殺るか ああ。 第199話 (社会的に)殺る気は満々

僕と逆転とAクラス

殺るか ああ

夢を見た。 夢の中の俺はどこかの飼い犬だった。 子どもと遊んだり、ご飯を3食もらえたり、眠くなったら寝てみたり。 食う寝る遊ぶの三拍子そろった生活だった。 目が覚めた時、何故か涙が出た。 いかづちの杖の暴発に巻き込まれた(事にした)俺は、いまだ城にいた。 オッサンが、渡したい物があるというのだ。 はっ! まさか、宿の主人が密告したんじゃ……? 引導を渡すってオチじゃないよな。 そうなる前にいっそ殺るか? ちょうど、ここにはいかづちの杖がある。 まさか、これを防ぐって事はあるまい。 「それで、渡したい物ってのは何なんだ?」 杖を握り直しながら尋ねる。 何か動きがあったら撃とう、そう心に決めて。 「ふむ、これじゃ」 そう言って、オッサンが取り出したのは握りこぶし大の石だった。 何だそりゃ? 「これは、太陽の石というものじゃ」 太陽の石? どっかそこら辺に落ちてる石と交換してもわからなそうだな。 「雨と太陽が合わさる時、虹の橋が出来る。 この言葉と共に、代々伝えられてきた物じゃ。 きっと、竜王を倒すのに、役立つことだろう。 お主が竜王を討ち滅ぼし、世界に平和をもたらすことをわしは信じておる。 さあ、勇者よ、旅立つのだ!」 「しっつもん!」 俺は声をあげた。 「何じゃ、良い所であったのに」 オッサンは残念そうだ。 だが、これだけは確認しなければならない。 「あのさあ、俺、竜王を倒せって言われた覚えないけど?」 そう、俺は姫を助けて来いと言われたが、竜王を倒して来いとは言われていない。 あの時点で、お役御免だったはずだ。 「今、言ったではないか」 「待て待て待て待て! 今って、今この場でってことか?」 「そうじゃ。 では、問題ないな」 「あるに決まってんだろ!」 だが、俺の意見は封殺された。 「衛兵、勇者殿をお見送りせよ」 何処からともなく現れた衛兵に羽交い絞めにされ、玉座の間から連れ出される。 「では、勇者よ、旅立つのだ! 朗報を期待しておるぞ」 うっわ、めちゃくちゃムカつく。 「竜王倒したら、今度はテメーの番だ!! 覚えてやがれ!!」 俺は勇者らしからぬ捨て台詞を残し、城から放り出されてしまった。 「ちょっと待て、俺は勇者だぞ! 何でこんな仕打ちを受けるんだ?!」 衛兵に叫ぶ。 「この間貸した20ゴールドを返すなら、勇者と認めよう」 くぉっ、こないだのおっさんか?! ポケットを探る。 ……しまった。 朝、宿屋に置いて来たんだった。 しかも、さっき死んだので、5ゴールドしか残ってない。 「悪い、今持ち合わせが無い」 「では、出直してくるが良い。 文無し冒険者よ」 も、もんなし?! 目の前で扉が閉まる。 「ちょっと待て! 誰が文無しだ!」 叩けど喚けど返事は無い。 諦めて戻ろうとした時、 「姫様が憎い。 僕も、勇者様の胸に抱かれたい……」 物騒なセリフが背後から聞こえた。 振り向くと、そこにいるのは例の門番。 なんだ、このイベントの数々は? そんなに俺を貶めたいか?! 「何が悲しゅうて、男を抱かにゃあならんのだ!」 「そんな、ひどい……」 泣き崩れる兵士。 何処からとも無く、ひそひそ声が聞こえてくる。 「ほら、アレ見て。 可哀想、あんなに想ってるのに……」 「きっと、姫様との結婚に邪魔になったから捨てるのよ」 「サイテー、私、ちょっとあこがれてたのに……」 明らかに聞こえるように言ってるだろ、お前ら。 「うわーん!! 覚えてやがれ、こんちくしょーー!!」 俺は泣きながら街へ走った。 マジ泣きだった。 「おや、兄さん。 こんな所で何泣いてんだい?」 顔を上げると、いつぞやの酒場の店主。 いつの間にか、表通りを突っ切って、酒場の前まで来ていたらしい。 理由を話すと店の中に入れてくれた。 まだ準備中なのだろう、静かな店内は落ち着いたたたずまいを見せている。 「あの時は悪かったねえ。 急ぎの依頼だったから、ろくすっぽ確認もしないでさ。 しかし、男好きってわけでも無いのに良く完遂できたもんだね。 さすが、勇者って所かな」 俺の話をあっさり信じてくれた。 この人は、良い人だ! 守備範囲外だけど、良い人だ! 俺は、あの時のシアちゃんとの出会いを話すことにした。 「へえー、魔物と心を通わすか、そんな事も出来るんだね。 ……ちょっと待って。 今、アリシアって言ったよね」 「ああ、そうだけど……」 なんだ? 討伐依頼が出てるって言うんじゃないだろうな。 「アリシア、アリシア、あっ、思い出した! 確か、ここら辺に……、あった」 「なんだ? 妙な依頼じゃないだろうな」 俺の質問に、店主は首を振った。 「違う違う、ただの情報さ」 「情報?」 「そ。 南の方にずいぶん前に魔物に滅ぼされた街があるんだ」 その話はどこかで聞いたことがあるな。 「そこにね、最近、魔物が住み着いたらしいんだよ」 「それが、シアちゃんと何の関係が?」 「まあ、話は最後まで聞きなよ」 店主によると、その魔物は人を襲うことは無いらしい。 ただ、女が相手だったとき、必ずこう訊ねるらしい。 「お前は、アリシアか?」と。 「なんでも、家ほどの大きさの黒い鎧を着た魔物らしいよ」 俺は、店主に別れを告げると、シアちゃんの元へと急いだ。 シアちゃんは、姫と一緒にあの場所で待っていた。 「遅い! 何をやっておったのじゃ!」 シアちゃんに走り寄ると、カウンターで殴られた。 姫がすかさずホイミをかけてくれる。 「そんな事より!」 「そんな事?! わらわを待たすのは、そんな事なのか?!」 「まあまあ、アリシアさま」 姫が間をとりなしてくれる。 姫に礼を言うと、オッサンに渡された物を見せる。 「これは、太陽の石か?!」 「アレ? 何で知ってんの、シアちゃん?」 じっと見つめると、顔を背けた。 そして「知っておるから、そう言っただけじゃ!」と吐き捨てるように言った。 あちゃー、完全に怒らせちゃったみたいだ。 「確か、雨が太陽になる……だったっけ?」 「雨と太陽が合わさる時、虹の橋ができる。 古くからの言い伝えですわ」 姫が補足してくれる。 「そう、ソレ!」 それに、それだけじゃない。 俺は、店主の話を皆に話した。 「悪魔の騎士……」 最後まで話し終えた時、シアちゃんがそう呟いた。 けれども、結局それ以上の事は、何も教えてくれなかった。 そして、翌朝、シアちゃんがいなくなった。 ただ「すまぬ」と一言だけ書いた手紙を残して。

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戦神の軍団~殺るか、殺られるか!

殺るか ああ

スポンサードリンク あらすじ 鮫島「いやがった。 蟲の王」 拷問野郎が蟲の王に明達の事を報告していた「蟲ノ王様!! 大変ナノ 蟲ノ王様!! 人間ガ ココマデ 攻メテキチャッタノ!! 」 鮫島「くっ ふざけやがって! アイツ言いつけやがった」 しかし蟲の王は拷問野郎を手ではたいてしまった。 飛ばされた拷問野郎は部屋の壁に叩きつけられて倒れた。 蟲の王「ウル…サイ…」 蟲の王は起き上がり、明達がいるほうに歩いてくる。 ネズミ「嫌ァァァァ 逃げよう!! 今すぐ引き返さないと」 鮫島「ちくしょう 膝が震えちまう。 こんな奴と戦うのかよ」 明「・・・・ 自衛官! 引き返して自衛隊の残りを連れて来てくれ。 ここにいる門番どもを引きつけてほしい。 俺はこの蟲の王を殺る。 行け」 十条二尉「はいっ」 十条二尉は走って引き換えって行った。 明は仕込み刀を出し、蟲の王に向かって走り出す。 明(先手必勝! とにかく斬る!! ) 明は飛び上がり、蟲の王に仕込み刀を振り下ろす。 キンッ 仕込み刀は硬い物に当たって防がれてしまった。 明「くっ なんだこれ!」 蟲の王の背中の殻が伸びて、明の刀を防いだのだった。 ぱんっ 明は伸びた殻に弾かれて後方へ飛ばされた。 明「なっ しまっ…」 後ろに飛ばされた明は鮫島達の上に落ちてくる。 飛ばされた明を叩き潰そうと、明の上から蟲の王の殻が振り下ろされる。 鮫島達は明の着地点にいて、一緒に蟲の王の殻に叩き潰されそうになっている。 鮫島「やばい!! こっちに!! 」 ネズミ「ひいいいいいい 来ないでェェェ 嫌ァァァァ」 蟲の王の殻が叩きつけられ、鮫島達がいた通路は崩れ落ちた。 感想 ちゃんと見ておるのか? 周りの状況を 拷問野郎が蟲の王に人間が攻め込んできたことを報告。 それを見た鮫島「言いつけやがった!」 言いつけるも何も丸見えじゃねェか! しかも十条二尉がライトを照らしてるからさらに見つけやすくなってるじゃねェか!! 蟲の王を前にして 飛んで火に入る夏の虫状態とは なんたる皮肉 ンだよ このクソ王様 蟲の王に報告していた拷問野郎だったが… 蟲の王は拷問野郎を… お手手野郎を叩いちまった!! これもひとつの 豪快なハイタッチってやつだな ハッ そういえば蟲の王は元々いじめられっ子でろくに友達がいなかった。 もしかして拷問野郎を褒めようとしてハイタッチをしようとしたが、友達との距離感が分からねェから思った以上に威力が出ちまったんじゃねェのか? そう思って見ればこれは王の孤独を表していて悲哀があるシーン。 「蟲の王が小4でいじめられっ子という設定が活きてきたなァ。 緻密な設定!! さすがは私が見込んだ漫画よ」と思っていたが… 蟲の王が発した言葉は「ウル…サイ…」 ただの反抗期だなんて… そんなそんっ… 私の事は以後 救世主と呼び 永久に崇めるがよい… 明は十条二尉に頼み事をしようとしたが… 明「自衛官! 自衛隊の残りを連れてきて門番どもを引きつけてほしい。 コイツ、人を駒としか思ってやがらねェ!! 明「この隊はすべて俺の物!! 連隊長様の気分だぜ!! 」 最悪なのが救世主やってた 関わらないほうがいい この救世主が 血液とともに 記憶も頭から流れ出ちまってるから ちくしょう!! 明は蟲の王は俺が殺ると豪語しちまった。 自衛隊を物扱いしちまっても蟲の王を倒せばチャラになるだろう。 しかしどうやってこんなデケェ化け物を倒すんだァ?でも豪語したからには今まで手に入れた情報でなにか策があるに違いねェと思ってたら… 明(先手必勝! とにかく斬る!) 作戦まったくねェ!! 連隊長から仕入れた情報「多数の虫を飛ばしてくる」これに対しては先手をうつのは間違っていねェ。 しかし弱点の心臓の位置を探るとかまったくやりやがらねェ! 上原が命がけで手に入れた情報を速攻捨てやがった! こんな小せェ仕込み刀で、こんなバカデケェ奴を斬るというのかァ? こいつが救世主様と呼ばれる男 見ての通り 必死に繋いできたみんなの思いを 無計画に斬り捨てやがった奴だ ひいいいいいい 自衛隊員が命をかけて地下トンネルの地図を作り、蟲の王を弱点を見つけ、明をここまで辿り着かせるために盾になったというのに、この男、何も考えずに突っ込んで行きやがった!! ここまで来る間に連隊長や拷問野郎から必死に蟲の王の情報を仕入れようとしていたのはなんだったんだ? …へ? でもこのシーン。 何か見覚えがあるぞ… ハ 明が「があああああ」と 言いながら 斬りかかるのを見たのは 何話ぶりだろう 嫌ァァァァァ 前戦と同じじゃねェか!! 拷問野郎に通用しなかったばかりなのに、さらに強ェ奴に同じ攻撃方法! 蟲の王と戦うために作戦たてるどころか、前戦の反省すらしてねェ! 今、頭から流れ出ちまっている血の原因も忘れちまったのか? しかも蟲の王に斬りつける前には「他の敵はみんなが引きつけてくれ。 俺はボスを殺る」と、拷問野郎に斬りつける前と同じような事も言ってやがった!! 先生ェ「盛り上がったパターンほど 使いまわしたくなる それが漫画家って生き物だろ」 殻を破るのは いつになるのやら 拷問野郎の時と同じく、「がああああ」と言いながら斬りつけた明の仕込み刀は防がれちまった。 今回防いだのは殻。 へ?殻? 鮫島が言うように尻尾じゃねェのか? カメレオンのように普段は巻いているだけの尻尾なんじゃねェのか? でもサブタイトルが殻だからなァ… 斬りつける予定のポイントがズレて斬撃の威力が落ちたとは言え、明の仕込み刀を「キンッ」という音を出して防いじまったから殻なのかァ? こんなデケェ物が動いちまってるというのに、明が仕込み刀を防がれちまって「くっ なんだこれ!」はねェよ。 こいつ、斬る対象をちゃんと見ておるのか? 適当に突っ込んじまって 失敗を繰り返しちまった救世主様に こっちが「なんだこれ!」と 言いたいからちくしょう!! あったよ! 炎上しやすそうな所が!! 殻に弾かれちまった明は鮫島達もろとも、蟲の王の殻を叩きつけられちまった!! 明はともかく、勝次やユカポンまで攻撃するなんて容赦ねェ! カッコ悪ィよ 蟲の王 悪者でも実況役は攻撃しねェもんじゃねェのかよ 拷問野郎が倒れちまったし、鮫島達もやられちまったら実況役がいなくなっちまうぞ! さすがは小4。 実況役には手を出さねェという暗黙のルールが通用しねェ!! そして蟲の王が小4ということで、小4の勝次や女のユカポンを攻撃しても卑怯だとは言わせねェ。 小4という設定がココで活きてくるとは!! やはりこの漫画、緻密な計算の元に成り立ってやがった!! 先生ェ「こんな事もあろうかと 蟲の王の設定を小4としてたんだ 最高のクレーム対策を見せてやるよ」 ハ 「次号は休載。 」 を見るのは何号ぶりだろう 前回、拷問野郎に「がああああ」と言いながら斬りつけて次号は休載だった。 今回、蟲の王に「がああああ」と言いながら斬りつけ、次号休載。 内容だけでなく、掲載の仕方も繰り返しやがった!! コピペ!! この過酷な週刊連載を乗り越えるには 内容のコピペも必要なのか!! 松本光司様ァ!! 漫画の面白さも 繰り返しやってくると 俺は信じてますよ!.

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第2話―②

殺るか ああ

「えーっと……父は何を考えてるんでしょう?」 「あー……いや、それは私にも解りませんが、暗殺者とかの類いではないと思いますよ。 だとすると呪具かと……。 ただ何故我が子の誕生日にそんなものを贈ってくるのか意味が解らない……」 いくらなんでも年端もいかない我が子に暗殺者だの送るほど悪辣ではないし、そんな度胸はない。 それが新年パーティーだのなんだので会った事のあるヴィクトルさんとラーラさんの、父に対する評価らしい。 直接会話して色々あったロマノフ先生は、またちょっと思うところもあるらしいけど、概ね二人と同じ意見だそうだ。 「つまり、今、何故こんなに自分が苦境に立たされているか解っていない、お目出度い人ってことですか」 「恨まれている理由は流石に察しておられますが、自分の方が酷い目に遭わされているとは思っているでしょうね」 「度しがたいな……」 私に恨まれる覚えがあるのに、やり返されると思ってないとか、どれだけ鈍感なんだろう。 あれか? 自分が酷いことを他人にするのはよくて、他人からされるのは良くないってやつか? 呆れて声もでない。 バーバリアンは用事があって屋敷に来ようとしたのか、その使者とやらに案内を頼まれたのかは解らないけど、私と父の確執に巻き込まれたのは明白だ。 「とりあえず、バーバリアンの皆さんをなんとかしなきゃですね」 「はい。 ですから、私とヴィーチャで行って来ようかと」 ロマノフ先生なら相手側何であれ遅れを取ることはまずないし、呪具の類いならヴィクトルさんが解呪出来ればそれでよし。 ダメでも呪具そのものを破壊すれば何とでもなる。 そういうことなのだろうけれど、私は首を横に振った。 「私も行きます。 父が何を仕掛けてきたのか、それとも他に理由があるのか、見極めないと」 「や、でも……」 「足手まといですか? それなら大人しく家にいますが、そうでないなら連れていってください」 ヴィクトルさんは来ない方がいいと思っているのだろう。 眉を八の字にして凄く困った顔だ。 でもロマノフ先生をみれば、顎を一撫でしてから「そうですね」と、口を開く。 「これがそうだとは思いませんが、君に含む所、ぶっちゃけ恨み辛み憎しみ嫉みを持っていて、更に権力と伝がある相手が仕掛けてくる一例を学ぶ機会ではありますね」 「アリョーシャ!」 ロマノフ先生の言葉に、ヴィクトルさんが困り顔から一変、憤りを露にする。 何と言うか、危ないことに嘴を突っ込む時、ロマノフ先生はしれっと私の背中を押すけど、ヴィクトルさんは私を背中に庇って近寄らせないようにすることが多い。 ロマノフ先生は事に当たらせることで、直接的な乗り越えかたを教えてくれるし、ヴィクトルさんは文字通り私を守ろうとしてくれている。 どちらも私のためだ。 だけど、今の私に必要なのは。 「ヴィクトルさん、ありがとうございます。 でも私は、もしも父が何かしら仕掛けてきたのなら、それを逆手に取ってやりたい。 レグルスくんの誕生日プレゼントにかこつけて何かしようと言うなら、その見下げ果てた性根を叩きのめしてやりたいんです!」 そうだよ。 レグルスくんはこの一年とちょっと、ワガママも言わずに良い子にしてたんだ。 お母様を亡くされたばかりで、父上に会いたいだろうに、そんなことおくびにも出さずに。 それにも関わらずあのクソ野郎、宇都宮さんからも聞き取りしたけど、「宇都宮と二人で帝都に来なさい」ってバカみたいな手紙以降、ハガキの一枚も寄越してないらしい。 なのに、やっと贈ってきたプレゼントに呪具を仕込むとか。 こんなことが許されていいのか!? 否! 絶許! 肥溜めに落として三日くらいそのまま漬物にしてやろうか!? 「あ、うん。 そうだね、解った。 あーたんは僕が守るから、一緒に行こう」 「まんまるちゃん、やる気満々なのはいいけど、色々駄々漏れなのは優雅じゃないよ」 はう!? ヴィクトルさんのドン引きしたような声と、ラーラさんの苦笑いに顔がひきつる。 いけないいけない、ついつい本音が口からポロリしてしまった。 貴族として殺意駄々漏れとか、美しくないもんね。 げふんっとワザとらしく咳払いをすると、ロマノフ先生がニコッと笑う。 それに応えるように、ラーラさんがソファから立ち上がった。 「じゃ、ボクはひよこちゃんとカナと庭いじりしてくるよ」 フリフリと手を振ってリビングを出ていくラーラさんは、もしもに備えてレグルスくんと奏くんを守りに行ってくれるのだろう。 そんなわけで、私とロマノフ先生とヴィクトルさんで、バーバリアンを迎えに行くことに。 ロッテンマイヤーさんに見送られて、一歩屋敷の敷地から出ると、冴えて冷たいけど爽やかだった冬の空気が一変して、なにやらネバついて鳥肌が立つほど異様な気配に覆われる。 マフラーを巻いていても首筋が冷たい。 「うわぁ、これはダメなのが来た感じだね」 「かなり強い呪いのようですね」 「そうなんです?」 「ええ、これはかなり強力な部類ですよ」 とか言いつつ、先生の顔はいつもの柔らかい微笑み。 ヴィクトルさんの方も、肌に感じる気配が気持ち悪いのか鳥肌が立ってるらしいけど、全然怖がった感じじゃない。 私は呪詛なんて初めて感じるけど、猫の舌で繰り返し手を嘗められてる感じがする。 あれ、猫が好きなひとにはご褒美なんだけど、猫の舌ってざりざりしてて、嫌な人は嫌な感触なんだよね。 猫の舌は嫌いじゃないけど、猫もいないのにその感触だけあっても嫌だな。 ぽてぽてと街への道をロマノフ先生を先頭に、私とヴィクトルさんが手を繋いでその後ろを歩くこと暫く。 木々が奇妙に捻くれて見える場所に、人が四人。 カマラさんとウパトラさん、それからジャヤンタさんの姿はいつも通りなんだけど、一人見覚えのない人がいる。 いるんだけど。 「ああ……あれか。 真っ黒だね」 「やはり呪具ですか」 「うん。 まだ何系の呪いが掛かってるのか見えないけど……」 「えぇっと、あれ、人なんですか?」 四人目の人が、私にはどうしても人間に見えない。 そう言えば、ロマノフ先生とヴィクトルさんの目が少し見開かれて。 ヴィクトルさんが私の頭から爪先を視線で撫でると、「ああ」と溜め息のような声を漏らした。 「アリョーシャ、あーたん神聖魔術生えてる」 「おや、まあ。 早いですね」 「うん。 生えるのは想定内だけど、時期が早すぎ。 先生の準備が出来てないよ」 「そうですね。 どうするかな……」 むむっと唸る二人はを横目に、私は人に見えない誰かに目を凝らす。 するとうっすらと、女の人の輪郭がその中に見えて来た。 「鳳蝶君、どう見えます?」 「が、骸骨を被った女の人?」 「骸骨か……厄介だね」 肩を竦めるヴィクトルさんとロマノフ先生はあんまり気にしてないのかもだけど、女の人に被さる骸骨がにたりとこっちを見て嗤ったような……。

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