楽町 大丸有エリア の大企業、スタートアップ、東京都や国土交通などの官公庁や、地権者等約70団体で構成されるまちづくりのイノベーションの創出を支援するプラットフォームだ。 2020年度は、サーキュラー・エコノミーをメインアジェンダの1つとして掲げる予定だ。 大企業が集う都心の立地を活かしながら、エリア内のスピーディな実証実験の環境提供等を行い活動を広げていく予定だ。 2019年10月3日に開催されたTMIPのセレプション また、前述した小田急電鉄とルビコンの事例でも、小田急電鉄は、座間市とサーキュラー・エコノミーに特化した協定を結び、2020年4月から実証実験を開始すると発表している。 他の事例を挙げると、徳島県上勝町は2003年から「ゼロ・ウェイスト」活動があり、ごみの分別ステーションを日本らしいコミュニティ形成と掛け合わせている。 この取り組みは、ごみの埋め立て・焼却を極力減らし、ごみを45品目に分別することで価値ある資源としてリユースしようという取り組みだ。 2003年からの活動開始以降、現在のリサイクル率は約80%にのぼり、年間250〜300万円の収入をもたらしている。 また、分別の場が町民同士のコミュニケーションを深めているという声もある。 このような丁寧な分別手法やコミュニティ形成等の独自のナレッジや、課題先進国である日本との掛け合わせは、海外が日本から学びたい部分も多いという。 しかし、海外はリーン・スタートアップの手法でどんどん失敗から学んでおり、一気に日本を追い抜こうとしていると、加藤は警鐘を鳴らす。 「あえて挑発的な表現を使うと、良いプレイヤーを囲い込みされてしまう、『ジャパン・パッシング』のリスクもあると言えるかもしれません。 早く動くことが求められています」 モニター デロイトでは、企業はサーキュラー・エコノミーをはじめとしたサステナビリティに対する取り組みを「義務」ではなく「戦略」として取り組むべきと唱えている。 企業の戦い方は、機能・品質・価格の面で競争優位を高め、自社単独でシェアを拡げていく「エゴ」システム型から、社会課題解決(大義力)とルール(秩序形成力)を加え、ステークホルダーと協業しながら市場を創り出していく「エコ」システム型へ変化しているのだ。 戦い方の変化:EgoからEcoへ そして、このようなエコシステム型の戦いで最も重要なのは、ステークホルダーの共感・熱狂を獲得するための「骨太な大義」だ。 リニア・エコノミーは、短期利益の最大化が巡り巡って企業の経営環境自体を破壊する「社会課題ブーメラン」の原因であるにも関わらず、長年当たり前とされてきた。 サーキュラー・エコノミーは、そうした従来型経済への大いなる挑戦である。 短期利益追求によるリニア・エコノミーがもたらす「社会課題ブーメラン」 出所: デロイト トーマツ コンサルティング作成資料 サーキュラー・エコノミーはあらゆる企業にとって、「大義」を掲げることが出来るテーマであり、今後エコシステム型の戦いの主戦場となっていくことが予想される。 モニター デロイトは、マイケル E. ポーター教授が提唱したCSV(Creating Shared Value)の実践に早期から取り組んできた。 モニター デロイトはなぜ、サーキュラー・エコノミーに本気で取り組んでいるのか 最後に、田中と加藤に、なぜサーキュラー・エコノミーに対し、情熱を持って取り組むのかを尋ねてみると、それぞれ、生い立ちから色濃く影響を受ける、循環型社会への熱い思いが感じられた。 子供の頃からモノを捨てるのが苦手だった田中は、小学生の頃に見学した焼却処分場のイメージが鮮明にあり、「あんな風に焼かれるなんて可哀想」という感情が今でも抜けないと話す。 「サーキュラー・エコノミーを追求することは即ち、モノを捨てずに済む。 私にとってストレスなくモノと付き合えることを意味します。 それは、例えば家族と一緒にモノを修理しながら長く使うなど『楽しめる世界』を追求することにも繋がるのです」(田中) 「笑われるかもしれませんが、私は理不尽さをゼロにした社会づくりに貢献したいと思っています」と語る加藤は、カナダに住んでいた小学生の頃から社会的弱者、いわゆる難病患者や先住民、障害者の課題を目の当たりにしてきた。 そしてゴミに関して無関心だった加藤の心を動かしたのは、業務中の収集運搬車に乗車した経験からだった。 サーキュラー・エコノミーの一翼を担っている人が報われていない、まさに理不尽な状態だと確信しました」 リサイクル業者の人たちは、ゴミを資源化する高度な技術があるのに、それをスケールさせる機会がない。 このような状況を変えることに少しでも力になりたい、というのが加藤の原動力になっているという。 21世紀の世界経済で、もはや待ったなしの状況となったサーキュラー・エコノミー。 その世界を創る側に立ちビジネスを成長させるのか、誰かが創った世界に適応するためにビジネスの変化を強いられるのか、いまこの瞬間の動き出しが、結末を大きく左右しそうだ。 ・関連書籍:「SDGsが問いかける経営の未来」は ・関連レポート:「COVID-19は『SDGsが問いかける経営の未来」へのWake-Up Call」は.

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